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#しょしんしゃ
51
CH/旧国有り(日本家)
政治的意図、戦争賛美無し
一部史実有り
語彙力無し
⚠本作には戦争を連想させる表現が入っています⚠
―― 登場人物 ――
陸▷長男。正義感が強く、自分の信念を決して曲げない
海▷次男。冷静で口数は少ないが、誰よりも家族の事を想っている
空▷三男。明るい性格で、ポジティブに物事を捉えている
江戸▷父親。穏やかでのびのびとしているが一番何を考えているか分からない
???▷母親。3人を産んだ際に亡くなった為3人は会ったことがない
※日本家の見分け方※
何か発言するときに「……」が最初に来てたら高確率で海さんです…!
私の書く陸さんは優しいです…!!!敵には容赦ないですけどね…
「!」などが付いていたら空さんです…!江戸さんは…頑張って見分けてください…!!!
分かりづらくなってしまい申し訳ないです💦
3人並んで写真を撮ると真ん中の人は早く死ぬ
そんなの、ただの迷信だと思ってた。
あの時までは
【1943年某日】
時は太平洋戦争真っ只中
日本と米国間の争いは激化し、日本も米国も徐々に国力を削られていった
しかし、不思議なことに「戦争反対」と口にした者は居なかったという
…………口にしたらどうなるか分かっていたから
最初は上層部だけの争いだったのが時間が経つにつれその被害は民間人にまで襲い掛かってきた
だんだんと争いが激化していくうちに兵士の数が足りなくなり、中高生程の年齢の者まで戦争に征かなければ行けなくなってしまった
「学徒出陣」
これは、都市部に住んでいたとある普通の家族の話である
【第1話/当たり前とは】
陸side
いつも通りの朝、いつも通りの家の風景が目に入ってくる
「良かった…今日も平和だ…」
なんて、開戦してから何度口にしただろう
『戦争なんてやめてほしい』
この言葉も…口にできたらいいのにな
なのに、その言葉はいつまで経っても心の中から出て行こうとしない
「はぁ…そろそろ起きるか」
上体を起こし、居間に向かう
今日も何事もなく終わればいいのに
居間に入ると既に父上が新聞を読んでいた
「おはようございます、父上」
「おぉ、陸か」
「丁度良かった。海と空を起こしてきてくれないか?」
「あぁ…分かりました」
「宜しく頼むな」
居間から出ていこうとすると父上がひらひらと手を振ってくる
父上はもう年だ…家族に何かあっても守れるのは俺しかいない
「俺がしっかりしないと…」
そう、無意識に呟いていた
俺は先に海の部屋に向かった
襖の外から声を掛けると中から物音が聞こえてきた
どうやらもう目が覚めているらしい
「……入っていいか?」
返事はない
「……返事が無い=了承だと受け取るぞ」
俺は海の返答を待たずに扉を開けた
「ちょ…、陸…!」
海の部屋は、いかにも「普通な日本男児」の部屋だった
机の上には教科書が整然と並び、端には筆箱や万年筆が置かれている
窓際には小さな観葉植物が置かれ、柔らかい朝の光を受けて葉が揺れていた
海は布団の中で丸くなり、動かない
布団という一度入ったら出られない魔の巣窟に全てを委ねている
「おはよう。もう起きてたんだな」
海は少し驚いた顔をしてから、ぼそりと答えた。
「…おはよう、陸」
そう口にした海はやっと布団から出てくる
「居間で父上が待ってる。俺は空を起こしに行くが…一緒に来るか?」
「…嗚呼、行く」
学徒出陣が始まってから、海の態度が少しだけ柔らかくなった気がする
海も――気づいているのだろう
学徒出陣は決して他人事ではないということに
俺と海はそのまま空の部屋に向かった
空は俺ら兄弟の中で一番朝が弱い
1人で起こそうとすると最低でも30分は必要
(はぁ…空は全然起きなくて大変なんだよな…)
そんなことを考えていくうちにいつの間にか空の部屋の前に到着していた
襖を開けると、予想通り空はまだ布団の中で丸まっている
「おはよう、空。もう起きる時間だぞ」
返事はない
これが「いつも通り」だ
「……仕方ないな」
と呟き、俺はそっと布団をめくる。
海はそんな様子をじっと見ていた
―― 何を考えているのだろうか ――
ちらりと海に視線を送り、すぐに逸らして空を起こす
「ほら、早く起きろ」
「うぅ…まだ眠い…」
小さな声が布団の奥から漏れる
こいつは本当に日本男児なのか?
「あと5分だけ…」
俺はその言葉を無視して布団を引っ張り空の上体を起こす
半ば強引に起こされると、空はぼんやりとした目で俺を見上げた
「陸にぃ容赦ない…」
「そんなこと言ってないで早く起きろ」
「父上が待ってる」
「うぅ…分かったよ…」
空は観念したようにようやく布団から出る
「今日の朝ごはん何かな?」
「さぁ?」
「海にぃも行こっ?」
すると、壁に寄り掛かって一部始終を見ていた海が口を開く
「……分かった」
「やったやった!早く行こ!競争ね!」
空はそう言い残して慌ただしく居間へ走っていった
「…騒がしいな」
海がそう静かに呟く
「まぁ…そこが空の良いところじゃないか」
「…そう、だな」
「早く俺達も行こう」
「…嗚呼」
たった一言だったが返事をしてくれたことに嬉しさを感じる
(やっぱり、素直になったよな…海も)
そんなことを考えながら俺と海は居間の方へ足を進める
居間に着くと、もうすでに空が席に座っていた
「やっと来た~!遅いよ2人とも!」
「あはは…」
「………すまない」
海がぷくっと頬を膨らませる
女か、こいつは
すると台所の方から江戸が出てきた
「おぉ、海が来たか。おはよう」
「…父さん、おはよう」
「あ、あの海にぃが挨拶した…!?」
「……うるさい」
「はっはっはっ!いい事じゃないか!海が素直になるなんて滅多にないぞ」
そう言って笑う父上。やっぱりこの人は何を考えているか分からない
「父さんも乗らなくていいから…」
「いやぁ…すまんすまん」
そう言うと、父上はちゃぶ台に朝ごはんを人数分置いた
「あ、手伝いますよ。父上」
「おぉ…ありがたいのぉ」
俺は立ち上がり父上の手伝いをする
すいとんにかぼちゃ、少量のご飯がちゃぶ台に並ぶ。
戦争が激化しているから致し方ないが…育ち盛りにはキツイな
「わ!今日はご飯あるじゃん!」
「……当たりの日だ」
――当たりの日。
そうだ、こんな環境下でもご飯が食べれることに感謝しないと
ご飯が毎日食べられることが「当たり前」ではないんだ
俺はふと父上の方を向く
父上は海と空の会話を聞いていたが何も感じていない様子だった
いや、「感じていないふり」をしている
普段と変わらない目だが、奥に少しだけ違う色の瞳が潜んでいる
(………早く、こんな事が終わればいいのに)
そんなことを思ったがやっぱり口にすることは出来ない
朝ごはんの準備が終わり、ちゃぶ台を囲む
『いただきます』
空は嬉しそうに箸を手に取り、ぱくぱくと口に運ぶ
量は少ないが家族みんなで食べるこの時間が好きだ
この時間が永遠に続けばいいのに
朝ごはんを食べ終わり空が片づけをしてくれている
海が自分の部屋に向かおうとしたとき家の扉が軽く叩かれた
……嫌な予感がする
海も何かを察したのだろうか少し引き攣った笑顔で音のする方へ向かう
俺と空、父上は物陰から海を見ている
「………はい、なんですか?」
「あぁ…この家に海さんという方はいらっしゃいますか?」
「……俺ですが」
そいつは海の返事を聞いた時に少しだけ顔を曇らせた
誰にもバレないぐらい一瞬で…、だったが
「…おめでとうございます」
「貴方は選ばれました」
そう言って海の目の前に赤紙を差し出す
ついに来てしまったのだ。これが来てしまったということは終わりなき地獄
に征かなければいけない
「………ありがとうございます」
海に赤紙を渡した奴は複雑な表情をしていたが、すぐに戻しお辞儀をして去っていった
沈黙。誰も何も言わない
この時だけは時間が止まったように感じられた
すると、俺の横で見ていた空が小さく呟く
「……海にぃ戦争に行っちゃうの…?」
「………いやだよ」
その声は海の耳に届いたのだろうか
少なくとも、近くにいた俺と父上の耳にはしっかりと届いていた
「空……」
さっきまでの和やかな空気は消え去り、部屋の雰囲気が一気に変わる
ついに来てしまった。来ることなんて分かってたのに
心の何処かで「家族全員で過ごせる」と思っていた
なんて哀れなのだろうか
家族を守ると言っておきながら何もできていない
海はまだ玄関で立ち尽くしている
父上も掛ける言葉が見つからない様子だった
家族と一緒に居れることが「当たり前」だと思っていたのに
今はそれさえも叶わないかもしれない
続く…?
R8.10.29.しりある
Thank you for reading!
コメント
1件
うわ…最後の「貴方は選ばれました」でゾッとした😭 それまで朝ごはんの温かい時間とか、海がちょっと素直になってきた日常が丁寧に描かれてたからこそ、赤紙が来た瞬間の重さが刺さりました…。陸が「家族を守る」って思ってるのに何もできない無力感も切ない。海の「……ありがとうございます」が忘れられないです。続き気になる…!