#.3 心の救世主
⚠mzri要素あり
_rir- side_
いつもの仲間と食卓につく。いつもの暖かい食事が目前に並ぶ。煌びやかで豪華なものではないが、素朴で愛を感じる料理だ。
mz「じゃあみんな手を合わせましょう!」
「いたたぎます!」
『いただきまーす!!』
この孤児院のお母さん的な存在である、mzr先生の声に合わせて、手を合わせる。mzr先生の笑顔は、いつも温かく私達を見守ってくれていた。
私が生まれたのは、古い考えがくっきりと残った田舎の村。そこでは紫、黒が不吉の色と代々伝えられ、紫、黒のものは見ないようにしているらしい。
私の生まれつきの髪色は紫。深い深い、紫だった。生まれて初めて皆が私に「気持ち悪い」と発した、軽蔑の意を込めて。
それからは、何度も56されかけ、差別され、全てが敵に見えた。どれだけ髪が痛んでも、白の絵の具やスプレーを塗りたくり、必死に紫を隠した。
歳が5になった頃、両親が村長に56された。次はお前だ。私にはそう暗示されているように感じて、ただただ知らないところを彷徨い、逃げた。
mz「貴女、ご両親は?どうしたの…?」
優しい声が私を呼び止める。そこにいたのが、mzr先生だった。心配げに揺れる水色の瞳が、こちらを見つめている。
ri「ぱぱとッ、まま、はッ、56されちゃった、の、…」
「たすけてッ…おねがい…!!」
自然とそんな言葉が口から零れた。mzr先生は、冷たい私の手をぎゅっと握った。瞼が熱くなり、額を涙が伝う。
やがて、追手が恐ろしい形相で、息を切らしながらやってきたらしい。その頃、私はmzr先生と一緒に、施設のような場所で身を隠していた。後日、その村の多くの村民が、殺人等の罪に問われ、逮捕されたそうだ。
mz「その髪は…元の髪色じゃないですよね…?」
ri「ッ…、は、はいッ…」
きっと否定される。また差別されるんだ。迫り来る恐怖にごくりと唾をのむ。背中に気持ち悪い冷や汗が滲む。
mz「ちょっと来てくれませんか?」
そういって、mzr先生は、ふわりと優しく私を抱き上げ、何処かへ連れていった。そこは風呂だった。冷たい川の水ではない、暖かなお湯が髪全体に滴った。
mz「たくさん洗いましたが…毛先部分しか取れないですね…」
その後、mzr先生にごしごしと頭を洗ってもらった。毛先部分だけだったが、白が抜け落ち、紫が見えた。痛んだ髪は、少しだけ艶を取り戻したように思えた。
mz「髪色で差別されたんですか?」
ri「…はいッ…紫は、不吉って…言われて、」
「私なんて、生まれてこなきゃって、思いましたッ…自分、なんてッ…嫌い、って…」
恐る恐る告白すると、mzrさんは、涙を溢した。そして、私をぎゅっと抱きしめ、そっと囁いた。
mz「ありのままの貴女が、素敵でとっても可愛いです…」
「自信を持てるように、私がサポートしますからねッ…!」
その言葉に、救われた。何かから解放されたように、大粒の涙が零れ落ちた。私を縛っていた縄が、一気にほどけたようだった。
ri「mzr先生ぇ…ここわかんないです…」
mz「真面目ですね、rir-さんは!どこですか?」
ここに来てかれこれ8年。13になった今は、世話、さらには勉強までさせて貰って、おんぶに抱っこだ。里親が見つかれば、この孤児院で働いて、mzr先生にも恩返ししたいと思っている。
辛かった過去が、幸せで新鮮な記憶で上書きされてゆく。幸せで心が満たされるように毎日が過ぎ去っていった。
??「ふふ、これは…、壊し甲斐がありますねぇ…」
コメント
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おー!続きが楽しみ!!!
おぉ〜!最後の?のところmmさんの気しかしない(?) 紫はまだしも黒は良いだろ…