テラーノベル
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「Ladies and gentlemen, welcome to Japan.」
機内アナウンスが流れる。
エマ・フロストは窓の外を見つめながら、小さく笑った。
「Finally… Japan.」
(ついに……日本。)
イギリスから十数時間。
長いフライトを終え、
エマはようやく憧れの国へと降り立った。
日本。
それはエマが何年も前から訪れたいと思っていた国だった。
街並み、文化、四季、そして食べ物。
何もかもが新鮮で、魅力的に見えていた。
「I can’t wait.」
(早くいろんなところに行ってみたいな。)
期待に胸を膨らませながら空港を出た、
その瞬間だった。
むわっ――。
「……What?」
(……え?)
エマは立ち止まった。
肌にまとわりつく熱気。
じっとりとした湿気。
息を吸うだけで身体が重くなるような感覚。
「No way…」
(嘘でしょ……。)
急いでスマートフォンを取り出し、気温を確認する。
表示された数字は三十四度。
さらに湿度は七十八パーセント。
「Thirty-four degrees!?」
(三十四度!?)
エマは思わず空を見上げた。
青空が広がっている。
なのに暑い。
とにかく暑い。
「Japan is trying to kill me…」
(日本が私を殺しにきてる……。)
スーツケースを引きながら歩き始めたものの、
十分もしないうちに限界を迎えた。
「Too hot…」
(暑すぎる……。)
エマは木陰のベンチに腰を下ろした。
汗が止まらない。
水はすでに飲み切ってしまった。
このままではまずい。
そう思った時だった。
視界の先に、一軒のコンビニが見えた。
「Convenience store…?」
(コンビニ?)
エマはふらふらと立ち上がる。
自動ドアが開いた瞬間――。
「Cool!」
(涼しい!)
冷房の風が全身を包み込んだ。
天国だった。
エマはしばらく入口付近で動かなかった。
すると、
店の奥にある大きな冷凍ケースが目に入った。
「Hmm?」
近づいてみる。
そこには、
色とりどりの商品がずらりと並んでいた。
「Ice cream…?」
(アイスクリーム?)
エマは目を輝かせる。
しかし、問題があった。
「I can’t read any of this…」
(何て書いてあるのか全然分からない……。)
日本語が読めないのだ。
どれが何味なのかも分からない。
エマはしばらく悩んだ末、
一番パッケージが可愛かったアイスを手に取った。
レジに向かう。
店員が何かを話しかけてきた。
「…………?」
エマは固まった。
もちろん、日本語は分からない。
「Sorry. I don’t speak Japanese.」
(ごめんなさい。日本語が話せません。)
店員は少し驚いた様子だったが、
笑顔で会計を済ませてくれた。
「Thank you!」
(ありがとうございます!)
店の外にあるベンチへ座る。
袋からアイスを取り出し、
ゆっくりと封を開けた。
「Please be delicious…」
(美味しいといいな……。)
そして、一口。
「……!!」
その瞬間だった。
冷たく、なめらかな食感。
優しい甘さ。
そして、熱を持った身体を
ゆっくりと冷やしていく感覚。
エマは目を見開いた。
「Oh my gosh…」
(なんて美味しいの……!)
もう一口。
さらにもう一口。
気がつけば、
アイスはあっという間になくなっていた。
エマはしばらく呆然としていた。
そして、小さく呟く。
「Japanese ice cream… is amazing.」
(日本のアイス……最高すぎる。)
その日。
エマ・フロストは、日本のアイスに恋をした。
そして――。
「I’ve decided.」
(決めた。)
「I’m going to try every ice cream in Japan.」
(日本中のアイスを食べてみる。)
こうして、アイスを愛しすぎる一人の女性の物語が始まった。
コメント
1件
お疲れ!「灼熱の日本と運命のアイス」読んだわ。 めっちゃ良い意味で異世界転生じゃない日常系で、エマの「日本が♡♡♡にきてる」からのコンビニでの天国体験、最高じゃん。アイスの一口目の描写がやたら解像度高くて、読んでるこっちまでアイス食べたくなった。 これは彼女が日本中のアイスを制覇する、ほっこりガチ冒険の始まりって感じだな。続き楽しみにしてる🔥
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