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評判がいいってどれぐらいなん??
わかんないけどとりあえずかく
放課後が楽しみになったのは、いつ以来だろう。
僕は窓際の席からグラウンドを見下ろしていた。
サッカー部の練習が始まっている。
その中心にいるのは悠真だった。
誰よりも速く走り、誰よりも大きな声を出す。
クラスで見る姿とは少し違う。
それでも周囲の視線を集めるのは変わらなかった。
「悠真って本当にすごいよな」
近くの男子が言う。
「絶対モテるし」
「彼女いないの不思議」
そんな会話が耳に入る。
僕はそっと目を伏せた。
なぜだろう。
少しだけ胸が重かった。
◇
「待った?」
放課後。
校門前で悠真が駆け寄ってきた。
額には汗が浮かんでいる。
「今来たところ」
本当は十分ほど前から待っていた。
もちろん言わない。
「今日はどこ行く?」
「川沿い」
「写真?」
「うん」
二人は並んで歩き始めた。
夕方の風が心地いい。
沈黙があっても苦にならない。
それが不思議だった。
悠真といると、言葉を探さなくていい。
「なあ」
「ん?」
「俺、湊といると楽なんだよな」
突然だった。
自分の足が止まりそうになる。
「そう?」
「うん」
悠真は笑った。
「無理に明るくしなくていいし」
胸が少し熱くなる。
「俺も」
気づけば口にしていた。
「悠真くんといると楽」
悠真が驚いたように目を見開く。
それから少し照れくさそうに笑った。
「なんだそれ」
「本当だから」
「嬉しいな」
その一言だけで、心臓が跳ねた。
◇
川沿いには夕焼けが広がっていた。
オレンジ色に染まる水面。
風に揺れる草。
僕は夢中でシャッターを切る。
悠真は少し離れた場所で空を見ていた。
「悠真くん」
呼ぶ。
「ん?」
「そこ」
「ここ?」
「動かないで」
カシャ。
写真を撮る。
夕焼けを背にした悠真。
少しだけ寂しそうな横顔。
今までで一番綺麗に撮れた気がした。
「また撮ったな」
「いい写真だから」
「肖像権」
「ない」
「あるわ」
二人で笑う。
その時だった。
遠くから女子の声が聞こえた。
「悠真ー!」
振り向く。
同じ学年の女子だった。
明るくて人気のある子。
彼女は駆け寄ると自然に悠真の腕を掴んだ。
「明日の件どうする?」
距離が近い。
とても自然だった。
僕はなぜか視線を逸らした。
胸の奥が少し痛む。
理由は分からない。
分かりたくもなかった。
「ごめん、湊」
悠真が振り返る。
「ちょっと話してくる」
「うん」
平気な顔をする。
得意だった。
昔から。
一人でいることには慣れている。
だから大丈夫。
そう思った。
なのに。
遠くで楽しそうに話す二人を見ていると、胸がざわついた。
写真を撮る気にもなれない。
何をしているんだろう。
自分は。
◇
帰り道。
悠真は何度も話しかけてきた。
だが湊の返事は短かった。
「湊?」
「なに」
「怒ってる?」
「別に」
怒ってはいない。
怒る資格なんてない。
それなのに。
「今日元気ないじゃん」
「そんなことない」
嘘だった。
悠真は少し考えるように歩く。
そして突然言った。
「もしかして嫉妬?」
「え」
心臓が止まりそうになる。
「違う」
即答だった。
だが声が裏返った。
悠真は吹き出した。
「冗談」
「……」
「そんな怖い顔するなって」
楽しそうに笑う。
その顔を見ていると、悔しいくらい安心してしまう。
「さっきの子は?」
僕は聞いた。
「幼なじみ」
「そう」
「彼女じゃないぞ」
なぜそんなことを言うのだろう。
聞いてもいないのに。
なのに。
胸が少し軽くなった。
◇
その夜。
僕はカメラのデータを整理していた。
今日撮った写真が並ぶ。
空。
川。
夕焼け。
そして。
悠真。
気づけば写真のほとんどに悠真が写っていた。
「……」
画面を見つめる。
笑った顔。
困った顔。
ふざけている顔。
全部残しておきたいと思ってしまう。
そこでようやく認めた。
もう誤魔化せない。
自分は。
悠真が好きなんだ。
静かな部屋の中。
その事実だけが、胸の奥に強く響いていた。
しかし湊はまだ知らない。
悠真もまた、少しずつ同じ気持ちを抱き始めていることを――。
にょい
終わり
コメント
1件
わあ、第2話……湊くんの視点がじんわり沁みました。窓からグラウンドの悠真を見る距離感がもう、好きの予感そのもの。カメラ越しじゃないと見つめられない切なさも、気づけば写真のほとんどが悠真になってる自覚も、すごく好きな描写です。夕焼けの中の横顔のカット、あれは確かに一番綺麗に決まってる。 「一緒にいて楽」ってどちらからも言える関係、尊すぎます。続きが待ち遠しいです🌷