審議が始まる前の事だった。
ナカユビさん、寝ちゃいましたね……
目を擦りながら、私はベットから起き上がり、保健室から出ていった。
どれだけ右手をブンブン回しても、絶叫する筈のナカユビさんは、声の一つも上げない。
余程、疲れたのだろう。
トボトボと廊下を歩く私。
来週から授業と課題の授頼が出来るようになる。
早く痛みが収まる事を願って、私は歩調を速めた。
廊下の曲がり角に入ろうとした途端、誰かがブツかって来る。
「アデッッッ!」「グハッッッ!」
ブツかってきた人と私は尻餅をついた。
「おい、テメェ…….良い度胸だな…….この俺様にタック…る…と…..」
ブツかってきた人。もとい、グラサンのモヒカンが私に怒鳴ろうとしたが、何故か酷く怯えている。
「ヒィィィィィィィィィィィィ!!!」
「あ、あの、だ、大丈夫ですか?」
グラサンのモヒカンさんの頭に熱があるのか、軽く手を添えて確かめた。
「ママァァァァッッ、ゴベンナサイ…..」
それに応じて、涙声で鼻水を滴すモヒカンのグラサン。
ケガしてるのかなーって思った私が回復魔法を使おうとした刹那。
もう一人、グラサンのモヒカンが現れた。
「おい、キャロル、遅いぞ。いつまであぶr……….」
もう一人のグラサンのモヒカンさんも、私を見て、言葉を詰まらせた。
「た、助けてくれェェェェッッッッッッ!!!!」
何で?
まさか、敵が?!
周囲への警戒を高める私。
魔法を唱え、異空間から剣を抜き放った時、
「何事ですか?」
通りすがっていた教師とその助手も現れました。
グラサンのモヒカンさん達と私を見て、
「…………レハート。警報を鳴らしてください。審議会への連絡も。」
「…….了解いたしました。」
あれ?
私はかチャカリと手錠をかけられた。
あれれ?
何故か牢屋みたいなところに閉じ込まれた。
あれれれ?
なんか偉そうな大人達が牢屋の外で私を指差し、なんか話し合っている。
あれれれれ?
数時間後、牢屋から連れ出され、審議所に立たされた。
どどどどどどっどどうしよぉぉおよよよおおよおう。
ええええ?
ななななにががががががががががががが。
何もしてないのに。嫌疑だの違法行為だの言われている。
後者は心当たりがあるけど……..
何を喋れば良いだろうか?
何も喋れないのに。
何を伝えれば良いだろうか?
何も伝えられないのに。
焦燥と緊張が混ざり合い、鎖となって私を縛る。
「A級コーナトゥス。イリス・ヘル・タナトスーーー………」
助けて。
誰でも良いから助けて。
お願い。タスケテ。
『おい、イリス。これから俺が言うのを、そっくりそのまま言え。』
「ぁ…ぃ….?」
眠っている筈のナカユビさんが私に語りかけてくる。
『時間がない。頼む。』
今は何故も故もいらない。
心の隅々から生まれる疑問を呑み込み、ナカユビさんを信じてみることにした。
「は、はい……」
『先ずは、嫌疑を認めろ。そのような事が私によって起きたのは、十分知っています。』
「ぁ、はい。そ、そのような事が私によって起きたのは、じゅーぶん知っています。」
生まれて始めて、”論争”というモノを私は経験する事になる。
俺の頼み通り、イリスは俺の言葉を真似てくれた。
「そ、そのような事が私によって起きたのは、じゅーぶん知っています。」
イケオジ教頭が興味深そうにイリスへと問いかけた。
「ほう?ならば、何故、こんな事態を起こしたのかね?」
『私は嫌疑をかけられただけであって、実際に被害を出した訳では御座いません。』
「わわ、私は嫌疑を、か、かけられただけであって、じ、実際に被害を出した訳では御座いません!」
ヴィネと呼ばれた生徒がつまらなさそうに発言する。
「さっきの発言と矛盾してんぞ。お前が引き起こしたんだろう?」
をイリス(俺)がブロック。
「わ、私によって起きた事であって、私が、お、起こした訳では、ごご、御座いません!」
「ッチ。」
テメェ今、舌打ちしたな?顔覚えてるからな?
イケオジ教頭がヴィネを睨んで黙らせ、イリスに問を投げ掛けようとしたが、
「嫌疑だなんて、殆ど事実ではないか!!」
今度は傍聴席から小太りのオッサンが顔を真っ赤にして抗議した。
「な、何事があろうとも、け、嫌疑は嫌疑です。嫌疑ではなく、犯罪として扱いたかったら、そ、相応の証拠を持ってきてください。」
これもまた、ブロック。
少し、俺の過去の話をしよう。
俺の人生は不幸が渦巻いてた、不幸のバーゲンセールだった。
最初の不幸として降ってきたのは、コントの相方の裏切りだった。
当時、怒りにも怒った俺は、その相方を起訴しようとするも、それより先に有りもしない罪名で起訴され、被告人になってしまった事がある。
俺は金がなく、弁護士を雇うにも、これ以上借金する訳にもいかなったから、
俺は……..
自分で自分の弁護をした。
勿論、ボロクソ言われて負けた。
それからも、数々のトラブルに巻き込まれ、トータル三十八回起訴される事になったが、全て自分で自分の弁護をした。
勝った事はないがな。
しかし、これだけは覚えて欲しい。
俺が政府の検事相手に論争を繰り広げた時間の最長タイムは、一時間を超えてる事を……..
リアルさの欠けた設定をドンドン追加していくハラムです。
痔になりました。
座ることさえままならないぜ。
コメント
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痔 …… ド ン マ イ で す ☆ (