私は次の日、学校にアルバムを持って行った。
「お、雪田さん!見せてよ!」
「いいよ!」
私自身も1度も開いたことが無かったため、少し楽しみだった。
「えーめぐめっちゃ可愛いじゃん!」
あかりがいつものトーンで話す。
母との2ショットや私だけが写された写真で埋められた無地のアルバムに、1枚だけ見知らぬ子が写った写真があった。
「この子…誰だ?」
男子が私に聞いた。
「私も分からない。」
そう答えるとあかりが眉を困らせて言った。
「この顔、知ってる気がする。でも、思い出せない!」
「えー気になるじゃんかよ!早く思い出せよ!」
男子があかりを茶化す。
「そんなこと言っても!」
結局誰も分からないまま下校時間となった。
家へ帰ると母がハヤシライスを作って待っていた。
「めぐ、おかえり。ハヤシライス出来てるわよ。」
「はーい!」
手を洗って食卓へ向かう。
「いただきます。」
母のハヤシライスは久しぶりに食べた。
「あ、そうだ、この人って誰?」
学校で話題になったあの写真を母に見せる。
「あ……………」
母の顔から血の気が引いたのを感じた。
「お風呂上がったら、ゆっくり話しましょう。」
何かまずいことを聞いてしまったのかと不安になる。
よく考えてみれば、あの1枚しか私と母以外の誰かが写っている写真が無いなんて、隠そうとでもしない限りそう多くはない話だ。
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