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「お前、それ…」

「神示さん…?」


呆気に取られた二人を尻目にフェンスの中へとずかずか入っていく海は二人にとって異質に見えたが、すぐに追いかけてきた。


「別に着いてこなくていい」


そう言いながら高くジャンプし、四季達の視界から姿を消した。

そのまま枝と枝の間を飛び回りボールを探す。

(一応持っていて損は無いからな)


飛んで、降りて、探して。飛んで、降りて、探して。


それを繰り返す内に大きな地響きがした。


「…?」


木に登って見てみると、血液で作られた巨人が暴れているところだった。


「一ノ瀬!屏風ヶ浦!皇后崎!」


木の頂点から頂点へ飛んでそこまでの距離をショートカットしていく。

とん、と四季達が居るところへ降り立つと四季は目を丸くしていた。


「加勢する」


その言葉より他に頼もしい言葉は無く、四季は口角を上げて「頼む!」と答えた。

海はこくりと頷いて親指を噛み切る。


『血蝕解放』


どんどん鞘の中に納められた刀の形をとっていく血は美しいの一言でしか言い表せない。


『_素戔嗚尊』


走りながら刀を構え、高く跳んで勢いよく抜刀する。

その斬擊は凄まじい威力で巨人の腕を襲った。

腕が切り落とされ、四季達は息を飲んだ。

巨人は叫んだかと思うと海をもう片方の腕で撥ね飛ばす。

海は近くの木に体を叩きつけられ、血が口から漏れ出た。


「かはっ…!」

「神示!」


四季が駆け寄り、海に声をかける。

げほげほと咳をしながら少し笑って海は言った。


「大丈夫。…一ノ瀬、手を貸してくれ」


口から流れた血を刀に変えながらふらふらと四季に支えられながら立ち上がり、海は四季と迅に向けて大声で言った。


「勝ち筋が見えたッ!一泡吹かせようじゃないかッ!」



さぁ、お立ち会い。

本番はここからである。

その姉妹、鬼女につき。

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