第8話あらすじ
大森は、やっと自分が犯してしまった罪の大きさに気がつく。
清算するために、大森は「なんでもやる」と約束する。
すると藤澤に言葉通り、 なんでもやる事を求められてしまった。
8-1 〜身から出た錆〜
藤澤は、大森の手を引っ張って運ぶ。
ベット横まで連れていくと、押し倒した。
「え、」
若井が驚きの声を上げる。
藤澤は大森の顔を覗き込むと言う。
「じゃあ言葉通り」
「何でもしてよ」
大森は そう言った本人だが、戸惑いながら瞳を泳がせた。
藤澤は膝立ちになって大森を見下ろす。
「ほら、服脱ぎな」
「…」
大森は若井を、ちらっと見る。
「い、いいけど」
「若井には帰ってもらったら?」
「は?」
若井が、ドスの聞いた声で反応する。
大森の肩が、びくっと跳ねる。
「帰ってもらったらって」
「元貴が見られたくないだけでしょ」
若井が苛立った声で言う。
「さっさと服ぐらい脱いだら?」
若井が続けて追い討ちをかけるので、大森は潤んだ瞳で地面を見つめる。
「…」
しばらく、大森はベッドのシーツを掴んだまま動かない。
痺れを切らした藤澤は、無理矢理にでも脱がそうと上着を掴む。
「っ、やだ!!」
大森は叫んで、手を振り払う
そして、藤澤を突き飛した。
弾かれたように立ち上がると、寝室から逃げようとする。
ベット脇に立っていた若井は 大森の腕を掴んで、逃亡を阻止する。
「逃げんな!!」
若井はぐいっと大森を引き寄せる。
そのまま、抑え込むと大森は号泣しながら座り込んだ。
「う゛…ぇう゛!!」
藤澤も追いつくと、若井の方を見る。
「若井ナイス」
「う、うん」
若井は、ちょっと大森が可哀想に思えてきた。
服を脱ぐことすら、こんなに嫌がるとは予想外だ。
「元貴」
「ベット戻って」
藤澤が大森の手を掴んで、引っ張る。
しかし、大森は首を振る。
「いやだ!!脱ぎたくない!!」
「なんでもするんでしょ」
「服、脱ぐだけだよ」
藤澤が言うと、大森はさらに大きな声で泣き始める。
「やだ!!それ以外なら何でもするから!!」
「それって、なんでもじゃないじゃん」
大森は ぱっと顔を上げると、ぽろぽろと涙を零しながら藤澤に懇願する。
「ねぇ…若井、いるのやだ」
「2人きりがいい…お願い」
「えー…」
藤澤が困ったように若井を見る。
若井は苛立ちと共に、微かな同情が心から消えた。
やっぱり、こいつは舐めてる。
「ぎゃーぎゃーうるせぇ 」
「さっさと脱げ」
若井は大森に歩み寄ると腕を上に掴み上げた。
「や、やだ!!」
大森が暴れるが、その隙に藤澤がさっさとズボンを脱がす。
「ま、まって」
大森が太ももを擦り合わせて、下着を脱がせないように抵抗する。
藤澤は、大森の膝を掴んで足を開かせる。
そして、下着の縁に指を掛けると、簡単に脱がせてしまう。
「う゛、」
大森が嗚咽を上げると再び、しくしくと泣き出す。
「わ、かい…」
「みないで」
「え、そう言われると見たくなる」
若井が ひょいと前かがみになるので 大森は急いで、足を閉じた。
「あれってことは…」
藤澤は考えるような仕草をする。
「若井、元貴の裸…見るの初めて?」
「…」
若井は藤澤の質問に若干、苛立つ。
「まぁ、風呂以外だと」
「あ、へー」
藤澤は口角が上がりそうになるのを抑えた。
「じゃあむしろ…どこまでやってるの?」
「…」
さらに煽ると、若井の苛立ちが表に出る。
少し、目付きが変わった。
「キスぐらいはあるけど」
「ディープ?」
藤澤が続けて聞く。
「…まぁ」
「え」
大森が素っ頓狂な声を上げる。
2人とも同時に大森を見る。
「あ、…」
大森はそれだけ言うと俯いてしまう。
「若井…」
「別にそこ嘘つかなくても…」
藤澤が少し困惑したように言うので、若井は羞恥と嫉妬でおかしくなりそうだ。
くそ、浮気野郎
若井は口には出さないが、心の中で藤澤に向けて吐き捨てた。
「別に今すればいいじゃん」
若井は大森に踏みよると、顎を掴んでこっちを向かせた。
「え」
若井は、ぶつかるようにキスをすると大森の口内に舌を入れ込んだ。
「は、」
大森は一瞬、呆気に取られた
しかし はっとすると、すぐにその舌を噛んだ。
「いっ、て!!」
若井が弾かれるように、大森から離れて口を抑える。
しんっとした一瞬の沈黙に、藤澤は耐えられず吹き出した。
しかし、すぐに訂正する。
「あ、ごめん」
若井が怒りを詰め込んだ瞳で、藤澤を睨む。
その瞳のまま、大森を見下ろす。
「…」
大森は無言のまま、少し震えて若井を見つめている。
若井が右手を振り上げると、大森は顔を庇った。
「だって!急にくるから!!」
大森が涙声で弁解する。
藤澤はそれを見ながら、口角が上がるのを抑えられなかった。
キスすらこんなに拒否されるとは、本当に上手くいってないのかもしれない。
一方、若井は震える大森を見て やはり可哀想に思う。
振り上げた手を下ろす。
「悪いって思ってんなら、 お前からしろよ」
若井はベットに座ると、大森を睨みつける。
「あ、」
大森はさらに、ふるふると震える。
若井の瞳が、大森の瞳を射抜く。
「できるよな?」
「う」
大森は小さく、唸るとゆっくり頷いた。
大森はベットを鳴らしながら、若井に近づく。
若井は瞳も閉じずに、そんな大森の様子を凝視する。
大森の瞳が、うるうると揺れる。
若井は、急にどきどきとしてきた。
大森がゆっくりと若井に顔を寄せる。
若井は心の準備をしたが、あと少しという所で大森が躊躇する。
「…」
大森からキスをしろと指示した手前、自分からは近づきずらい。
苛立ちが、ただ募っていく。
もういいよ
そう言おうと口を開くと 大森は瞳を閉じて、とんとキスをした。
しかし 認識もしない間に大森は、ばたばた離れて距離を取ってしまう。
「…は?」
若井は、つい呆れてしまう。
「おい、誰が鳥みたいなキスしろって言った?」
そう言いながら、大森の顎を掴んでこっちに寄せる。
すると 大森は耳まで赤くしながら、潤んだ瞳で若井を見つめた。
「…」
若井は気づいたら、その瞳に囚われた。
吸い寄せられるように見つめると、大森がぱっと顔を覆った。
「はずか…しい」
大森が小さな声で呟く。
若井は、何かのスイッチが入った音がした。
若井は衝動的に腕を掴むと、顔を覆っている腕を剥がす。
舌を噛まれた過去も吹き飛んだまま、大森の口内に舌を捩じ込んだ。
「んぅ゛」
大森の喘ぎが漏れると、興奮が身体中を駆け巡る。
欲望のままに頭を抑えこんで口内を掻き乱すと、大森が若井の胸を叩く。
それでも続けると腰が立たなくなってきたのか、大森の身体が後ろに傾いていく。
若井は そのまま押し倒して、さらにキスを続けた。
ずっと我慢し続けていた分、強烈に気持ちがいい。
大森の身体が一層強く震えると、何かがお腹をじわっと温める。
若井は息を吸いながら、そこを確認すると大森の体液がかかっていた。
若井の心が、どきっと跳ねる。
まさかキスだけで…
「…もしかして、」
若井が大森に聞くが、大森は蕩けた瞳で若井を見つめるだけだ。
「元貴?」
若井が頬に触れるとゆっくりと視点が戻ってくる。
若井と目線がぶつかると嬉しそうに大森が言う。
「わかい…」
「やっとキスできた」
若井は、ぎゅっと心が掴まれる。
同じように笑うと、涙ながらに言う。
「うん、できた」
「できたね、元貴」
藤澤はその様子を見ながら内心、舌打ちをする。
結局、大森の羞恥心が原因か。
それが解けたら、完全に2人の世界に入ってしまった。
大森は、藤澤がいることを忘れているのだろうか。
こっちだって、浮気をされたようなものだ。
このまま仲直りなど、許すはずがない。
ちょっと亀裂でも入れようかなと藤澤は思った。
「若井」
「次、俺ね」
藤澤が後ろから言うと、若井が戸惑ったような顔をする。
「次って…」
藤澤が若井と目を合わせると、若井は少しむっとした顔をする。
「もう少し元貴の事、考えてあげてもいいんじゃない?」
「え、浮気されたのに優しいね?」
「…」
若井が少し考える。
「なんか理由あるんでしょ」
そう言いながら大森を見る。
大森が、こくこくと頷く。
その様子を見て、若井が続ける。
「話くらい聞いてもいいかなって」
「へー…?」
藤澤は半笑いで若井の話を聞く。
「…なに?」
若井は怪訝そうな顔をして藤澤を見る。
藤澤は、1つ目の爆弾を投げた。
「いや、道理で浮気されるんだなって」
「…は?」
「なんか好きって言われたら浮気されても許しちゃう感じ?」
「甘々だなーって」
若井の目付きが、すっと変わっていく。
「…涼ちゃん」
「さっきから喧嘩売ってる?」
「いや、若井のこと心配してるの」
「元貴にちょろいなって思われてるよ」
若井の口角が怒りで上がる。
「いや、」
「思ってんの涼ちゃんでしょ」
「じゃあ聞くけど」
藤澤は、さらに新しい起爆剤をこさえる。
「この先、元貴と若井で付き合うつもり?」
若井の動きが一瞬、止まる。
「そ、それは…」
「元貴がいいって言うなら」
「わぁーすごいな」
「じゃあ若井は付き合ってもいいんだ」
藤澤がすぐに返すと、 大森が名前を呼ぶ。
「涼ちゃん」
「やめようよ」
「…」
藤澤は大森の方を見つめる。
「元貴」
「若井じゃなくて、俺と付き合おうよ」
「は!?」
若井が勢いよく立ち上がると叫ぶ。
「お前さ、それは無しだろ!!」
「え、なんで?」
藤澤がとぼけると、若井は見たことないほど眉間に皺を寄せる。
「は?なんでじゃねーよ」
「お前がここに居ることすら、俺が許してやってるもん」
「え、ここ僕の家だけど」
藤澤が重ねて言うと、若井が頭を搔く。
「そういうことじゃ…」
「え、本気で言ってる?」
藤澤は若井を見ると言う。
「じゃあ元貴に選んで貰おうか」
大森は怯えた子供のように、小さく体育座りをしていた。
藤澤の言葉に、びっくと顔を上げる。
「え、」
「元貴…どっちがいい?」
藤澤は大森を見下ろす。
しかし どれを選んでも藤澤は、大森の梯子を外す準備が出来ていた。
どちらを選ぶのか、楽しみだ。
だが、大森の事だ。
より、許されている方を選ぶだろう。
大森は戸惑いながら、2人を交互にみる。
しばらく、瞳が揺れていたが覚悟を決めるとぼそっと言った。
「若井…がいい」
若井が勝ち誇った顔でこちらを見る。
藤澤は面白いので、しばらく泳がせた。
「あ、そっか」
若井が明らかにテンションを上げて話す。
「まぁね、8年間ってでかいからさ」
「ごめんね、涼ちゃん」
藤澤は頷くと、爆弾を投下した。
「うん、流石に傷つく」
「心中までさせたくせに」
若井の笑顔が固まる。
藤澤の方を振り返ると意味が分からない顔で聞き返す。
「え、なに?」
「僕からじゃなくて、元貴からいいなよ 」
「これからも付き合うなら、尚更言った方がいいんじゃない?」
若井はもう一度、大森の方をみる。
一方、大森は驚くほど真っ黒な瞳で足元を見つめている。
「どういうこと?」
若井が耐えられずに聞く。
「…」
「…わかんない、覚えてないから」
大森は心が入ってないような声で答える。
藤澤はさらに追撃した。
「回答それでいいの?」
大森が少し震えると、膝に顔を埋める。
そして、もう一度同じように答えた。
「わかんない」
「覚えてない」
若井が耐えられずに大森に踏みよると、髪を掴みあげる。
「おい!!」
「とぼけんな!!」
若井が叫ぶと大森も、つられたように叫ぶ。
「だって!!」
「涼ちゃんは沢山触ってくれるんだもん!!」
若井は苛立って、足もとの枕を蹴る。
枕がぼふっと壁に当たる。
大森が身体を縮こませる。
「それ答えになってねーから」
「だからさ」
藤澤が後ろから若井に話しかける。
「あんまり元貴の言うこと真に受けない方がいいよ」
若井はこちらを向かずに、耳だけで聞いている。
「僕だって心中する瞬間はずっと一緒に居たいって泣かれたのにさ」
「1時間立たないうちにこれだもんね」
若井がぐっと下を向くと、大森に低い声で聞く。
「へーそんなこと言ったの?」
大森は、もう完全に諦めた様だ。
あっさりと返答した。
「うん、なんか悲しかったから」
「なんか悲しかったって…」
若井はうんざりとして、はっと笑うと大森を壁に叩きつけた。
大きな音を立てて、大森の身体が壁に当たる。
「小学生の感想文じゃねーんだよ」
「ここまで来て謝罪のひとつも無いって、どんな神経してんの?」
「ごめんなさい」
大森が抑揚のない声で謝る。
「…」
「お前どこまでも舐めてんな」
若井は、大森を壁から引き剥がすと手を離す。
「仰向けで寝ろ」
若井がベッドを指さすと命令する。
「…」
大森は項垂れると、素直に仰向けで寝っ転がった。
「涼ちゃん」
「ローションとかある?」
「うん」
「ローション以外にも、面白いのあるよ」
藤澤が答えると、興味深そうに若井が振り返る。
「え、なに?」
藤澤はベッド横のチェストに向かう。
ひとつの引き出しを開けると、小さな袋を取り出した。
「じゃん、媚薬ボール」
「媚薬?」
若井が繰り返す。
藤澤は分からないだろうと思い、説明をした。
「うん、これを後ろに入れてそのまま するんだけど」
「少しづつ体温で溶けるから、吸収率もいいし効果も長く続くんだよね」
藤澤は袋を若井に渡す。
「へーそんなのあるんだ」
若井が袋を開けると中から小さなボールが出てくる。
触ってみると、案外硬い。
「結構、固めなんだな」
「うん、そうだね」
若井はローションを手に出すと、大森に冷たく指示する。
「足、開いて」
「…」
大森は顔を横に背けただけだ。
どうやら、足を開くつもりはないらしい。
「…涼ちゃん」
「手伝ってくれる?」
「いいよ」
藤澤は快く返事をすると、大森の足を開かせようと膝を掴む。
しかし、大森はどうにか開かないようにと抵抗をしてくる。
意外と力が強い、藤澤も苦戦する。
「ちょ、っと」
「元貴…反省してるなら開いて」
藤澤が踏ん張りながら言うと大森が首を振る。
「い…、やだ!!」
その様子を見ていた若井も加わる。
「涼ちゃん、右足」
藤澤は右足を両手で掴んで、若井と同時にぐいっと下ろす。
若井は、その隙に膝の間に腕を通して大森の下を握る。
大森が、身体を強ばらせる。
若井は下をローションの付いた手で扱いた。
「っ!!」
大森の身体が飛び上がる。
「や、」
大森は、すぐに若井の腕を掴んで辞めさせようとする。
藤澤は大森の頭の方に回ると、腕を掴んで頭の上に引っ張りあげた。
「お、いいねー」
若井がご機嫌そうに言う。
「涼ちゃん!!」
「やめて!!」
大森が、ばたばたと暴れるが藤澤は無視をする。
若井はその様子を見ると楽しそうに言う。
「よし、絶対泣かす」
若井はさらにローションの量を増やすと、下を両手で包み込む。
「う、」
それだけで、大森が反応する。
そのまま、包みながら上に絞りあげると大森の足が上に跳ねる。
「は、あっ」
「おー意外と感じやすい?」
若井が嬉しそうに言う。
大森は恐怖からか 若井を見つめながら、ぶるぶると震えている。
藤澤は大森が 超が着くほど敏感体質だと言うことを 知っているが黙っておいた。
若井はもう一度、大森の下をぎゅっと握ると容赦なく上下に擦る。
「ん゛っ!!」
大森が身体を快感から守ろうと、腕を縮こませる。
「ここ気持ちいよな」
若井が下の先端をくるっと擦る。
「あ゛っ!!」
大森の腰に電気のような快感が走る。
太ももが、がくがくと震える。
「意外と声でかいな」
若井は同じ所を親指で、ごしごしと擦る。
「うぅ゛ー!!」
大森が首を振る。
焼けるような快感で頭がチカチカとする。
その様子を若井は、じっと観察する。
「いきそう?」
若井は話しかけながら、大森の下をぎゅっと擦りあげる。
「はっ、あ!!」
大森の身体が、ぐっと反る。
「ここ好き?」
若井は反応が1番良かった部分を、もう一度擦る。
「う゛っ!!」
大森の身体が、前かがみになる。
藤澤は大森の肩を掴んで、身体を起こした。
「は、あっ、あ゛」
段々と大森の息が上がってくる。
若井の手が、大森の下をリズミカルに擦り上げる。
「あ、もう…」
大森の身体が震える。
若井は絶頂に届かせようと、手のスピードを早める。
「うう゛っ!!」
大森の身体が、跳ねる。
「や、だ!!」
大森が叫ぶと、若井の肩を踵で 蹴り上げた。
「う゛」
蹴られた若井が反動で後ろに倒れ込む。
「あっはは」
藤澤が、耐えられず笑う。
若井は苛立った顔で肩を擦りながら、起き上がる。
「若井、大丈夫?」
藤澤がつけ加えたように言うので、若井は鋭い睨みを飛ばす。
「涼ちゃん、笑ってたよね」
「ちょっとだけ面白くて」
藤澤が答えると、 若井は苛立ったように息を吐く。
若井はベットの上にある媚薬ボールを拾うと言う。
「まぁいいや」
「さっさと、やっちゃお」
若井は大森の身体を、じろっと観察する。
大森がその視線に反応すると、足をばたばたと動かした。
「やだ!!」
「若井…!!」
大森が前のめりになると、若井に顔を近づける。
「…ごめんね」
「で、でも、初めて…僕…すごく嬉しいの」
大森は、震えながらも一生懸命に話す。
「もっと、大切にしたい」
「わかい」
「お願い…」
大森の言葉、潤んだ瞳、それに捕われると若井の心は ぐらっと崩れる。
大森は若井の気持ちが、揺らいでいるのを敏感に感じ取った。
大森は若井に顔を寄せると、唇にキスをする。
そして、ぺろっと若井の唇を舐める。
「若井、すき」
「大好き」
大森の湿ったまつ毛が震えると、今にも泣きそうな瞳で大森が若井を見つめる。
「若井は僕の事きらい?」
若井は気がついたら、顔を横に振っていた。
心が溶けるように、大森の言葉が入ってくる。
大森が若井に頬を擦り寄せる。
「本当に?嬉しいな…」
「僕も大好きだよ」
大森が耳元で囁く。
「僕のこと大切にして」
「もっと大切にして」
その甘い声が 頭の中で、ぐるぐる廻る。
若井は まるで暗示にかかるように、ふらっと心が浮いていく。
「若井!?」
若井が絆されそうなので、藤澤が名前を呼ぶ。
「あ、…」
若井は夢から覚めたように、藤澤を見つめる。
「ちょっと…大丈夫?」
「あ、いや…なんかやばかった」
若井が少し戸惑ったように言う。
「あぁ、」
大森が、がっくりとした声を出す。
「涼ちゃん、邪魔しないでよ 」
「…こわ」
藤澤が呟く。
「何、いまの…洗脳?」
「そんなんじゃないよ」
大森が、むっとする。
「僕の想いを伝えようと思っただけ」
「なんか…元貴が可愛くみえる…」
若井がぼやっと言う 。
「いつも可愛いでしょ、僕は」
大森が返すと、若井が笑う。
「そうだね」
「うふふ」
大森も照れたように笑う。
さらに、若井と顔を見合わせるとまた笑い合う。
「ちょっと!!」
藤澤は、ぱんと手を叩く。
「若井…何、絆されてんの?」
「い、いや」
「別に絆されてはないけど」
若井が少し気まずそうにする
藤澤は仕方なく、媚薬ボールを若井に手渡す。
「はい、これ」
「あ…、うん」
若井が受け取ると、大森が呟く。
「そんなの無くても、若井のなら気持ちいのに」
「…」
若井の目が揺れる。
藤澤は逃がすものかと、加勢する。
「確かに元貴、感度いいもんね」
「僕の時も何度もイッてたし」
「なんか失禁してなかった?」
「なんで…!!」
「そういうこと言うの!!」
大森は顔を真っ赤にすると叫ぶ。
「へー…」
「誰のでも気持ちいいわけだ?」
若井が呆れたように言う。
「ち、違うよ?」
大森が慌てて、首をふる。
若井は大森の上に乗っかるように、負い被さる。
「失禁って」
「何がそんなに気持ちよかったの?」
大森が目を泳がす。
「え…?」
「…覚えてない」
「へー」
「そんなに良かったんだ」
若井が大森の腰をするりと、撫でる。
大森が、びくっと飛び跳ねた。
若井はキスをするじゃないかと言うくらい顔を近づける。
「同じ事してあげる」
「教えて?」
コメント
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最高だああぁぁ(( 神様ありがとう✨😭
久しぶりですねぴりちゃん…(ぴりちゃんでいいかな、? 藤澤さんに続いて若井さんが 暴走しちゃいましたね…。 どっちとくっついてほしいかもうわかんなくなりました…🫠 藤澤さんが若井さん暴走の鍵握ってるみたいで好き。 この先が気になりすぎます〜…
わ、若井さん…いいぞそのまま、、(( ほんとに書き方が好きなんです…!