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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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あぁ…危なかった。
危うく嶽丸の色気に持ってかれて、開けっ広げのテントの中、そんな雰囲気になるところだった。


バカバカ…!と、けっこう強めに抵抗してみれば、いたずらっぽい笑顔がこうなることを予想していたと知らせる。


余裕…本当にいつも余裕なんだ。

嶽丸って。


「そんじゃ、エロいことは夜にして、広場で遊ぶか?」


「…なに?高いところとかアスレチックとかハイジのブランコとか、そういうの怖いから無理だよ?」


「ずいぶん怖いものがいろいろあるな…ゴーカートは?」


「ムリムリ…!嶽丸のこと引き殺しちゃう…」


「ゴーカートの道路歩かねぇよ…!」



…ということで、おとなしくバドミントンをすることになった。



「いくよーっ!私の華麗なサーブを見ておけーっ!」


そぉれ…という掛け声と共に、青空に向かって投げたバドミントンの羽。


タイミングを計ってラケットをビュンっ!と振るも、手応えなし。


「…あれれ…!?」


思いがけない場所に羽が落ちてる…

一瞬光の中に入って見失ってしまったんだ。



「…なにやってんの?美亜どんくさーい!」


ちょっと離れたところで、羽が打ち返されるのを待ってる嶽丸が、ケラケラ笑いながら声を張り上げる。



「ちょっと間違えたのっ!今度こそ豪速球が行くから!覚悟してよっ?!」


同じように羽を上に投げて、今だ…!というタイミングでラケットを振ると、今度はちゃんと当たった!


すると…嶽丸がとんでもない方向に走っていくのが見える。


私の豪速球は、少し離れたところで遊ぶ人たちの方に飛んで行ってしまったみたいで「すいませーん」という嶽丸の小さい声が聞こえる…。



「…美亜下手くそー…!」


笑う嶽丸に言い返せなくて、ちょっと足元の小石を蹴ってみた。


そんな仕草の何がおかしいのか、嶽丸のバカ笑いが聞こえてくる…!



「いじけてんの?笑かしすぎっ!」


「…いじけとらんわっ!早く投げてよ!」


すると嶽丸…プロのプレーヤー並みにきれいなフォームで、バドミントンの羽をシュッと打ってきた。


打ち返そうと、私もあわててラケットを振ったけど、なんだか空振りした予感…


見ると至近距離に羽が落ちてる。


また笑われそう…と嶽丸を見ると、座り込んで笑ってる…!




「…バドミントンは、羽がちっちゃいもんな?」


バカ笑いして気がすんだらしい嶽丸は、私のそばに来てラケットを奪う。

でも…ちょっと悔しい…。


「私、中学生のときバド部だったんだよ?」


「そうなん?体は覚えてねぇってよ?」


…また笑ってる。





「じゃあでっかいボール競技ってことで、バスケやってみっか?」


少し歩くと、バスケのゴールリングがいくつかある場所に出た。


妙にダボダボの服を来た腕や首に模様のある若者たちが集ってる…



「…ここでバスケやるの?」


「そ。…あの、すいませーん」



恐れを知らない嶽丸…。


金髪コーンロウヘア、激しめなツーブロック、某タレント並みにピンクな髪色の若者男子に平気で声かけてる…。



「わっ!めっちゃイケメン来た!」


…気づかなかったけど、ピタピタのタンクトップに超ショートパンツというスタイルの若者女子もいた。



「は?…なんすか?」


「俺らも混ぜてもらえません?…あっちのお姉さんと一緒に…って、あれ?」


一瞬にして、木の影に隠れた私。


…こんな若い人たちに見られてバスケなんてできない!

絶対うまくできないし、だいたい怖いし、女の子たちにもバカにされそうで、嫌だ。


美亜ー…なんて呼ばれたけど、そのうち若者男子たちに混じってバスケを始めた嶽丸。


「嘘…すごい上手い…」


華麗にボールカットして、ドリブルからディフェンスをクルッとターンしてかわし、シュート。


それがすごくさまになってて…木の影に隠れながら目を見張ってしまう。


若者男子たちは、誰1人嶽丸を止められない。


なになに?バスケ部だったの?

男子のなかで群を抜いて背が高いこともあってか、嶽丸は圧勝していた。


キャインキャインと歓声をあげる女子に手を上げて答え、呆然とする男子にお礼を言いながら片手を上げて、その場を離れた嶽丸。



「あれ…?美亜ー…どこ行った?」


声をかけながら歩いていく。

隠れてる木から離れていくから、追いかけながら、別の木の影に身を寄せる。



「美亜ー…そろそろエサやるにゃん?出てくるにゃ~ん!」


1人で変なことを呟きながら歩いていくから、子供が面白がってついてきた。


イケメンだからか、一緒にいたお母さんも止めない。



「こりゃっ!僕ちんは何歳だ?」


ついてきた子供をふいに抱き上げ、ひょいっと肩車すると、男の子は喜んで笑い声をあげるからか、お母さんは「すいません…」と言いながら嶽丸について歩いた。



「人を探してるんですけどね…ポニーテールにしたちょっと猫顔の美人、見ませんでした?」


気楽にお母さんに話しかけ、曖昧に笑われると、諦めたように「おーいみゃー…」と呼ぶ。


みゃーって…私のこと。

「みあ」を適当に呼ぶと「みゃー」だって、子供の頃からよくからかわれた。


そのうち子供にも「みゃー…」と呼ばれるから、なんだか申し訳なくなって、木の影から出て行った。



はじめに気づいたのは子供のお母さんで、肩車したまま嶽丸が振り向く。


「あ、みゃーがいたっ!」


子供が嬉しそうに私を指差すから、私もふざけてピースしてあげる。

…ちょっと怒ってるのは嶽丸…


「もー…!どこに隠れてたんだよ?心配するだろ?」


そっと子供を肩車から離すと、なぜか一目散に私のところに駆け寄ってくれる男の子。


飛び付いてくるから抱き上げてあげると、胸元に頬を寄せて、そのまま顔を埋めてしまった…!



「…あ?こらっ!ガキのくせに、人の女に何してくれてんだよ?おいっ…こらっ!」


お母さんがあわてて引き剥がそうとしたけど、嶽丸の慌てぶりがおかしくて、私は笑いが止まらなくなってしまった。


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