テラーノベル
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高橋翔太、13歳。普通の中学1年生。平凡な生活を送っていた。学校では友達も多い方で、ゲームとアニメが大好きなオタク少年。その中でも、一番ハマっていたのがオンラインゲーム『ファンタジア・アーク』だった。毎日放課後、部屋に閉じこもってプレイしていた。ギルドの仲間たちと共にダンジョンを攻略し、強力なボスを倒していくのが最高の楽しみだった。
「やっと次のレベルに到達した!次のボスも倒せそうだな…」
翔太は机に座りながら、ゲームに没頭していた。画面の中でキャラクターがバトルを繰り広げる音が耳に響く。ゲーム内の世界に完全に入り込んでいたそのときだった。
突然、画面がブラックアウトし、目の前の空間がゆらりと歪んだ。
「…え?」
翔太は、何が起こったのか理解できないまま、画面を見つめる。次の瞬間、身体が急激に熱くなる感覚が走った。そして、意識が遠のき、翔太はそのまま意識を失った。
次に目を開けたとき、翔太は見知らぬ場所に立っていた。周囲には青い空と広大な森、遠くには大きな山脈が見える。息を呑んで周囲を見渡すと、そこはまさに『ファンタジア・アーク』の世界に似ていることに気づいた。
「え、ここは…?」
混乱した翔太が立ち上がると、手元に重い感覚が広がった。見下ろすと、そこにはプレイヤーキャラクターのような衣装が自分にぴったりとフィットしていた。背中に付けられた大きな盾と剣。ゲーム内でよく見た装備だ。
「まさか…これ、俺のキャラか?」
翔太は慌てて自分の名前を確認しようとしたが、ふと気づく。ゲームではプレイヤーキャラクターに名前をつけていたはずだが、ここではその名前が表示されていない。代わりに、上部に「シオン」とだけ表示されている。
「シオン?誰だこいつ…俺か?」
全く見覚えのない名前に、翔太は一瞬戸惑った。しかし、なんとなくその名前が自分のものだと感じた。
そのとき、突然、目の前に青く光る「ステータスメニュー」が現れる。
【ステータス】
名前: シオン
クラス: ナイト
レベル: 1
HP: 100⁄100
MP: 0/0
スキル: 初級スラッシュ、シールドガード
「ナイト…?え、レベル1…?」
驚きと混乱の中で、翔太は自分が転生してしまったことをようやく理解する。『ファンタジア・アーク』の世界に、しかもゲーム内のキャラクターとして。思い返せば、確かに最後にプレイしていたゲームの中で、「ナイト」というクラスが最弱の近接キャラクターだった。
「ちょっと待って…俺、なんでナイトなんだよ?せめて魔法使いとか、アーチャーとかに転生したかった…!」
シオン(翔太)は思わず頭を抱える。ゲームの中でも、「ナイト」はそのステータスが低く、魔法も使えず、戦闘はただひたすら盾を構えて敵を守るだけの役割。しかし、実際のところ、その「ナイト」が最弱だというのは、翔太がゲーム内で何度も体験したことだ。
「どうすればいいんだ…」
途方に暮れながらも、翔太は思わず目を前に向ける。その先には、歩いている一人の少女の姿が見えた。
その少女は、白いローブを着て、金色の髪をなびかせながら歩いている。背中には杖を持ち、その顔には優しげな微笑みを浮かべていた。彼女の姿を見た瞬間、翔太は何かを感じた。ゲーム内でもよく見たキャラクターだ。
「…リリィ?」
思わず声を出しそうになった翔太だが、その名前を呼んでみる前に、少女がこちらに向かって歩み寄ってきた。
「おや?あなたも転生してきたのですね?」
彼女の声は、まさにゲーム内で何度も聞いたことがある、リリィのものだった。
「え、えっと…リリィ?本当にあなたなのか?」
翔太は、思わず彼女の名前を確認してしまう。しかし、リリィは優しげに微笑みながら頷いた。
「はい、私はリリィです。あなたも転生者なのですね。ようこそ、ファンタジア・アークの世界へ。」
「う、うわ、ホントにゲームの世界だ…!」
翔太は頭を抱えながらも、リリィの微笑みに少しだけ安心感を覚えた。しかし、彼女の言葉は続いた。
「ですが、あなたが転生してきたのは、どうやら最弱のクラス『ナイト』のようです。頑張ってくださいね。」
「えええええ!?」
翔太は思わず叫び声を上げたが、リリィはその反応を見て、やわらかな笑顔を見せてくれた。
「でも、心配しないでください。ゲームの中でも、成長することはできますから。あなたがどう進化するかは、あなた次第ですよ。」
その言葉に、翔太は少しだけ安心したが、同時に心の中で「最弱」から「強くなる」方法を必死に考え始めた。
「…どうするかだよな。最弱のナイト、シオンとして生き残るために。」
シオン(翔太)は、ゲームの世界で何が待ち受けているのかを、まだ全く知らなかった。
次回、第2話:「最初のクエスト、最弱のナイト」
シオンは、リリィから初めてのクエストを依頼される。しかし、最弱のナイトであるシオンにとって、そのクエストは想像以上に過酷で――?
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この物語はフィクションです。実在の人物・団体・名称等とは関係ありません