テラーノベル
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🦍🍆
オメガバースパロ。
🦍未婚。
オメガバースが分からない方は回れ右。
男性妊娠あり。
完全フィクション。
ご本人たちと無関係です。
ゆっくりお楽しみください。
【本日のニュースをお送りいたします。本日午前〇〇時ーーーー】
休憩室で流れる見慣れたアナウンサーのいつものニュース。ぼんじゅうるは頬杖を付きながら暇つぶしのBGM代わりにそれを聞いていた。いつも通りの天気予報と政治関係、そして今日あった大きな事故事件…
「……物騒だね〜」
テレビではαがΩを襲った話をしていた。番防止チョーカーをもぎ取られ強制的に番にされたと恐ろしい事を言っていた。
「まぁ、βの俺はなーにもないけど…やっぱりこう言うのは胸糞悪いね」
「……」
返事の返ってこない独り言。ぼんじゅうるはチラリと隣で仕事関係の書類に目を通すドズルを見た。休憩中でも忙しなく動く目と手に「この人いつ休んでんだ?」と少し心配になる。
「ねぇ、この会社、α多いけど大丈夫なの?やっぱりΩと鉢合わせるとキツイ?」
「はぁー、ぼんさん、何の為の抑制剤ですか?そういうのがあるって事はキツイって事です」
「ふーーん」
そういえば、メンバーのドズル、おんりー、MEN、ネコおじはαでたまに抑制剤を飲んでるのを見たことがある。
第二の性…ねぇ
「俺はなーんも感じないけど、αとΩには酷な世界だね」
「そうですね、世間的にまだまだ浸透してませんし、Ωにはキツイと思いますよ?」
α(アルファ)…エリート遺伝子と希少な性
β(ベータ)…ごく一般的な性、何をしても平気的
Ω(オメガ)…これまた希少な性、だが他の性にない発情期があり子供を性別関係なく孕む事ができる。αと番(つがう)為の性。αの遺伝子を残す為の性…
「Ωは、その性が決まった瞬間からαの性奴隷みたいできついね」
「…そう思ってる人が一般的ですけど、しっかり想いあって結ばれている人もいます、あまり悲観的な視線を送るのも失礼ですよぼんさん。」
「そうだね、ごめん」
2人はテレビを見ながら第二の性について話す。
「そういえば、第二の性って人それぞれ発現する時期が異なるんだよね?」
「そーですね、俺は一般的な14歳の検診で自分がαと分かりましたけど、中にはそれでも分からない人もいるみたいですよ?」
「あー、それだったわ俺、検診で分からなくてとりあえずβで括られてたな〜、んで大学生の時に体調崩して行った病院でたまたま第二の性が確定して知ったかな〜」
ドズルは「本当に大変だったな〜とにかく嗅覚バグるレベルで敏感になるし」と鼻を抑えながら眉間に皺を寄せている。そんな男を見ながらぼんじゅうるも真似をするように鼻をつまんで「んーん、わからん、」と首をかしげた。
「2人とも何、話してんですか〜?」
「お、MEN!いやー第二の性って色々大変だなぁーて話してた」
休憩室に入ってきたMENは壁際に置いてあるポットからコーヒーを入れながら2人に話しかけてきた。ぼんじゅうるは先程の会話を伝えるとMENも珍しく顔を顰め「あー、マジ大変っスよ」と自身の話をし始める。
「俺は検診前にαだってわかって、それからは野良のΩに攫われかけたり…色々ありましたね〜、全部未遂ですけど」
「まじか、こわっ俺、皆には悪いけどβで良かったわ」
「そうですね、何事もフツーが良いっすよ。」
トラウマ級の話をケタケタと話すMENにぼんじゅうるは(申し訳ない事をした)と眉を落とした、それに気づいたMENは「なんスか?本当に大丈夫っすよ」とニヤリとする。
「お疲れ様でーす」
「おらふくんお疲れ様」
「あー、おらふくん、やっぱりβ同士落ち着くわ〜」
「え?なんすかなんすか?」
おらふくんの登場でぼんじゅうるはホッと力を抜きおいでおいでと手招きをした。それに素直に呼ばれぼんじゅうるの近くへ寄る。
ぼんじゅうるはおらふくんの頭を優しく撫でながら安堵のため息をついた。
「最近物騒な事件が多いから、もー疲れちゃうね」
「ぼんさんは僕と同じβだからあまり関係ないでしょ?」
「そーは言っても、やっぱりあの手の事件は胸糞悪くてさ」
やっぱりぼんさんは優しいですよね〜?とニヤニヤと話すおらふくんの頭を軽く突く。あでっと頭を触りながら逃げられてしまいぼんじゅうるは「おっさんをからかうからだ」と笑った。
会社を出たのは17時過ぎ、
あたりは少しずつ街灯が点滅し始める頃、ぼんじゅうるは帰路についていた。
(今日も疲れた)
タバコを咥え、近道して帰ろうと会社を出ですぐ裏道へ入った。疲労と寝不足と空腹と、色々な負が重なっていた。早く帰って熱いお風呂に入って撮りだめした録画でも見ながらゆっくりソファーで寝落ちもいいな〜と、考えていた時だ。
「っあ”ぁ!?」
ドクンッ……
心臓が燃えるように大きく跳ねた。
今まで味わったことが無いような熱にぼんじゅうるは膝から崩れおち 体全体で荒い息をしながらうずくまる。
(な、なんだ???!あっい!あたまがっ!)
吹き出る汗と、鼻を突き刺す甘い香り。至る所から香る。
呼吸をする度に身体中犯されているような、気の狂いそうな感覚が襲う。
(やっばぃ、これ、本当になにっ!!)
「だ、たず、たすげでぇ!ドズッさ、ん!」
40過ぎのおっさんがみっともないと思うがそんな事言ってる場合ではない。とにかく、腰が、頭がおかしくなりそうだ。咄嗟に出た我らがリーダーの名前にぼんじゅうるは(なんでドズさんに助け求めてんだ俺)と少しだけ冷静になる。
「「あー、ここからだ」」
「っ!?」
細い裏路地の出入口に知らない男が2人立っていた。
潤む目で見上げると、背筋がゾワリと逆立った。
(こ、こわい!!なんだこいつら!なんで俺をそんな目で見るんだ!?気持ち悪いっ!!!)
息を荒らげ、じゅるりと舌なめずりをしながら近付いて来る30代位の男たち。ぼんじゅうるは涙を流しながら後ずさりする。
腰は砕け思うように動かずそいつらはすぐそこまで来ていた。
「や、めろ、来るな!!」
「来るな〜だって可愛い〜」
「てか、めちゃくちゃ好みだわ、なんだよこの匂い」
いい匂いだ〜と顔を首元に近づける。生暖かい息がうなじにかかる、ぼんじゅうるは本能的に噛まれてはいけないと震える両手でそこを隠した。
「めちゃくちゃえろいΩだな、こりゃ」
「あ〜ちんこにクル匂いさせやがって」
ゲス野郎!と叫びたかったがその口を気持ちの悪い言葉を吐くそれに塞がれてしまった。
「んんっ!!やっ!だっ!!」
口の中に入ってくる生ぬるい舌に歯を立てると男は「いでぇ!!」と体を突き飛ばしてくる。距離が出来た事で逃げようと背中を向けた瞬間、もう1人の男が全体重をかけて乗りかかってきた。
息苦しさと熱に犯される視界にぼんじゅうるは「も、無理かな」と諦め力を抜いてしまう。
「くそ、こいつ思いっきり舌噛みやがった!いでえ」
「ははは、お前ががっつくからだろ?」
「ふー、…くそが…やってくれたなコノヤロ!!」
舌を噛まれた男は勢いよくぼんじゅうるの横腹を蹴り上げた。
ゴッ!
「っぐう!!!げほっ!」
鈍い音が腹部に響き、その後すぐに吐き気に襲われる、空腹のそれは吐くものもなく胃酸を少し吹きこぼす。
「おいおい、あんまり傷つけんなよ、」
「はぁ、ちっ、しゃーねぇーな」
とぼんじゅうるの後ろ髪を捲し上げ、露になったうなじに唇を寄せる。
(か、噛まれる、、も、だめだっ)
【Ωは一生αの性奴隷…】
先程まで話していた内容が頭の中で木霊する。
(俺はβだ、、なんでそんな事今思い出したんだろ)
首に走る衝撃に備えぼんじゅうるは強く目をつぶった。
「でめぇーら!!!何してやがる!!!」
「ぼんさん!!!」
首に走るはずの衝撃が来るより先に馬乗りにされていた男達が勢いよく突き飛ばされた。壁にぶつかる2人は「うぅ」と唸り声を上げながらフラフラと立ち上がる。
「「殺す!!!!」」
MENとドズルのドスの効いた声、その後すぐにゴッ!ドッ!と鈍い音が響く。薄く開けた視界には顔を真っ赤に染めながら握りこぶしを何度も男達に振るう2人がいた。
「っはぁ、、ど、ずさん、め、ん!だめだ!手、怪我する!やめろ!」
ぼんじゅうるは仕事道具は大事にしろっと2人を静止するが、聞く耳を持たない2人は何度も何度も殴り続けていた。
ぼんじゅうるは、「辞めろ!!!!」と再度叫ぶ、その瞬間、ブワッと甘美な香りが辺りを覆う。
「「!?!?」」
ピタリと2人の動きが止まる。
そして鼻を抑えながら倒れているぼんじゅうるに振り返った。
「ぼ、ぼんさん!?な、嘘だろ!?」
MENが目を見開き驚いている。
「…うっそだろ、でも、あんたβって…」
ドズルさんは眉間に皺を寄せ言った。
2人の反応にぼんじゅうるは「まさか、ね」と震える体を抱き込む。
「ぼんさーん!大丈夫ですか!?」
おらふくんが遠くから走ってくる姿を見て、プツリと意識を手放した。
空気の入れ替えをしようと思った。
会社の窓を開けてフワリと香ったそれは、嗅ぎ慣れたタバコの匂い
そして、一緒に甘い匂いが肺を満たした。
ありえない、と思ったが勢いよく窓から下をのぞき込むとそんな事気にしてられなくなった。
後ろでドズルさんが「なんだ、この匂い?外?」と一緒に覗き込む。
5階から見えた地面に横たわる男は紛れもなく紫のあの人で、その人が知らない男から唇を奪われている。
MENはドズルと息を飲んだ。頭に血が登るのはコンマ1秒もかからなかった。
気づいたら拳に血が滲みヒューヒューと息をするその男が目の前で転がっていた。
(俺、ここまでキレたの初めてだ)
と他人事に考えていると背中からブワッと甘ったるい匂いがして振りかえる。
(ぼんさんだ、なんで、でも、あなたはβでしょ?なのになんでそんな匂い出してんッスか?!)
MENと一緒に走り出した、後ろから「え?なになに!?」とおらふくんもついてきている。
振り返る暇もない!
ドズルは1階に降りると匂いが一段と濃ゆくなり眉をひそめた。鼻を抑えながら目的に付くとサーーッと足元へ血が集まり感覚が無くなる。そしてドロドロとした気持ちが心を覆い、素直に「こいつらは絶対俺が殺す」と思ってしまった。実際言葉に出ていたが知ったことか、
力強く握った拳がここまで武器になるとは思わなかった。
男の口から血が舞う、汚ぇなと思った。
でも止まらない、こいつは生かしておけない、
(汚ぇ体で馬乗りになりやがって…)
汚ぇ手で触りやがって!!!!
気持ちが溢れて止まらない、それを拳を振ることで表した。
2人が外を覗き込んだ後、すごい勢いで走り出した。僕は何故か追いかけないといけない気がして必死に追いかけた、けど2人に追いつけなくて、その場に着いた時には男達は倒れ「うぅ」と唸っていた。ドズルさんとMENは全身で荒い呼吸をしながら鼻を覆っている。
「!!」
2人の先でぼんさんが倒れてる、僕はすかさず走り寄った。
「おら、ふくん、、」
「ぼんさん!!」
ぼんさんから甘い香りがする、お腹の奥底を擽られるような香り
戸惑う僕に、少し後ずさった2人が大きな声で叫んだ。
「おらふくん!!!救急車呼んで!」
「俺達は離れる!やばいんだその人!ヒート(発情期)だ!!!」
ドズルさんが僕に目掛けて携帯を投げてきた、その後に続くようにMENが有り得ないことを言ってる。
「ひ?ヒート!?でもぼんさんβですよね!?」
(でも、この匂い、まさか、、)
「後天性だ!!くそレア種引き当てやがって!!こんな時まで豪運かよ、この人!!」
ドズルは珍しく言葉を荒らげている、相当きついらしい、はち切れる理性で何とか飛びつきそうな身体を抑えているのが分かる。
「おらふくん!はやく!」
「っ!はい!」
ぴっ…ぴっ…
「………」
ぼんじゅうるは真っ白な天井を見つめていた、消毒液の匂いとひんやりと冷たいシーツ。両手には数本の点滴と管がついている。
「……だっ」
【おれ、βで良かった〜】
「…う、そだ」
【本日のニュースをお伝えします、、】
「っーーー!!!」
数時間前の会話、ニュース、フラッシュバックする、ガンガンとこめかみを刺激する。薬のせいかあの熱い身体の火照りは収まっているが、あれは紛れもない…
「ひーと…」
【番防止チョーカーを……強制的に番にーーー。】
「っ!!!!!」
ドズル達と見たニュースの内容が生々しく自身に襲いかかる。
(あれは未来の俺だ、罰が当たったんだ)
俺には関係ないと知らんぷりした。世の中の苦しんでるΩをどこか別物と考えてた。
(だから、罰が当たったんだ)
ぼんじゅうるは両手を持ち上げる。
そして、涙を流し 勢いよく管を引き抜く。
「嫌だっ!!嫌だ!!ぁああーー!!」
(ふざけんな!こっちとらもう50近いのに!残りの人生ゆっくり過ごさせてくれよ!)
「こ、これ以上っ、かき乱さないでくれっ」
勢いよく抜かれた管先からは血が滴る、両腕から血を流しながらぼんじゅうるは声を大にして泣く。
この人生で初めてこんなに涙が出てるな、はやく止めなきゃと思えば思う程止めどなく流れるソレにぼんじゅうるは両腕で顔を覆い隠した。
遠くからバタバタと看護師が走ってくる音がした。
「後天性のΩです、、突然変異と言ったらわかりやすいですかね?すごく稀なことです。」
「………。」
ぼんじゅうるは車椅子に腰をかけ医者の言葉をボーッと聞いていた。
「…混乱するのも分かります、しかし、上手く付き合っていくしかありません。薬の説明と今後の生活で気をつける事をお伝えします。」
「…それを守れば、今までと同じ生活ができますか?」
「…ほぼできます。だから悲観せず前向きに考えましょう」
(ほぼ…ほぼねぇ…)
それは同じと言わない…
ぼんじゅうるはαだらけの職場にこのまま居座っていいのか、深く息を吐き考える。
(やめ時か、な)
診察室を後にしながら、車椅子を押してくれている看護師にお礼を言い自室に戻る。Ω専用の個室、匂いが漏れにくい作りになっているそうだ。ぼんじゅうはベッドに横になるとぶ厚い三十構造になった窓の外を見る。
「…はっ、監獄かよ」
(Ωは…性奴隷……)
【⠀そう思ってる人が一般的ですけど、しっかり想いあって結ばれている人もいます、あまり悲観的な視線を送るのも失礼ですよぼんさん。 】
「っ、」
落ち込む心と頭、目をつぶりそう呟くと
ドズルとの会話を思い出した。
ドズルはあんなに平等な思考を持っている。
あの時だって自身もキツかったのに俺を助けてくれた。
「…退院したら、とりあえずドズさんとミーティングだな。」
独りで考えると悪い思考にばかり行く、だからここはリーダーの意見を聞こう。
(あの時のお礼もしたいし…ね)
あまり思い出したくないが、
「くそ、46にもなって新たなトラウマ植え付けやがってアイツら…」
憎たらしい男共の顔を思い出しぼんじゅうるは誰もいない部屋で大きな舌打ちを響かせた。
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コメント
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もう…もう、ほんとに最高の作品すぎて最高です!!!