私ね、長かった髪を切ったの。
ずっと大切にしていたあなたとのツーショットも捨てたわ。
いつも狭いと言いながら通っていたあの道が、1人だと結構広いことに気づいたの。
夜帰ってきて家の前にたった時に部屋の電気がついていないのなんていつぶりかしら。
朝、おはようって言って起こしてくれたあなたが隣にいなくて、なかなか起きられなかったわ。
あなたを抱きしめた時のあの温もりを、もう感じられない。
なんだかやけに大きかったあなたの背中を見つめることが出来ない。
あなたと別れて、自分に色が無くなったみたいだわ。
だけどね、気づいたの。
何も色がないのは、そこからどんな色にもなれることに。
私は今、前を向いて歩き出そうとしているの。
あなたの事を完全に忘れることは出来ないけれど、いい思い出だったと思うわ。
運命の人って2人いるって言うでしょ?
1人目は出会いと別れを教えてくれて、2人目は永遠の愛を教えてくれる、みたいな。
私ね、あなたが1人目なんじゃないかって思うの。
あなたはそうじゃないかもしれないけれど。
私はあなたが1人目の運命の人でよかったって思ってるの。
だからね、いつか2人目の運命の人を見つけて、あなたの前に現れようと思うの。
今、こんなに幸せなんだって。
こうなれたのはあなたのおかげだって。
だからあなたも、その時までに永遠の愛を教えてくれる人を私の前に連れてきて。
それで、一緒に相手の自慢話でもしましょ。
どうか、その時までに、お互いいい出会いがありますように。
♡♡♡
その手紙を読んで、俺はひとり、頬を濡らした。
彼女は前に進んでいる。
だから俺も前に進もう。
いつか永遠の愛を誓った人を連れて彼女に会いに行こう。
そうして俺は、彼女からの手紙を戸棚の一番奥にしまった。
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