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「姉さん…私、教室に入ったらどうすれば良いかな」
長い廊下を歩きながら、 少し首を傾けて海は姉の守に問うた。
守はうーんと唸りながら答えた。
「こっちに聞く方が間違ってないかなぁ」
ポニーテールをゆらゆら揺らしながら「わかんないし」と繋げた。
そうこうしてる内にあるドアの前に着き、憂鬱感丸出しで姉に向き直ると無情にも姉は笑顔で言った。
「んじゃ、お姉ちゃんは応援してるよ」
手を振りながら言う姉をじとりと見つめた後こくりと頷きドアを開けた。
「来たか」
教壇に立っているのは黒髪に頬のボーダーが特徴的な教員_無陀野だ。
「早く座れ」
顎で指示されると海はとてとてと歩き始め、すとんと後ろの方の席に座った。
海が座ったのを確認すると、無陀野が話し始めた。
「今日は本来学校説明と案内だが、他の事をする」
その言葉にクラス中がざわめく。
無陀野は何でもないように言った。
「お前ら鬼だろ?じゃあ鬼ごっこに決まっているだろう」
海はそれに目を丸くしていたが、そんなことも気にせず無陀野は鬼ごっこをする森へと海達を連れていった。
ルールは比較的シンプルなもので、チームに別れ、制限時間内にこの森_『新羅の森』を抜けるというものだった。負けた場合は即退学、勝てばそのまま在籍でき、無陀野を殺した場合は即卒業であり、血気盛んな者は勿論殺すつもりだ。
だが、それには無陀野が投げるボールを持っていなければならず、半数が退学になる。
「殺す気で…か」
海は手を開いたり閉じたりしながら無陀野を見据える。
こんなこともあろうかと、刃物はちゃんと常備していた。
(殺すことができれば姉さんのところに行ける)
姉の、否、家族のためならば苦ではない。
気付けば海は最初のチームになっており、とりあえず自己紹介の流れになった。
一ノ瀬四季、屏風浦帆稀、あと金髪の黒マスクと同じチームである。
自己紹介のトリはいつの間にか海になっており、とりあえず名前だけ言うことにした。
「私は神示海。よろしく頼む」
ぺこりと頭を下げると「俺が二人まとめて守る!」と四季が意気込んでいたが、海は指を噛み切って冷たく言った。
「私を守ろうとするな」
その手にはみるみる刀が作られていく。
「私はそんなに柔くはないからな」
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