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「じゃあ次は……ふたりで向かい合って、踊ってみようか」
藤澤の声に導かれ、大森と若井の体がゆっくりと動き出す。
真剣な顔で向かい合う二人。
その足元は、ガニ股のまま。
そして――奇妙なリズムで手を振り始めた。
左手をグーにして天に突き上げ、
右手はパタパタと羽ばたくように振る。
リズムは……謎。
(なにこの動き……なにしてんの俺……!)
大森は額にうっすら汗を浮かべながら、必死に叫ぶ心の中。
(いやいや!なんか……若井もノってきてるし!!)
(おい!変なシンクロするなって!!)
若井の心もまた混乱していた。
(動き止まらんし……なんか大森の動きに自然に合わせてしまってるのが腹立つ)
(ていうか藤澤、笑いすぎだろ……!)
パシャ。パシャ。
「うんうん、いい感じ!すっごい息合ってるよ〜。
あっ!次は手をくるくる回して、頭ポンポンしてみよう!」
藤澤は笑いながら連写。
催眠ダンスはさらに謎の進化を遂げていく。
足をクロスして戻し、肩を揺らしながら両手で自分の頭を軽くポンポン。
その表情は……相変わらず真顔。
(……終わってくれ……この時間……)
(俺たち、なんのユニットなんだ……)
催眠はまだ――解けない。