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__みぞれ side__
幼き頃を思い出させる小路を歩くと、その先には私の記憶と変わっていない赤い屋根の家があった。
「ここですか?」と尋ねるめめさんに、はいと答えながら玄関の戸を見つめる。
あの中に母がいるのだ。
お母さん。私の能力に怖がらず、お父さんが死んでから女手一つで大切に育ててくれたお母さん。しばらく会ってなかったが、元気だろうか。
私は、震える手で扉のノブを回した。
ギギギと開いた先には、母とよく料理をしたキッチンがあった。ここに帰ってこれたのだと、思わず涙が零れそうになる。
でも、泣くのは後にしないと。母と会って、めめさんと別れて、それからだ。
そう気を奮い立たせ、泣くのを堪える。
私はそのまま、家の中へと入り込んだ。
キッチンの調理台へと近づくと、そこら中がかなり埃被っていたのが分かった。
もともと掃除が苦手な母だったため、自然と苦笑してしまう。
いえもん「お母様はどちらにいらっしゃるのですか?」
みぞれ「確かにそうですね」
後を振り返って、別の場所を探そうとすると、微妙な顔をしたメンバーが立ち尽くしていた。皆、何かを言い淀んでいるどちらかと言うと暗い顔だ。
みぞれ「ごめんなさい、汚いですよね」
みぞれ「母は前から、掃除ができなくて…」
…………
みぞれ「どうしたんですか?」
皆の反応に違和感を感じ尋ねると、めめさんがニコリと笑顔を作り答えた。
めめ「なんでもありませんよ」
みぞれ「?」
正直気になったが、こういう時は教えてくれないのが常だ。
私は、2階へ上がる階段を登る。
階段が軋む音から、ほかの人達が後から付いて登っているのが分かる。
天井裏の2階には、小さいながらも私の自室と、何も入れられなさそうな広さの押し入れがあの時のままあった。
そこで、私は違和感に気づいた。
母がいないのだ。
お母さんだけが足りない。
今日はお母さんの仕事がない日。街の行商人が曜日を言っていたのを聞いた。
お母さんは家にいるのが好きだった。わざわざ休日に外へ出るような人ではない。
そして、キッチン全体に積もった埃と、皆の表情。めめさんの笑顔。
「あ……あぁ……」
母は、死んだ……。
察しのいいメンバーは、薄々感じていたのだ…
「お母さん……」
私を無闇に傷つけないために、言わなかっただけで。
めめ「……みぞれさん、どうしますか…?」
あれから一通り落ち着いた後、めめさんが静かに聞いてきた。
私は、赤く腫れた目元を拭いながら、勢いよく息を吸いこむ。
そして、決心する。
みぞれ「…皆さんに付いて行かせてください 」
もう、大切な人を失いたくない。
大好きな人の側にいたい。
そして、願うならば、自分がその人達を守りたい。
二度と、こんな思いをしないために。
みぞれ「これから、よろしくお願いします
」