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前線に自ら出張った学院長ズィナミを追って来た実力者たちと、レイブを案じて駆けつけた面々は新たな力を手に入れる事に成功したのだ。
アスタロトの脇に立つウニョウニョ頭、孫の婿であるテューポーンが悪い笑みを浮かべながら言う。
『げへへへ、上手く行きましたね我が君、この時代でも眷属が増え続けていますねぇ~、げへへ』
『うむ、純粋で素朴な原始人ほど御しやすい者は無いな、な? くふふふ』
なるほど……
メルルメノクの延命を良い機会として、周囲にいるメンバーに自分の眷属を憑依させた訳か。
こうして力を得たニンゲンや魔獣はアスタロトの配下になる、そう言う事なのね。
確かに昔カイムが言っていた気がする。
配下の数がそのまま魔王や大魔王、魔神を区別する指標になるんだったなぁ……
魔神とか魔神王とか言っていても、こうした日々の努力、所謂草の根の活動がその地位を守る一助となっている、そう言う事なのだろう。
皆さんの時代で言う所のどぶ板選挙、握手してやった数だけ票は集まるからな、的な事なのかも知れない、何とも世知辛いね。
純粋なレイブはそんな思惑なんかに気が付かないままでアスタロトにお礼を告げる。
「呪文は省略可能だったけど、兎に角、皆を強くしてくれたんですねアスタさん! ありがとうございます!」
『む? いや礼を言われる筋合いでは無いぞ我がレイブよ、これで我が眷属も増えた事だしな♪ なによりお前やギレスラ、ペトラ、後はラマスや弟子たちの事を口汚く罵っていた学院幹部達に一矢を報いてやれただろ? 痛快だな、クァハハハハッ!』
「一矢、ですか? 何です?」
アスタロトは整った顔を酷く歪に偏らせながら応える。
『ふふふ、これであの小娘もその仲間たちも揃って『役立たず』よっ! 可愛いお前等に対して悪し様に言っていた存在と同じくなった訳だ! くははっ、痛快だろう? 悪魔入りになった奴等には二度と無垢の魔力は行使できんのだ、ザマアミロ! くははは、クゥハハハハッ!』
「えっ! えええぇっ! じゃあ皆、ま、魔術師や闘竜、獣奴としては生きられないって事ですかぁ? それ…… え、マジで?」
『ふふんっ』
レイブとペトラ、ギレスラの内に潜んでいた間、周囲の心無い声を聞かされ続けていたアスタロトである、何やら屈託した思いを抱いていたようだ。
レイブ自身は性質上特に思う所はなかったようだが、アスタロトにとってはそれなりに深い感情だったらしく、ワーワーキャッキャッと喜び合っている学院長たちを見る表情は醜く歪んでいた。
魔神の執念深さに戦慄を感じたレイブが顔を引き攣らせていると、それと気が付いたアスタロトがいつも通りの笑顔に戻って言う。
『そんな顔をするなよレイブ…… 含む物が無かったとは言わんが何もそれだけが理由ではないのだぞ? これまでの様に只々隠れ住んで耐え忍ぶ、それで命を継ぐ事が出来なくなってきている…… 世界は変わりつつあるのだ、レイブよ、お前にも判っているのではないか?』
話しながら徐々に表情を真剣な物に変えた魔神に対してレイブは以前から感じていた事について正直に吐露する。
「それって頻発している魔力災害の事ですよね? それと…… 俺やラマス、それに弟子たちに起こった変化についてって事? かな?」
『その通り! 魔力災害については地上の命、その総量が減り始めている事が原因だろうがな…… それとは別にお前達に起こった変化は世界中で起こり始めていることだろう』
「せ、世界中で…… 一体何故……」
アスタロトは登場した時と同じく、大仰に両手を広げて芝居掛かった言葉を言う。
『デイモスとの闘いに赴いてから数千年、我々魔神がゴライアスの子であるお前達四人に憑依した事にはもう既に気が付いているだろう! 同じ事が世界中で起きている…… いづれ有力な悪魔たちは己の依り代を選んで地上に顕現を始めるのだよ、ラマスやジョディ達に起こった変化はその顕著な例だと言えるだろう』
「悪魔…… 神様みたいな存在が沢山現れるって事ですか?」
アスタロトはニヤリとしたニヒルな笑みを一層深くして答える。
『そうだ、悪魔達が帰ってくるのだ』