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「浣腸かシャワー浣か……」
寮に帰った青木は、自室のベッドの上に寝転んだ。
kinbleに保存したBL漫画を片っ端から引っ張ってきて、その部分だけを抜粋して読む。
どうやら男同士の準備のためには、この2択が必要らしい。
「さらにローションを塗り込んで、ヤッてる最中にも適宜付け足しながら……って、めんどくせ!!」
青木はスマートフォンを放り出した。
女のようにベッドに押し倒して、
『あ、待って。シャワー』
『いいから……』
『ええ?もう……!』
見たいな流れで行くのは100%不可能らしい。
しかも準備しなきゃいけないのは受け側。
つまりは白鳥に準備を強要するということだ。
(今日の会話からして、あいつも元々はノンケだってことだよな。それなのに「準備お願いできるか?」とかは無謀な気がする……)
頭の上で両手を組む。
(てかあれ?俺が攻めでアイツが受けでいいんだよな?見た目からしてそうだと思い込んでたけど、アイツが攻めをやりたいなんていったらどうなるんだ?俺、ケツに挿れられるのか?)
脳内が軽くパニックになる。
(ケツに……アレを……?)
青木は一旦は放ったスマートフォンを手繰り寄せた。
「だめだ。漫画で知識を得ようとしている時点でおかしいんだ。こっからは実写だ。ゲイビで本物を観ねえと!」
――――15分後、青木の部屋からは盛大にえずく音が聞こえてきた。
「おはよう!……て、今日もまた目の下に盛大な隈を作ってるな」
隣りの席に鞄を置いた白鳥は、青木を見るなり苦笑いをした。
「ああ……。ちょっと昨日の夜ゲイビ……動物動画を観すぎてな」
青木は机に突っ伏したまま、白鳥を横目で見た。
「そういうお前は今日は早いじゃん。モーニングコール前から起きてたし」
「あ、うん。実は頭髪の立哨指導があってさ」
なるほど。白鳥は『風紀委員』と書かれた腕章を腕に巻いていた。
「てかそんなナリで立哨指導して、『金髪に言われたくねえよ!』とか言われない?」
「……言われるよね。絶対」
白鳥が目を細める。
「こんな頭をしてる俺が悪いんだけど、風紀委員の先輩の中にはきつく当たる人もいて、大変だよホント」
「……それって頭を黒くすればいいだけじゃね?」
「無理なんだよ。表紙の都合上」
「は?表紙?」
「じゃ、俺、行ってくるね!」
「お、おお!頑張れよ!」
わけのわからないことを言い残すと白鳥は、教室を後にした。