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巨大な蜘蛛と2回戦って、心身ともに負担が大きかった優恵楼(ゆけろう)。
冷たい石の壁に寄りかかり、しばしの休憩をしたお陰で回復したものの
洞窟蜘蛛って普通の蜘蛛よりちっさいんだよな…。うわっ。普通の蜘蛛ってあれよりデカいの?
と冷静になって考えたらゾッっとした。
「よいしょっと」
と立ち上がり、探索の続きへ。洞窟蜘蛛のスポーンブロックがあった方へ進む。
スポーンブロックは壊し無くなったものの、奥はまだ蜘蛛の巣だらけ。
しかし蜘蛛の巣も一応貴重な素材なので、1個1個丁寧に剣で切ってアイテムとして回収して行った。
奥のほうへ行くと十字路になっており、そのまま直進するとまた蜘蛛の巣だらけの暗い通路で
奥には光るものが見え、シュルシュルと嫌な声なのか音なのかも聞こえたので
「はい。今日の戦闘のキャパ、もう越えてるんで無理です」
と直進はしなかった。左の方はトロッコのレールが途切れ途切れで設置されており
そのレールも貴重な素材なので、丁寧に1個1個アイテムとして回収していった。
そしてレールがあることろには高確率でチェスト入りのトロッコが置いてある。
「お。あったあった」
やはりチェスト入りトロッコが置いてあったので
手を擦り合わせ、何が出るか楽しみにしながらチェストを開いた。
ギイィ〜。という古くさいけど、どこか耳心地の良い音を響かせチェストが開いた。
そこにはビートルートの種、スイカの種、レール、アクティベーターレール、松明、パンだった。
「おぉ…。うん…。うんうん…。まあ、及第点…かな」
と「決してハズレではないんだ」と自分に言い聞かせ、アイテムを回収する。
「ダイヤは自分で掘り当てろということですかね」
と言いながらトロッコとチェストも回収する。
「ダイヤかぁ〜…。いつもなら初日で地下掘って2、3個はゲッチュしてたけど…。
もう何日経った?実際この世界に放り出されたらダイヤなんて言ってる余裕ないんだな」
と言いながら廃坑の探索を続ける。
「なんか知らないけど、廃坑ってゾンビとかスケさんとか少ない気がするんだよなぁ〜。なんでだろ」
暗い廃坑の道を松明を設置しながら探索していく。
たしかに洞窟蜘蛛には遭遇したものの、ゾンビやスケルトンとは遭遇していない。
「ま、全然いいけど。ありがたいけど」
優恵楼(ゆけろう)からしたらゾンビやスケルトンと遭遇しないのはありがたい。
決して、決して怖いからとかそんなのではない。トロッコのレールがあれば回収し、丁字路に差し掛かった。
「広い広い。いつも廃坑見つけたときはすぐ終わるくせに」
と文句を言いながら松明を設置し、松明の明かりで周囲照らしながら
丁字路の左右を見て、右に曲がろうとしたそのとき
「…」
あまりの驚きに声も出なかった。静かに1歩下がる。下がるという意識はなかったが、本能的に1歩下がった。
優恵楼の目に映ったのは緑色の縦長の無機物のような生物。
脚は4本。太く短い脚で優恵楼(ゆけろう)の持つ松明でぼんやり照らされた暗い廃坑に石の壁のほうを向いて
佇んでいた。太く短い脚にはそれぞれ黒い爪のようなものがあり
その爪は正面、顔がある方向についており、現在石の壁に向かって佇んでいるため、爪も壁の方を向いている。
全身は緑色の砂のような、岩のような、柔らかそうだけど、しっかりした質量のあるような表皮をしていた。
そう。ワールド メイド ブロックス(元ネタのゲームのプレイヤーの皆様も(小声))を
プレイしているプレイヤーならすでにお気づきの方も多い思う。その生物の名前はClaper(クラッパー)。
名前の由来は…。きっとこの先を見ていただければわかっていただけると思う。
「…」
その名前の由来を知らせるような出来事を起こさないように
優恵楼はとにかく静かに、目は合っていないが、野生の熊に遭遇したときのように
決して目を逸らさず、ゆっくりと下がっていった。
原作通り、顔は可愛いのかな…
なんていう思いはありながらも
決して振り返るなよ
という矛盾した思考のまま下がると、ギイィ。湿気の強い廃坑の木材の床板が軋む音が辺りにこだます。
なんだこれ!おい!軋みMODなんて入れてた!?導入してた!?
え!?なに!?マジふざけんんなよ床板よぉ!
と足元を見ながら、決して口には出さず、心の中でめちゃくちゃ文句をつけていた。
ハッっと思い出し、恐る恐る顔を上げる。
視線が自分の靴から足元の廃坑の木材、その木材の木目が伸びていき、クラッパーの足元が見えた。
すると先程まで壁側を向いていたはずの爪がこちらを向いていた。
はい、しゅーりょー(終了)
心の中で「燃え尽きた…真っ白な灰にな…」如く
特に何も成し遂げていないのに真っ白になった優恵楼(ゆけろう)。
ゆっくりと視線を上げていく。砂のような、岩のような質感の長い体、その上に顔が。
「…原作通りなのに…原作通りなのに…」
半歩。また半歩下がる優恵楼。
「可愛くない…」
不思議な現象が起きた。原作通りなのに可愛くない。原作のクラッパーは「匠」という愛称で
敵モブながらファンから愛される可愛らしいキャラクターだった。
四角くも大きなクリクリお目目で
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口で
イラストも、ワールド メイド ブロックスといえばクラッパーのようなそんなキャラクターなのだが
今優恵楼(ゆけろう)の目に映っているのは、原作通り、黒い大きなクリクリお目目に
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口の顔なのだが
「なんで…こんな…怖いん?」
怖く感じた。クラッパーは太く短い4本の脚を交互に動かし
黒い爪で地面を掴むように優恵楼に近づいてきた。
クラッパーはシューっとドラマやアニメなどのダイナマイトや爆弾の導火線が燃えていくような音を響かせる。
そのシューっという音と共に黒い大きなクリクリお目目と
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口が
オレンジや黄色、赤といった光で点滅する。そう。火である。
火打石で火をつけようとするように火の粉が、黒い大きなクリクリお目目と
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口から舞い出てくる。
さらにそのシューっという音と同時に、体から周囲の粉状のなにかを振り撒いていた。そこで初めて
「逃げろ!」
と落とし穴にハマったのがお目当ての生徒ではなく
その生徒の髪をバリカンで刈ってしまった理科の先生が如く、思い切り走った。
クラッパーはシューっというのをやめ、周囲に粉状のなにかを振り撒くのもやめ
ただ太く短い4本の脚を交互に動かし、黒い爪で地面を掴むように優恵楼(ゆけろう)に近寄る。
優恵楼は入り組んだ廃坑の角を曲がる。曲がったらクラッパーからは見えなくなったので一安心。
「ふぅ〜…」
一息ついていると、角から
見ぃ〜つけたぁ〜
と言わんばかりにクラッパーが顔を出した。優恵楼の背筋に電気が走るように
さらに電気が走った跡が凍りついていくように背筋がひんやりとする。
逃げろ
また理科の先生が如く逃げる。入り組んだ廃坑の角を曲がる。
一安心で一息ついたら、また角からクラッパーがこんにちは。
それの繰り返し。まるでホラーゲームのそれである。優恵楼はまた走り出した。
「えぇ〜…ここを曲がって」
右に曲がろうとしたが、右は探索を断念した洞窟蜘蛛のスポーンブロックが残った蜘蛛の巣だらけの暗い道。
「あ、ダメだ」
ということで左に曲がった。
「明るい明るい」
松明で照らされた道をまっすぐ走っていく。しかし急ブレーキ。
裂け目の間にかかった橋状の木材に差し掛かったのである。下まではおそらく10メートルほど。
松明を設置してきた裂け目の片側がぼんやりと照らされているのが確認できる。
たかが10メートルと思うだろう。マンションでいえば3階程度の高さ。
しかも都会などと違い、比べるものがないので高さが分かりづらい。
だから尚更怖くないだろと思うであろう。しかし怖い。
高所恐怖症でもない優恵楼だが怖くて立ち止まってしまった。
ギイィ。木材の軋む音が怖さをさらに加速させる。冷や汗が額を、背を伝う。
目の前の橋を渡ることに気を取られていたが、ふと思い出し振り返る。
すると角を曲がったクラッパーが優恵楼を探すようにキョロキョロして、パッっと優恵楼と目が合った。
いたぁ〜!
表情は変わらないのに、優恵楼にはクラッパーがニコッっと不気味に笑ったように見えた。
「…うっ…。んっ…」
一歩踏み出そうとするが踏み出せない。
「…んん!…」
踏み出せない。振り返る。クラッパーが笑ってにじり寄ってくる。
※実際には笑っていません。
橋に向き直り、右足を上げ、一歩前に…一歩前に…
「…くっ…」
踏み出せない。なんなら恐怖に挟まれた状況で片足を上げたので
どうもバランスが悪く、フラついて、より恐怖心が増した。怖すぎてしゃがみ込む。
振り返る。だるまさんが転んだの要領で笑っているクラッパーがどんどん近づいてくる。
※実際には笑っていません。
橋に向き直る。しゃがんでいるのでいけるかと這いずってみる。
「んん…。んん!」
ギイィッ。軋む音で止まる。しかも這い這いなので進むのが遅い。
振り返ると笑ったクラッパーがさらに近づいてきていて、しかもめちゃくちゃ大きくなっていた。
※実際には笑っていませんし、大きくもなっていません。
優恵楼(ゆけろう)がしゃがんでいるのでクラッパーを見上げる形になり、大きく見えているだけです。
また橋に向き直る。震える脚で立ち上がる。振り返る。笑ったクラッパーがさらに近づいてきている。
※実際にry
クラッパーはシューっと鳴き始め、周囲に粉状のなにかを振り撒き始める。
火の粉が黒い大きなクリクリお目目と
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口から舞い出ている。
橋に向き直る。クラッパーを見る。橋を見る。クラッパーを見る。
そんなことをしている最中もクラッパーは周囲に粉状のなにかをどんどん振り撒き、大きなクリクリお目目と
某有名アーケード用ドットシューティングゲームの宇宙船のような鼻と口から舞い出ている火の粉も
勢いを増している。
「…んん!…んん」
焦りが増す中、廃坑の裂け目にかかる橋状の木材の上で
拍手のような、クラッカーのような快音で轟音を響かせ、花火のような綺麗な爆発が起きた。