テラーノベル
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声が聞こえる。
現実の声。
だけど私は眠たくって目が開けられない。
「ーー」
何か声を掛けられて私はベッドごと移動させられた。
ゴロゴロ車輪が転がって、身体が運ばれていく。
ああ、さっき誰か退院していったから場所の移動になったのね。
さっきまで誰かが使っていたスペースに入れられる。
あら、本棚があって本が置いてあるじゃない。
ほぼほぼ本が入っていない本棚から一冊取り出した。
でも表紙を見てもぼんやりしてて上手く見えない。
私、どうしてカタカナも読めなくなったのかしら。
あぁ、そっか、お薬をたくさん飲んだんだっけ?
だから頭がぼんやりしていて、字が読めないのね。
ならこのフワフワ感をもうちょっと楽しまないと…
眠たい…眠たい…
でも目を開けないといけない気がしてこじ開けた。
いつも通りの病室。
部屋の移動なんてなくて、本棚もないし、本もない。
あぁ、寝ていたんだ。
そう認識すると、また目を閉じた。
夢と幻覚は似ている。
少なくとも私にはそう思われた。
薬から離れた分だけジワジワと心が蝕まれて。
退院したら新しい薬を試してみなくっちゃ。
そんな思いが生まれて。
ただ、目を閉じる。
周りから見たら正常であるように。
傍から見たら普通であるように。
思考だけは薬のことばかり考え抜いて。
ただ、生きる。
それだけ。
ただ、死にたい。
それだけ。
幻覚は夢と似ている。
だから私は眠る。
幻覚をみている気分になりたくて。
死ねないもどかしさを掻き消したくて。
私は眠る。
コメント
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MAKOさん、第5話読みました。現実と夢の境が溶けていくような感覚、とても丁寧に描かれていて胸が締め付けられました。目を開けても閉じても逃れられない「ただ生きる」という重さと、薬への執着が切実で…でも、最後に「眠る」を選ぶ切なさに泣きそうになりました。続きがすごく気になります。