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「じんちゃんかわええなあもう」
「じんちゃんまた動画見てんの〜?」
「それ好きだな」
「別にいいだろ」
リハ前の楽屋、そこには仁人・勇斗・舜太の三人がいた。他の2人は気晴らしに外に出ているらしい。
仁人がいつも通り1人ですごしているとよく舜太は構ってくる。本人からすると鬱陶しいがそういう性格なので仕方がないと諦めている。
舜太はぴったりとくっついて仁人のスマホを覗き込んでいる。それを遠くの椅子に座っていた勇斗はしばらく無言で見つめた後、舜太の反対側ーー仁人の隣に同じように座った。
男2人に挟まれていい気がしなかったのか仁人の顔が歪む。
「あんたら何でこっちくんのよ。勝手に暇つぶしてろって」
呆れたように言う仁人は2人に見向きもしない。そんな様子を見て舜太と隼人が目を見合わせる。不満そうな顔をする舜太に対して勇斗は少し考えてから口角をあげた。
「冷たいなーおいちゃんは〜」
さらに体を密着させ仁人の腹のあたりを手を置く。それでも無反応で動画を見ている仁人を見て、その手を腹から胸まで撫でるようにつつ…と動かす。
「んっ…!」
仁人の口から思わずくぐもった声が出る。
「お前な…!」
さすがにスマホから目を話勇斗に怒った顔を向けた。ニヤニヤと笑う勇斗とは対照的に舜太の表情は固まっている。仁人と勇斗が小さな言い争いをしていると、横にいた舜太の手が仁人のふとももをゆっくりとなでた。
「だから…ぁっ」
油断していたのか先ほどよりも小さいが色っぽい声が出て、仁人は自分でもびっくりして口をふさぎ舜太に向き直る。それを見て舜太は満足そうににこにこと笑う。
「びっくりした?」
「…舜太…!おま…!」
恥ずかしさをごまかすように仁人は舜太を睨むが舜太はただ嬉しそうだ。それを見て勇斗は少し眉を顰める。が、すぐ普段の顔に戻り少しニヤリと笑う。
「ほんと仁人って敏感だよな〜」
また上半身に手をのばし脇腹のあたりをいやらしく撫でる。それを上に移動させてインナーの上から軽く左胸全体を撫でる。
「あっ…ん!ふざけんな!このっ…ん、う」
ふりほどこうとするか舜太の手に太ももから内側、そこから股間の近くへスライドするように撫でられ体をぎゅっと縮こませる。それでも手は離れない。
怒りを表していたはずが状況が理解できず困惑するように下がり眉になり2人を見る仁人に2人は満足げに笑顔を浮かべた。
「はやちゃん抜け駆けはずるいで?」
「俺の方が付き合い長いもん」
「んー時間なんて関係ある?それより愛の深さが大事やと思うで?」
「誰が浅いって?」
笑顔でピリピリとした空気を出す2人に仁人は困惑する。言い争いで2人の手が止まったのでとりあえず立ち上がって2人から距離を取る。
「あ」
「なんなんだよお前らっ!」
「じんちゃんが構ってくれないから寂しかってん」
「俺で遊ぶな!」
戸惑いと怒りで混乱している仁人に対して2人はとても楽しそうで、それが余計に仁人を腹立たせる。それと同時に2人の雰囲気に何かを感じ不安になる。
「……ていうか、仲良くしろよ…」
寂しそうに言う仁人に2人は一瞬あっけにとられるがすぐ笑顔になる。
「可愛いこと言うじゃん、心配すんなって」
笑顔で勇斗が言うが舜太は腕を組んでわざとらしく悩むような顔をする。
「ん〜それはじんちゃん次第やな〜」
「はっ、まあ確かに」
「…え?」
「大丈夫やで、仕事に影響とかでぇへんし変わらんから」
「こういう時だけ、な」
「仕事に響かないからいい…じゃ、なくて、何だよそれ。何で俺が……」
何もわかってない様子の仁人に笑顔で舜太が近づき頬に口付けをする。一瞬の出来事で仁人は硬直した。
「お返し!」
仁人の肩を組みながら勇斗にウインクする舜太を見て、勇斗もすかさず仁人の隣にくる。舜太に抱かれていた肩から引き離すと反対側の仁人の頬に同じように口付けた。
「じゃ、これでおあいこ」
「は?は?は?」
戸惑う仁人を置いてきぼりに2人は笑い合う。ぽかんとした顔の仁人を見て2人は愛おしげな表情を浮かべる。
「じんちゃんは本当に小悪魔やなぁ」
舜太の手が仁人の頬を撫でる。
「何言ってんのお前、ていうか今の何…」
「ほんとお前そういうとこな」
勇斗はそれに対抗してか顔に手を添え自分の方に顔を向けさせる
「今はわかんなくていいよ、徐々にわからせてやるから」
「あ!はやちゃんまた抜け駆けダメやで?」
「お前の方がしそうなんだけど?」
「そんな事ないもん!」
仁人はさっきよりも柔らかくなった雰囲気の2人を見て少し安心して少しほっとする。しかしさっき起きた出来事や2人の言動は理解が追いつかずなんだか気が遠くなる気がした。
「みんなー次リハだって」
そんなところに柔太郎が入ってきて三人の姿を見る。
「あ、お取り込み中?」
何となく把握したのか面白そうに薄く笑う柔太郎に助けを求めるように仁人は思わず駆け寄る。
「い、いや大丈夫。リハいく」
不安なのか自然と抱きつくのかというぐらい距離の近い仁人を見て、勇斗と舜太は表情が固くなる。
「ん、じゃ行こっか」
柔太郎は仁人の肩を抱いて楽屋を出る。その時軽く振り返り2人に挑発的な笑顔を向けた。それを見た2人の「は?!」「え、ちょっと!」という言葉が聞こえたが仁人は満身創痍でそれも聞こえていない。
「なんかあった?」
「………あ……いや?何も」
おそらく言うか迷ったが言えなかったのだろう、へたくそな誤魔化し方をする。それに柔太郎は優しく笑い頭をぽんぽんとした。
「なんかあったらいつでも聞くからさ、とりあえずリハがんばろ」
「……、ん。おう!」
柔太郎の言葉に落ち着いたのかスイッチを切り替える。まだ戸惑いはあるが一旦忘れるようにしたようだ。
そんな仁人の顔を見て柔太郎は目を細める。
「このまま動かないととられちゃうかなー…」
「ん?何?」
「いや、独り言」
そこにさっきの2人も追いついてくる。
「おいてくなっつーの!」
「ずるいよじゅう!」
「何が?」
平気な顔をして答える柔太郎に2人はむっとした顔をする。
「も〜何してんの!?遅いって!」
リハの現場で待ち構えていた太智の怒った声が4人を迎える。
「ん?なんかみんなどした?リハなんやから元気にいくでー!」
「ごめんって、大丈夫だから」
「うい」
「だいちゃんは相変わらずやなぁ…」
仁人は元の空気に戻ったみんなを見て安心し、さっき起きた出来事は忘れることにした。きっと何かの夢だろう。
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「おい!あいつも狙ってんのかよ!」
「じゅうそんな事言ってなかったで!?俺が相談しても!」
「……いやあいつ…マジか……」
「ちょっと困るって〜!何でみんなじんちゃん好きなん!?」
「可愛いからだろ」
「それはそやけど〜!」
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