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“姫路裏 美琴(ひめじうら みこと)”
それが私の名前です。
本日、私は友人の由香と遊ぶ約束をしていました。
由香は高校からの付き合いで、違う大学に行っても遊ぶほどに仲が良い友人です。
私は久々に会う由香に、失礼を働かないよう服を選んでいました。
黒、白、深緑の3着のワンピース。
姿見で1つずつ確認していき、最終的には黒のワンピースを選びました。
丈の長い落ち着いた感じのワンピース。鎖骨辺りが少し透け、袖はふんわりと膨らんでいるもので、私のお気に入りです。
身支度を整え終えた私は、出るにはまだ時間が早く、スマホを見ていました。
私の日課である幾良井幸村さんのツブッターの確認。
私は最新ツブートをみて、驚きを隠せませんでした。
驚きのあまりスマホを床に落としかけた程にです。
[速報~!『空白』映画化決定✌️まぁ、前から決まってた事やけどw今から未来君になって撮影行ってきます👋]
幸村さんの写真付でそうツブートされていました。
映画化決定。
私は私の顔が火照った感覚がありました。
今の私は顔が赤いのでしょう。
『また新しい未来君に会える』
私は嬉しい気持ちでいっぱいでした。
喜びに耽っていると、出なければいけない時間より数分も進んでいました。
大変、と私は慌てて肩掛け鞄を持って、家を飛び出しました。
家には母がいるので鍵を閉めるのを怠り、早歩きで駅に向かいます。
急いでいる時に限って信号に引っ掛かってしまうのは何故なんでしょう。
早く早く、と信号に対して意味もなく急かしました。
なんとか乗る予定だった電車には乗れました。
上がった息を整えて、私は空いている席に座りました。
鞄からスマホを取りだし、先ほどのツブートをもう一度確認しました。
幸村さんのツブートが更新されており、
[輝人君と久々の再会!輝人君の心君役楽しみやわ。撮影側のメンツも変わってなくて落ち着く~]
未来君になったであろう幸村さんの写真付。
私はいいねをして、画像を保存しました。
『かっこいい…』
と言う言葉を抑えつつ、私は未来君を眺める。
まもなく、××駅~××駅です。お降りの際、忘れ物ございませんようお気をつけください。
繰り返します。。。
気が付けばもう目的駅に着き、私はスマホを鞄に入れて電車を出ました。
そして、その駅の改札を出て、待ち合わせの場所である広場に向かいました。
由香はまだ来ておらず、私は再度未来君の写真を眺め始めます。
数分経ったあと、由香が来ました。
『久しぶり~!相変わらず早いなぁ』
スマホの向こう側から声が聞こえ、私はスマホを見るのを止めました。
スマホから視線を変えると、そこには友人の由香がいて、手を振っています。
私は振り返しました。
『お久しぶりです。私が乗る線は遅延が多いので…』
苦笑いをして見せると、由香も笑いました。
そして何かを思い出したかのように、由香が私に近付き
『『空白』の映画化決定。また未来君に会えるね。』
そう耳打ちをしました。
私は頬を赤らめ、手で覆うと小さく頷きました。
『へへ、んじゃアタシと映画見に行こうや。アタシも心君に会いたいし』
由香は胸の前で指を絡めてキラキラした目で私を見てきます。
私は『勿論です!』と即答し、『一緒に会いに行きましょう』と由香の手を掴みました。
“紅柄 由香(べにがら ゆか)”
私の友人で、『空白』のファンです。
主人公の”愛来 心(あいくる こころ)“推しだそうです。
私の未来君に対する想いを理解してくれる1人で、私は彼女の事が好きです。
勿論友愛の意味で、ですよ。
私達は目的のカラオケに向かいます。
カラオケまでの道では『空白』について語っていました。
ここのシーンの心君が良かった、未来君が良かったと、お互い話していました。
私は基本的に人と話すのは苦手なのですが、由香とは話が弾みます。
それも『空白』のおかげだろうと思います。
私達は『空白』の大ファンで、それのおかげで話が弾みます。
勿論他の話しでも盛り上がるのですが、『空白』は特に盛り上がります。
さて、私達はカラオケに到着し、歌を歌い始めました。
5時間ぶっ通しで歌った私達は喉がガラガラになりました。
ガラガラ声にお互い笑いあい、映画化したらまた会おうと別れました。
帰りの電車、私はツブートを確認しました。
[今日の撮影終わり~。疲れた!輝人君の演技が上達してて僕も頑張らなってなったわwww]
いいね
[監督によると12月に公開予定らしい。未来君推しの人楽しみにしててね~]
いいね、リツブート
[楽しみにしてます!]
いいね
[未来推しなんていんの?www]
無視
[ゴミライというより幸村君待ち~(笑)]
無視
[ちょっとちょっとw俺が役してる未来君に何て事言うのwww屑ってる未来君が良いんでしょうが!www]
いいね、コメント
[屑ってる未来君好きです(笑)私は未来君を待ってます!]
……送らない方が良かったのではないかと私は思いました。
気持ちをこんな簡単に、顔も合わせず言っても良かったのでしょうか。
コメントを消すために3つの点があるボタンを押そうとした時、通知が来ました。
〔幾良井幸村さんがあなたの返信にいいねしました〕
〔幾良井幸村さんがあなたに返信しました〕
[屑ってる未来君好きとか、、、君とは良い酒が飲めそうやわ]
私は混乱してしまった。
『本人から…返信…?何故…?』
幸村さんは反応する人だ。だからいいねまでは分かります。
でも何故?どうして返信をしたのでしょうか。
幸村さんは返信なんて滅多にしないのに。
その少数に私は選ばれた?
嬉しいような理解できないような、そんな気持ちになりました。
気が付けば私は最寄り駅を乗り過ごしていました。
次で降りないと。
私は次の駅に着くまで、幸村さんに返信すべきか迷っていました。
私は返信内容を書いては消してを繰り返し、結局いいねだけで終わらせました。
なんて返せば良いのか分からなかったのです。
次の駅で降りた私は、そこから徒歩で家に帰りました。
帰っている時の頭は幸村さんの返信でいっぱいでした。
[君とは良い酒が飲めそうやわ]
幸村さんは私の趣向と同じ?
あり得ないだろうけど幸村さんは未来君が好きだったり…
いやない、無くあって欲しい。
未来君と同じ顔の幸村さん。
どちらかと言うと好きな方でした。
けれど、私は…少し、嫌悪を抱いてしまいました。