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「ただいまー。」
そう発しても、誰かから返事が帰ってくることはない。
なぜなら私はものだから。
私はそそくさと自室に戻ると、学校の教科書を開く。それしかやることがない。
私の部屋にあるのは、お父さんが昔DIYにハマって手作りした小さい棚と、すっかり黄ばんだ、少し赤い古い布団だけ。たくさんのことが書いてある教科書は見てて楽しい。
「星の動きは時間で東から西に動くけど、並び方は変わらないのかぁ。こんな感じかな?」
自分の手を星に見立てて星の動きを再現してみる。「あたり」とも「はずれ」とも言ってくれる人はいない。
「そろそろかなぁ…」
空の色と同じように私の気持ちも暗くなってくると、案の定、うるさい声が聞こえてくる。
──────────────────
父 「なんで飯出来たてじゃねぇんだ!!」
母 「お前の帰ってくる時間がわからないからじゃない!!報連相くらいできないの!?いい年して!!」
父 「俺だって急な残業とかあって時間予測出来ねぇんだよ!!まぁ食うんだけどさ!!」
母 「食べるんなら四の五の言わずに黙って食べてなさいよ!!!」
父 「お前専業主婦のクセに飯に手抜き感あるよな。安い味!」
母 「はぁ!?あなたの稼ぎが低いからいい食材が買えないんじゃない!!」
父 「だったらお前も働けばいいだろ!」
母 「働いたら働いたらで家事が行き届いてないって文句言うじゃないお前!!」
父 「両立すんだよ!現代の女は家事仕事全部やるもんだ!!」
母 「それは男も一緒だろうが!!家事の少しくらい手伝いなさい!!」
──────────────────
(本当、耳に響く)
「ドンドン」
「あ…」
戸を叩いた後、壊れる勢いでドアが開く。お母さんだ。
母 「ムカつくから付き合え!!」
「ドーン!!ドスドス!」
「うっ、、痛い……」
静かな夜をじゃましないように、私は声を抑える。
私はこうやってお父さんとお母さんのストレスを和らげるもの。だから普段は無視ばっかり。いないもの扱い。だけどいざというときに役立つ。でも、、、
父 「おい。」
「はい…」
今度はお父さん。お母さんより力が強いから、私を持ち上げて投げたりしてくる。
「うわぁ!」
さっきのお母さんのときの痛みも重なって、泣いてしまった。
父 「あ?泣くんじゃねぇ!!」
泣いちゃったからお父さん怒らせちゃった。
父 「こんくらいで壊れるんじゃねぇ不良品が!!」
そう言ってお父さんは私の髪を引っ張り、ほっぺたを思いっきり叩いてきた。
お母さん達は”私のせい”でストレスが多くて大変なんだって。だから私がそれを和らげるのは当然なんだって。
でも、周りの子達は殴られたりしてなさそうだよ?道徳の授業でも、親は子供を大切にするって言ってた。お母さん達は間違ってる?…わからない。でもやっぱ毎日殴られるの、嫌だよ!