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ルフィがまた体を膨らせて急速に落下するのではなく、緩やかに着地する。俺とゾロはすぐさまルフィから離れる。
「ドンピシャでヤバいところに着地しやがって…」
「おい麦わら! 錠が解けたらまずお前から殺してやる!」
「言っとくが、どこへ落ちてもヤバいところだ」
「それもそうか。今の俺ら、国中が敵なんだもんな」
それから俺たちは走り出すのだが、ゾロもルフィもまあまあ方向音痴で困る。
「そっちじゃねえ! そこをまっすぐ走れ! いいか! まっすぐだぞファンタジスタ!!!」
「誰がファンタジスタだぶった斬るぞ!!」
「きゃーっ! ロー兄、会えて嬉しい~!」
「ウワッ」
「なんだコイツ、知り合いか?」
「デリンジャー、甘く見るな!」
俺は烏融を構え、デリンジャーの身体を切り裂こうとするが、すぐに距離を置かれる。
「きゃー! やるう!」
「ルフィ! 足元!」
「え? うわ! 捕まった、変な奴が地面泳いできた!」
「やれ、バイス」
俺は上から降ってくるバイスとやらに斬りかかる。少々吹っ飛んでくれた。
デリンジャーも這いつくばるルフィ、というよりローに蹴りかかろうとするのだが、ゾロに背中を蹴られて簡単に足が縺れてバイスを蹴った。バーカ!!!
「俺ら狙いの海賊どもクッソうぜえ!」
一般人も混ざっていて下手に斬れない。峰で叩いて気絶させるしかない。俺やゾロの刀では怪我では済まないからな。
「おれの覇気で…」
「おやめなさい。下手な鉄砲、数撃っても当たりゃあしやせん」
「藤虎……」
「賭博のおっさん。おれはドフラミンゴをぶっ倒しに行くんだ! そこをどけ!」
「威勢だけは良いようで、だが……ここをどくわけにゃいかねえ」
「やるのか?」
「因果な商売でさ…」
「…ジェイデン、ローを頼む」
「ああ」
俺はローを受け取り、しっかりと抱える。そして俺は烏融の刃先を、背後の海軍に向けた。
「ローに触ろうとすんじゃねぇ。俺は海軍に手を出す気はねぇんだ」
短い間だけど、世話になったから。海軍に手は出したくない。俺の後ろにいた海軍が一歩、後ろへと引いた。
そんな時、ドフラミンゴのいる王宮が大きく地鳴りをあげて形を変え始めた。
「……あ、あれも、ピーカ……なのか?」
「そうだ」
「さあ、我がファミリーに楯突く者たちは……俺が相手だ!」
「え?」
「は?」
「ンフッ」
大きく、まさに巨兵とも言えるその風貌からはとても想像できないような甲高い声に、俺とルフィは噴き出した。ルフィに至っては腹抱えて笑ってる。ドフラミンゴの部下が慌てて大きく笑うルフィを黙らせようとするが、笑うなと言われればさらに笑いたくなるのが人間というものだろう。
「ングッ、っふ……っふは……」
「麦わら!」
「アーッハッハ! も、も…もうやめてくれ! アハハハ!! ヒーッハハハハ!!!」
起ったピーカが拳を振り上げる。いや、あれ拳っていうか、もう町の一角だろ。
ローを抱き抱えたまま王宮の方へ走る。
「ルフィ! お前敵をおちょくるのもいい加減に…」
「いやあれはあっちが悪いだろ」
「逃がさんぞ!」
「ブフッ」
「ゾロも笑ってんじゃねえか」
「てめえら…ジェディもだ。急げ! 潰されるぞ!」
――ジャラッ
「あっ、ルフィっ」
「ジェイデン!」
ローを縛っている海楼石が何かに引っかかり、俺は転んでしまう。それに加えて、俺は反射的にルフィを呼んでしまい、ルフィが立ち止まってしまった。
刹那、ピーカの拳が振り落とされる。衝撃波で家や人が吹っ飛んでいく。
「し、んだかと、おもった……」
ルフィが咄嗟に回避したおかげで無傷で済んだが、衝撃で俺たちは引っかかっていた。
「命知らずめ。ピーカの声を笑うことは死を意味するんだぞ」
「最初に教えておいてくれっつーの。ワンクッション挟んでくれたら俺らだってもうちょっと我慢できたよ」
「にしてもここどこだ?」
「王宮からは大分離されたな」
「クッソ、岩石同化人間。オーズの比じゃねえデカさになりやがった。せめて倒し方さえわかれば……ん?」
ゾロが刀に手を伸ばす。
「麦わら」
「ん? あ、キャベツ!」
「海賊狩りのゾロ、そしてトラファルガー・ロー!」
キャベツと呼んだ西洋の王子みたいな見た目の風貌の男がいきなりローを抱いている俺に斬りかかってきた。
「なッんだお前!! 馬鹿じゃねえの!?」
あいつも俺たち狙いの海賊か何かか? と思った時、男は僕の人気を返せ最悪の世代、などとほざき始めた。は? 何言ってんだこいつ。
「ジェイデンとトラ男に何すんだ! こいつらはおれの仲間になったんだ!」
「なってねえよ!!」
「俺は海賊にはならねえって…」
「なんだ? まだおれを恨んでんのか?」
「……いや、君たち麦わらの一味はもう狙わない。何故なら君の仲間、ゴッド・ウソップに僕は人生を救われたんだ」
「ウソップに?」
どうやら彼もおもちゃにされてしまい、それをウソップに助けてもらったらしい。
「ああそうだ、トラファルガー、これは君の帽子だろう? コロシアムの前に落ちていたぞ。かぶせてやろう、さあ首を出せ!」
「そうはさせんぞ、金髪イケメン。俺が被せる。拾ってくれてありがとう!」
男の手からローの帽子を取ってローに被せる。この男は俺たち狙いではなくドフラミンゴらしい。それはありがたい。という過去の男、目立ちたがりのアホか。まあその顔に生まれたのなら調子に乗るのもわかるが……。
「ルフィ、はよ行くぞ。アホにゃ構いきれん」
「そだな。行くぞゾロ」
「ん? ああ」
俺たちは王宮に向かって再び走り出した。