「なあ、類、えむと寧々に少し遅くなると言っておくな」
「え?な、なんでそんなこと…」
「そのままじゃ苦しくて練習に集中できんだろう?」
下半身を指しながら妖し気に笑って見せる。予想通り、類は顔を真っ赤にして慌てながら必死に辻褄の合わない言い訳を次々と口から溢す。
「と、とりあえず大丈夫だから!」
「ほう、今日のショーの練習は疎かにするのか?」
ぐっ、と食い下がり類の表情が変わった。ショーのことを出されたら言い返すことができないのだろう。
そして、オレは類に近づき、追い打ちをかけるように耳元で「今ならオレがヌいてやるぞ?♡」と囁いてみた。はーっ、♡は~っ、♡とオレからの誘惑に抗うように深い呼吸を繰り返しながら類。とても可愛い。いつも冷静で余裕そうな人の、こんなにも余裕がなくなっているところをみるのはかなり面白い。
「沈黙は了承と受け取るぞ」
「えっ、ちょっ……!?」
赤面にして必死に止めてくる類を無視して制服のベルトに手をかけ外す。ズボンのチャックを下げ、ふと類のほうを見てみると、期待と熱を帯びた視線がオレの視線とぶつかる。にやりと笑い下着を下ろそとした時___
『う、うわぁ~~~~~~!!!!???』
ドーンと大きな爆発音のような音がした。
『ちょっと、えむ!?大丈夫!!??』
「類!?あれは何の音だ!?」
「あの音は…司くんが登場するシーンの演出で使おうとしていた爆発装置が誤作動で爆発してしまったようだね。まずいね、あれには火薬が…」
とりあえず様子を見に行こう、と服を秒で直した類がオレの手を引いて急いで更衣室を出る。爆発装置だとか火薬だとか不穏な言葉が聞こえてきたが、今はえむと寧々の安否が心配だ。
「えむ!寧々!大丈夫か!!」
「あ!司くんと類くん!!そこにあった機械がぷしゅーっていってたからね、どうしたんだろう?と思って近づいたらどかーん!って爆発しちゃって…」
「なるほど、この暑さで装置がオーバーヒートしてしまったようだね。二人とも怪我はないかい?」
「うん!私も寧々ちゃんも大丈夫だよ!」
えむは怪我をしていないのを見せるようにくるっと回ってみせた。少し練習着が汚れてしまっているようだが、本当に怪我はないようだ。
「ほんと心臓に悪い…次から気を付けてよね。…ていうか、あんた達まだ着替えてないの?なにしてたのか知らないけど、早く着替えてきて」
「あ、あぁ!すまない!
これ以上えむと寧々に待たせるわけにはいかないので今回はおあずけという事で、類に爆発装置について詳しく聞きながら練習着に着替えた。
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