「スグル!月人の予兆黒点でた!」
「サトル、場所は?先生に報告行くよ」
「先生にはいいって、たまには俺たちで先生をラクさせなきゃだろ」
「はぁ仕方ないな、わかったよ、それじゃ早くしないとね」
「おう!」
「んーよし、スグルは右、俺は左、デカブツはやれる時にやろう」
「はいはい、いつも分析ありがとうね」
それじゃ。スグルと声を交わし月人の方へと駆け出した。上から矢が降ってきたが当たる直前に剣で弾き返す。運良く月人に当たった。このまま運良く行けたらいいな。俺は助走をつけ高く跳ぶ。月人の船に乗り込み、月人を切っていく。左は終わった、傑の方はどうだ。俺は右へ振り向いた。そして目に飛び込んで来たのは月人に破片を集められてるスグル。俺は咄嗟にスグルの方へと我を忘れて走った。
「スグル!」
スグルの周りを囲む月人を切る。月人が塵のように消える。スグルの破片が、ごとり、と音を立てて地面に落ちる。スグルは月人に四肢を砕かれたようだ。スグルが月に連れ去られずに済んだことにほっとした。俺は地面に転がってるスグルの破片を集めた。
ひゅ、ぱりん
「は?」
何処からか飛んできた矢に俺の左手が砕かれた。忘れていた。まだ月人全てを露散仕切っていなかったことを。空を見上げる。月人が矢を引いて俺に狙いを定めていた。よく見ると矢尻が前に連れ去られたヘリオドールで出来ていた。目を瞬いた時。ひゅんっという音とともに矢が飛んできた。またやらかした。なんで気を抜いたんだ。剣を取ることも出来ず、ヘリオドールの矢に砕かれた。
気づいた時はルチルに破片をくっつけてもらった後だった。スグルはまだ寝ている。ルチルの方には、木のお椀に入ったヘリオドールの破片がキラキラと光っていた。
「なぁルチル。ヘリオこんなになっちまったけどちゃんと元に戻るのかよ」
「破片を全て集め、繋ぎ合わせれば元に戻るでしょう。それにしても連れ去られた宝石が武器に加工されるとは思いませんでした。ですが武器となっても我々の元に少量でも帰ってくるのは嬉しいことです。」
ルチルが話している内にスグルも起きた。スグルは自分がヘマをしてしまった、申し訳ない。というが俺は別にスグルが連れさられなければ良いからあんまり気にはしてない。なんなら俺が悪い。月人を全て露散し忘れた。いつもは上手く判断出来るのに。スグルのことになるとスグルしか見えなくなってしまう。
「よぉよぉお二人さん」
「「フォス!?」」
俺の真隣にフォスがひょこっと顔を出す。
「お前どうしたんだよ、ルチルのとこ来て。というかフォスお前仕事決まったのか?」
「もちろん!」
「へぇ、どんな仕事なんだい?」
スグルも興味津々で話に混ざってきた。
「なんと博物誌!」
「博物誌か、いい仕事を貰ったね。フォス」
「でしょでしょ!」
フォスはいつも通りうるさいほど元気に喋る。スグルはフォスによく構ってやっている。スグルの誰にでも優しくしてるところが出てるんだろう。まぁ俺もフォスのことは嫌いじゃない。たまにスグルと三人でクラゲを可愛がったりすることもある。
「で、博物誌どうなんだよ。順調か?」
「いや〜それが…」
「上手くいってないんだね」
予想はしていたが本当だったとは。
「お二人さん、新しいものとかアイディア無い?」
「俺は知らないな」
「私は心当たりなら」
スグルはいつもなら知っててもはぶらかすのに。フォスだから教えてるのか。
「ほうほう!それでそれで!」
「多分シンシャなら色々知ってると思うよ」
「シンシャ?あの?」
「そう、あの」
あの、だけで通じ合うのか。すごいな。だけどシンシャか、シンシャは確かに色々知ってそうではあるが。フォスが多少顔を顰めてるのは見なかったことにしよう。
「それじゃ、スグルから色々聞けたんならさっさと、暗くなる前にシンシャに会ってこい」
「気をつけて行ってきなよ」
フォスはとぼとぼと歩いていった。シンシャと仲良くなれると良いけど、難しそうだろうなフォスは。いつもの冬服に着替えてルチルの元をでる。これからクラゲ見に行きたいな。いや夜でもいいか。部屋に帰る途中でイエローと会った。スグルとイエローは兄貴肌があり通じ合うところも多いんだろう。世間話もよく長々としている。ここは邪魔するのは良くないと思い、スグルを置いて先に部屋に帰る。
To Be Continued…
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ミッえっすご