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「どうでしたかな……」
長尾政景が尋ねる。
「正蛇方円殿は」
「……不気味だ」
長尾景虎は、静かに答えた。
「発言の耳障り自体はいい」
「だが……どこか恐ろしさを感じる」
「それに、あやつは北条を叩き潰すと言いかけていたぞ」
「……」
長尾政景は、少し言いにくそうに口を開く。
「忍びの報告によれば……」
「武田の元当主、信玄殿やその家臣たちは、水牢に押し込められ――」
「教育という名の制裁を受けているとか」
「……は?」
景虎の顔が固まる。
「今、なんと言った?」
「水牢に押し込められ、教育という名の制裁を受けていると申しました」
「…………」
しばしの沈黙。
「……まだ、方円殿はいらっしゃるかな?」
「ええ、おりますが……」
「どうなさるおつもりで……?」
「その件について聞くに決まっているだろう💢💢?!」
「…………」
「……なんのご用事でしょう? 景虎殿」
「先程、耳に挟んだのだが……」
景虎は真剣な表情で尋ねる。
「実の兄や、その家臣たちを水牢に入れて、酷い扱いをしているというのは……誠か?」
「ああ、再教育のことですか」
方円は、何でもないことのように答える。
「兄は間違いを認め、素直に教育を受けておりますよ」
「ですが、軍師や信繁たちを含む者たちは、認めずに抵抗していて困っております」
「間違いを認めない身内には、困ったものです」
「ふふふ」
「…………」
景虎は絶句する。
「だが……」
なんとか言葉を探しながら続ける。
「さすがに、水牢に閉じ込め続けるのは如何なものかな……?」
「嫌ですわ」
方円は、穏やかに微笑んだ。
「景虎様もご存じのとおり、兄は許されざることを行いました」
「本来ならば、処刑されるはずだったのです」
「ですが……」
少しだけ、表情が曇る。
「私も、妹として身内を斬るなんてことはできません」
「ですから、教育を受け入れ、心を入れ替えたのなら……出すつもりでいるのですよ」
「素直に教育を受けた兄は、もう少しで出られるかもしれませんね^^」
「…………」
景虎は、再び言葉を失った。
「本当は……信廉も助けてあげたかった……」
方円の声が震える。
「正しく戻すためとはいえ……」
「実の兄弟を、死なせてしまいましたから……」
「……」
「まさか、あのいつものんびりとしていた信廉が……」
「兄の影武者になって、死ぬなんて……」
涙が頬を伝う。
「だからこそ……」
「本当は、許せないのです」
「あの兄のことが……」
「……」
「そこで、私は諏訪の方々にお預けしました」
「一番恨んでいるのは、紛れもなく諏訪ですからね」
「教育についても……」
方円は涙を拭う。
「死なせてはいけないと、徹底して言い聞かせましたし」
「…………」
景虎は、しばらく黙っていた。
やがて、静かに口を開く。
「そうか……」
「某も事情を知らなかったとはいえ、失礼なことを聞いたかもしれぬ」
「許してくれ」
「……」
「正しく戻したいというのが、本心なのだということは分かった」
「また会おう」
景虎はそう言って、その場を後にする。
「…………」
(……やはり、やばい)
(これ以上話を聞くのは……やめておこう……💦)
#主が自分用に作りました…
琴寧
312
#ホラー
コメント
1件
うわっ…このエピソード、めっちゃ重くて引き込まれた😭💦 景虎が「不気味だ」って言った時点で、なんか察してたけど…方円さんの「嫌ですわ」の笑顔が怖すぎる!!しかも「教育」って言葉で片付けちゃうとこ、ヤバいよヤバい…。 でも最後の「信廉を助けたかった」って涙のシーンで、ちょっと切なくなった。恨みと情が混ざってる感じがリアルすぎる…。 景虎も「これ以上聞くのやめとこ」って引いてて、龍の警戒ってタイトルめっちゃ刺さったわ🐉💦