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「ガンダム……?」
マリューが血塗れの左手を庇いアクセルを踏む。敵に渡されたGのMS……何としても奪取せねば!
「軍法会議ものじゃ済まないぞ。だが、大人しく家には帰してやる」
「そんな……生命が一番ですよ!倒しましょう、説得は僕がします!」
「子供が軍人の私に何の用だ。その握り拳は友達を殴る時まで取っておけ……今は!」
ストライクのフェイズシフト装甲が起動した。開戦の狼煙が上がる……ヘリオポリスのコロニー内に戦乱渦巻く。アスランの無線にクルーゼ隊長の声が聞こえた。
「どうした?早く戻って来い」
イザークとディアッカが上空を舞う。エビナのブリッツガンダムがステルス迷彩の武器を駆使してその場から消えた。
「ヘマしたか?万が一……」
ディアッカの嘲笑をイザークの闘志が掻き消す。
「作戦は成功だ。奴なら大丈夫、エビナ!」
「イージスか。面白い、隊長に四機のGを手土産に持って行く。忘れ物すんなよ」
「……」
キラはボロボロのマリューの身を案じた。
「友達が乗ってるんです、助けて下さい!」
「ザフト、平和な中立国が聞いて呆れる!痛っ……」
出血が止まらない。ガジェット越しの画像の文章を入力するキラの姿にマリューは言葉を失う。
「ビームライフルを使います!学校の授業で勉強しました!どいて下さい!!」
「お互い万事休すか。最期の時は貸せ、天国で説教だ」
「墓なら要りません、無事にトール達と生き延びるんだ!絶対に!! 」
アスランはクルーゼの言葉に従い風になった。敵のMS・ジンが一機迷い込む。
「命拾いして良かったな。後でLINEを送れ」
「悠長な事言ってる場合ですか!新型のザフト軍の攻撃です!他の武器は……」
兵士の一人がストライクに襲い掛かる!
「残り一体のガンダムも我々の物だ。無傷で手に入れたかったが」
宇宙戦艦ムサイの無線を切りクルーゼは仮面を外した。
「息子達は良くやった。軍曹、出発だ」
「隊長。C.E.(黒歴史)の新たなる礎の生誕祭です」
「人類の革命……血のバレンタインは覆る。ガンダムのパイロットによって」
ヘリオポリスの地球軍の極秘任務・アークエンジェルの搬送が始まった。ムウがメビウスゼロに搭乗して半壊のコロニー内部に飛び立つ。
「助けに来たぞ、マリュー大尉!何たる失態だ。ナチュラルの名を汚すな!」
「少佐」
「四機のGが奪われた。いずれ此処を出発する。艦長はあんただ……ヘリオポリスは失敗だ!」
キラと兵士が戦闘中だった。崩れ落ちる天地、偽りの空が裂ける……ザフト艦が去ってゆく。工場区のシェルター内部でフレイは泣いていた。
「お父さん。お母さん……私、死ぬの?」
「キラの奴。まさか巻き込まれたんじゃ……軍の保護は癪だが」
トールとミリアリアがスマホでニュースを確認している。
「駄目……カレッジも絶望よ」
「アークエンジェル、地球軍の戦艦か。絵空事が現実になるなんて」
「うわあああッ!!」
シェルターはパニックに陥った。
「アークエンジェル!?」
地球軍の新型戦艦。いずれ宇宙を出発する長旅の生命、アスラン達はムサイに帰還した。
「ギリギリまで粘れ!ザフトの為に、ジン!!」
「キラ君、大丈夫!?」
コックピットで手に汗握る少年の瞳に決意の灯が点いた。
「絶対に生きて帰るんだ!フレイ、みんな!!」
ビームサーベルが腹部を貫く!直後、爆風の衝撃がGに疾走る。
「……」
アークエンジェルの隊員達は拍手を送った。勝った。
「第一次G大戦勃発。か」
ムウは後光を浴びてヘルメットを脱いだ。堕ちてゆくスペースコロニー、立ち上がる白い巨体。少年は戦士になる……
「母艦に戻る。ムウ少佐!アークエンジェルへ待機を、君」
「トール達は無事なんですか!?」
「全員入隊してもらうぞ。戦争ごっこも終い……これからは」
「C.E.に兵器の無い世界を!出発だ。艦長、坊主!」
「生きて帰れると思うなよ。まだお前の処遇を決めていない」
「良いですよ。犯罪者でも何でも。僕はみんなを救いたい、それだけです」
キラ、マリュー、ムウはアークエンジェルに先戻りした。
「友達だ。再会に喜べ」
艦内の廊下でフレイがキラに抱き着く。
「良かった……ありがとう」
トールが涙を堪えきれず皆の肩を叩く。
「キラ。大丈夫か?これからルナツーへ向かうらしい」
「うん。そこで降ろしてもらえるかな。マリューさんに任せよう」
ミリアリアが偶然通り掛かった兵士に聞く。
「地球軍はザフトに勝てるんですか!?」
「船旅は長い。少し休みなさい、それと君」
「はい」
キラは真っ直ぐ前を見据える。
「艦長がお呼びだ。パイロットスーツに着替えトレーニングルームにて待機しろ。分かるね」
「……はい」
ヘリオポリスは墜ちた。メビウスゼロとストライクが主戦力。第一次G大戦開幕……少年は刻を超えて風になる!!MS同士のバトル・ファイトは一陣の戦火に舞う剣となりて子供達に重くのしかかる苦悩を謳う。
「……シード。夢の進化人」
オーブ首脳国連合の長・カガリは星空を見上げ詩を読んだ。