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#.2 掌の上で

⚠uplt要素あり





_up side_


ハァ,ハァ,ハァ,ハ,ハァ…ヒュー,ヒュー…


自分の呼吸と心臓の嫌な音が身体中に響き渡る。心の何処を探しても、ltさんを救える手段も、この女を始末する勇気も、何もかもが失くなり、ただ絶望だけが心を犯す。


??「ふふふっ、あははははっ!!!!」


キチガイ女が奇妙な程愉快な笑い声をあげる。その笑い声は、俺の心に在る恐怖心と、怒りを煽るようだった。


??「素敵ですよ、とってもね。」

「私の腹が満たされていくようです。」


そう言い、女は俺の顔をひきつった笑顔で覗き込み、嬉しそうにフェイスラインをなぞる。全身が寒気を感じ、冷たい汗が頬を伝う。


up「誰、だ?何者、なんだよ?」


何とか絞り出した声は震え、弱々しく路地に響いた。女は、深い藍色の目を開き、穏やかな口調で言った。


mm「私はmmntmr。まぁ…悪魔ですね。」

「絶望の悪魔、とか言われてましたかねぇ…」


mmntmrと名乗る女は、また目を閉じ、自慢するように、悪魔だと言い放った。その言葉には何処かしっくりと来るものがある。


相変わらず心臓のどくん、どくんと五月蝿い鼓動が、身体中を駆け巡る。心は、疑問と怒りと恨みと…汚い感情で埋め尽くされた。そんなときにも、ただただmmntmrは笑みを浮かべていた。


なんで、?なんで?なんでltさんなの?ただコラボカフェに行こうとしただけだったのに。ねぇ神様。どうしてですか?何をしたんですか、俺らが、ltさんがなにしたって言うんですか。ねぇ嫌だ。やだやだやだやだやだ。なんでこいつは笑ってるんだよ。意味わかんない。は?


mm「ほら、最近世間は平和そのものじゃないですか。」

「だから絶望を糧にする私たち悪魔はヤバイって訳です!だから平和を壊そうかなと。」


意味不明で自分勝手な行動に、呆れと怒りが沸々と沸いてくる。今までに感じたこともない感情が、全身を震わせる。


mm「ふふ、とってもいいですよ、今の表情!絶望を越えた怒りに満ち溢れた顔!」


腹立たしい悪魔の声。反射的に地面を蹴り、顔面目掛けて拳を振り下ろす。重たい拳は、そのまま悪魔の驚いた顔に落ちた。


mm「ッ何、するんですかッ!!!」


愉快な表情からギロりと目付きが代わり、ゾッと寒気がする。mmntmrの手から藍色の光が漏れだす。途端に、大きな骸骨がついた鎌が現れる。

普通なら怯んでしまうだろう。足が竦み、後退り、腰を抜かすだろう。だが今は違った。今の俺は、もう自分を抑制することが出来なかった。ただただ猪突猛進で蹴りや拳を入れる。


mm「ッた、う”ッ…!!」


悪魔は苦しそうに呻きながら、後ろに倒れ込む。いける、鎌を急いで奪って、首を裂いてやればいい。焦るな。落ち着け。

そう身体に言い聞かせつつも、憎たらしい奴をもうすぐ56せるということに心が弾み、口元がニヤつく。


そのとき、いきなりmmntmrが目前から消えた。


up「ッは!?何処にッ」

mm「ここですよ」


その声と共に、視界が霞む。目線を落とすと、腹から突き出た鎌の刃先、さらに、赤黒い自分から垂れたであろう血が移る。


up「は…、?な、ん、で…ッ?」


全身の力が一気に抜け、地面に身体が叩きつけられる。ボヤけた視界にわずかに、生気を失ったltさんが移り込んだ。


mm「貴方のようなたかが人間が、悪魔に勝てるとお思いで?」

「ほんとに愚かですねw」


嘲笑を含まれた、大嫌いな声が、さらに俺の心を抉り、虐げる。微かに移ったmmntmrの身体は、俺が殴った跡がすっかり消え、平然に笑みを浮かべていた。


mm「知ってました?私達悪魔って、首を裂いて心臓を突かないと、4なないし、一定時間で回復するんですよ」

mm「ま、でも、貴方に希望を見せることで更なる絶望を貰えました、どうも♪」


そういって、軽やかに去っていく悪魔の背中を、ただ見つめるしか出来なかった。




平和クラッシャー

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