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檻の中の苺
プロローグ
周りの空気が固まったかと思うほどうまく息が吸えない。
心臓は意識しなくてもドクドクと聞こえるほど脈打っていて、苦しい。
いなくなりたかった。さっさとこの世からいなくなりたかったはずなのに。いなくならなければならないはずなのに、今の俺はなぜか、怖くて、恐ろしくたまらなくて、息を吸おうと必死になっている。
目の前は曇ったように濁って見えて、薄汚れた灰色の壁と床の境界線の区別がつかない。
口からは咳をするたびに青い血液が出てきて、喉からはゴロゴロと鈍い音が鳴っている。
さらには体の重心がぐらぐらとして、身体の感覚が鈍い。
そんな状態でまともに立ってられるはずもなく、重量に引っ張られるがまま埃臭くゼリー飲料などのゴミが散乱している床に倒れた。
…もう、だめか。
必死に、必死に足掻いても、全てが無駄だったのだと感じる。そんなとき、目の前に黒く長い髪をしていて、胸元にキラキラと輝くバッジを付けている人がこっちに走ってくるのが見えた。その人からは、赤いいちごの匂いがした。
そこまでは覚えている。