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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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文化祭。
初日。
校内は、
朝から大騒ぎだった。
「玲くん!」
「ん?」
「こっち!」
星羅が。
玲の手を引っ張る。
「まずはどこ?」
「決めてない」
「じゃあ私が決める!」
「……任せる」
「やった!」
星羅は。
楽しそうに笑った。
「最初は――」
「……」
「クレープ!」
「朝から?」
「文化祭だからいいの」
「そうか」
二人で屋台へ向かう。
「いらっしゃいませー!」
「チョコバナナ一つ!」
「玲くんは?」
「俺も同じ」
「えへへ」
二つのクレープを受け取る。
「いただきます」
「いただきます」
星羅が一口。
「……おいしい!」
「本当だな」
「玲くん」
「ん?」
「あーん」
「……」
「ほら」
星羅が。
クレープを差し出す。
「自分で食べろ」
「えー」
「……」
「恋人なのに?」
「……」
玲は諦める。
「あーん」
「……!」
星羅は。
満面の笑み。
「おいしい?」
「ああ」
「……じゃあ」
星羅も。
「あーん」
「……」
玲が食べる。
「どう?」
「甘い」
「……」
「クレープが」
「……分かってるよ」
星羅は。
顔を赤くする。
「……もう」
二人で笑う。
そんな時間が。
ずっと続くと思っていた。
――その時。
「……玲?」
「……?」
後ろから。
声がした。
玲が振り返る。
「……誰?」
一人の少女。
同じ学校の制服。
けれど。
玲には見覚えがない。
「やっぱり」
少女は。
玲を見る。
「黒瀬玲くんだ」
「……」
「久しぶり」
「……?」
「私のこと、覚えてない?」
「悪い」
玲は首を振る。
「覚えてない」
「……そっか」
少女は。
少し寂しそうに笑った。
「無理もないよね」
「……」
「七年前だもん」
玲の表情が変わる。
「……七年前?」
「うん」
少女は。
星羅を見る。
「天城星羅さん」
「……はい」
「あなたも」
「……?」
「私のこと覚えてないよね」
星羅は。
少女をじっと見る。
「……ごめんなさい」
「ううん」
少女は笑う。
「それでいいの」
その瞬間。
星羅の背筋に。
嫌な感覚が走った。
「玲くん」
「ん?」
「少し」
星羅は。
玲の腕を掴む。
「この子と二人で話していい?」
「……」
少女は。
少し驚いた顔をする。
「……警戒されてる?」
「当然でしょ」
星羅は笑顔。
でも。
目は笑っていない。
「玲くんに突然近づく人なんだから」
「……」
少女は。
少し苦笑する。
「なるほど」
「何?」
「玲くんの彼女なんだ」
「そうです」
即答。
「……」
「何か問題あります?」
「いや」
少女は首を振る。
「むしろ安心した」
「……?」
「七年前のあの子が」
「……」
「ちゃんと笑ってるから」
星羅の表情が止まる。
「……どういう意味?」
「私は」
少女は。
玲を見る。
「あなたたちが離れた後のことを知ってる」
「……!」
玲が一歩近づく。
「何を知ってる?」
「全部じゃない」
「なら」
少女は。
小さな封筒を取り出す。
「これを見て」
玲が受け取る。
封筒には。
古い文字。
『2017年12月』
「……」
中には。
一枚の写真。
停電直後の会場。
幼い玲と星羅。
そして。
その二人を抱きかかえる。
一人の女性。
「……母さん?」
玲の声が震える。
「違う」
少女が言う。
「あなたのお母さんじゃない」
「……!」
「この人」
写真の端。
顔が少しだけ見える。
「あなたたちを助けた人」
「……」
「でも」
少女は。
声を落とす。
「その人が」
「……」
「二人の記憶を消した原因でもある」
玲の手が止まる。
「……どういうことだ?」
「今は言えない」
「なぜ?」
「まだ」
少女は。
星羅を見る。
「あなたたちが知るには早いから」
「……」
星羅の目が。
冷たくなる。
「玲くん」
「ん?」
「この人」
「……?」
「何か隠してる」
少女は笑う。
「鋭いね」
「当たり前です」
「……」
星羅は。
玲の手を握る。
「この人」
「?」
「私たちを守った人じゃなくて」
「……」
「私たちを引き離した人なんじゃない?」
少女の表情が変わる。
「……半分正解」
「……!」
玲が聞き返す。
「半分?」
「うん」
「どういう意味だ」
「その人は」
少女は。
写真を指差す。
「あなたたちを引き離した」
「……」
「でも」
「……」
「それは」
少女は言った。
「あなたたちを助けるためだった」
星羅は黙る。
そして。
「……誰から?」
少女は答えない。
「誰から私たちを守ったの?」
「……」
「誰が」
星羅の声が。
少し震える。
「私たちを狙ってたの?」
少女は。
しばらく黙った。
そして。
「……まだ言えない」
踵を返す。
「待って!」
玲が呼び止める。
「名前だけでも教えてくれ!」
少女は。
少しだけ振り返る。
「……美咲」
「……?」
「私の名前」
「美咲……」
「覚えておいて」
そして。
「次に会う時」
少女は笑う。
「全部話す」
人混みに消えていった。
「……」
玲は。
その背中を見つめる。
「玲くん」
「……ん?」
星羅が。
静かに言う。
「私」
「?」
「怖くないよ」
「……」
「玲くんがいるから」
そして。
玲の手を握る。
「でも」
少しだけ。
笑う。
「玲くんを奪おうとする人がいるなら」
「……」
「私は絶対に許さない」
「星羅?」
「大丈夫」
星羅は笑顔を作る。
「ただの独り言」
「……そうか」
「うん」
二人は。
また歩き始める。
しかし。
その直後。
星羅のスマホが震えた。
『美咲に会ったね』
「……」
星羅は。
画面を見つめる。
『彼女はあなたたちの過去を知っている』
『でも、彼女だけじゃない』
そして。
『文化祭の中に』
『あの夜を知る人間がいる』
星羅の指が止まる。
「……」
『あなたのすぐ近くに』
星羅は。
ゆっくり周囲を見渡す。
たくさんの生徒。
教師。
来場者。
そして。
「……」
その中に。
一瞬だけ。
こちらを見ていた人物がいた。
目が合う。
――笑った。
「……!」
星羅の表情から。
笑顔が消える。
「玲くん」
「ん?」
「……帰ろう」
「まだ文化祭始まったばかりだぞ?」
「……うん」
星羅は。
玲の腕を抱きしめる。
「でも」
その人物から。
玲を隠すように。
「今日は」
「私のそばにいて」
「……ああ」
星羅は。
玲の肩に顔を寄せる。
そして。
誰にも聞こえない声で。
「……絶対に渡さない」
文化祭の喧騒の中。
二人を見つめる。
一つの視線だけが。
消えなかった。
コメント
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えっと…!!文化祭デートの甘々クレープシーンからの、まさかの美咲登場で一気にミステリー展開に…!!💦 七年前の記憶、玲くんのお母さんじゃない女性、そして「引き離した」真相…気になりすぎる!😭 星羅ちゃんの「絶対に許さない」の台詞、普段の可愛いイメージから一転してカッコよすぎて震えた…。最後の不気味な視線も続きが気になる!次話めっちゃ待ってます!!🔥