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紙木 一覇(かみき かずは)
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カイルの家の扉をノックした。 カイルのお父さんが出てきて、私をカイルの部屋に案内してくれた。
昨日とあまり変わってないが、呼吸の回数が減り、私は涙が出そうとなった。
「カイルさん、今、助けます」
私は丸椅子に座って手を組む。
手に魔力を集中させて。
ぶわっと風が吹き上がり、そこらにあった本や紙が宙に舞う。
淡い光も出てきて、光の蝶も出てきた。
家のあちこちが停電して、全ての力をカイルに使う。
耳鳴りが鳴っても、あちこちが痛くなっても感覚がなくなっても、祈るのをやめない。
…お願い、起きて。元気なあなたを見たの。
頬に涙が伝っても関係無い。
カイルのために祈りを注ぐ。
「くっ…」
魔力が少なくなってきて、体が重くなっていく。
服で隠れていた羽も段々と消えていくのが感覚でわかる。
羽は精霊にとっては生命。
…痛い…痛い!!
焼けるようなもぎ取られているような痛みが背中に走る。
咳をすれば、赤い血が口から出てきた。
『痛いでしょ?苦しいでしょ?そんな人間に命をかける理由があるの?』
『みんなのところに行きたいでしょ?人間はみーんな敵。そんな人間捨てちゃえば?』
ザワザワと精霊の声が聞こえる。
甘い誘惑に一瞬、気を取られそうになった。
だが、もしやめてしまえば、セレナ様に叱られてしまう。
『中途半端は嫌いです』
セレナ様の口癖だったな。
私は覚悟を決め、魔法を編み込む。
…あなたはもっと痛く辛かったのに…。
パッと部屋全体が光に包まれる。
◇
急に眩しくなり、カイルは薄目を開ける。
そこには、リリシアが居てたが、段々と薄くなっていく。
体が重くて手も伸ばせない。
…リリー!!やめて、消えないで!!
ぽつり、ぽつりと涙が頬に伝わる。
カイルが起きていることに気づいた、リリシアはいつものように無邪気な笑顔を向ける。
…お願い、消えないで!
リリシアは口パクで『愛している』と言い、僕のことを優しく抱きしめた。
リリシアは完全に消えてしまって、カイルは生まれて初めて、大泣きをした。
悲しくて、寂しくて、リリシアが居なくなった虚無感が襲ってくる。
カイルは大泣きをして、疲れたのか眠ってしまった。