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【改訂版】隣りの2人がイチャついている!

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【改訂版】隣りの2人がイチャついている!

9 - 第9話 隣りのアタシはクソビッチ!?(1)

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2025年07月09日

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「おかえり、有夏。どこ行ってたの?」


「んぁ?」


靴を放り捨てるように脱いで部屋に入る有夏。

手にはコンビニの袋、それから大きな紙袋を持っている。


「それ、どうしたの?」


幾ヶ瀬は目ざとい。

「お菓子のよしの」と書かれた紙袋に過剰に反応したのが分かった。


「もらった、ソコで」


「そこってどこなの? 誰に貰ったの? どういうものなの?」


執拗にも思える問いに、だが有夏は平然としたものだ。

中からビスコの箱を取り出した。


「隣りのクソビッチ。ビスコくれた」


──き、聞き捨てならねぇな。

──クソビッチはオマエだよ、胡桃沢有夏!


「あの女、まさか有夏に色目を使って……!」


幾ヶ瀬が「キイッ」と叫んだ。


──ありえねぇだろ。

──アンタらの情事を毎日のように盗み見てんだよ、こっちは。

──第一、有夏チャンに惚れる要素はねぇ!




ども。2人の隣人です。

しがないフリーターでございます。


普段はベランダから覗いたり壁の穴から覗いたり……ああ、いやいやゴニョゴニョ……。


隣りの2人がイチャついている!ところを愛でているだけの者っす。へっへっ……。

見たまま聞いたままのことを書きしたためているのです。

妄想じゃありません。


たまたま住み着いたアパートの隣りのカプが、それはそれは推せると気付いて、日夜問わず熱視線を送っているのです。


今日はたまたま有夏チャンに会っちゃったんで、そのことを書こうと思います。




有夏チャンに会ったのは、アパートの階段を登り切ったところです。


コンビニ帰りらしく、スイーツの入った小さなビニール袋を提げてました。


「こんにちはぁ」


アタシが挨拶をすると、すごい無表情で会釈をしてくれました。


「あ、待ってください。胡桃沢さん、お菓子お好きですかぁ?」


胡桃沢有夏(クルミザワアリカ)──まったくマンガみてぇな名前だなと思いながらも、抱えていた紙袋を1つ差し出す。


「賞味期限ギリなんですけど良かったら……。バイト先でたくさん貰っちゃって」


実際アタシは紙袋を4つ持っている。

お菓子の卸売り店舗でレジのバイトをしてるんだが、たまに期限切れのやつを貰ったりするんだ。


ラッキー、1人で食ってやれと思っていたのだが、ちょうど良い。


お隣りのよしみだ。

あと、毎日のように壁の穴からノゾキしてる罪滅ぼしっていうか……。


「うん。あり、あり……ありが……」


若干コミュ障気味の有夏チャン。

意外なくらいあっさり受け取ってくれた。


「ビスコのミニパックが大量に入ってるんですけど。なんか懐かしいですよねぇ。今は味の種類も結構多くて。いちご味がおすすめですよっ」


「は?」


「あ、いえ。すみません……。調子に乗ってすみません。生まれてきてごめんなさい。あの、いっぱい入ってるんで。良かったら食べてください」


……チクショウ。めげそうだ。


「あの、お好きでしたらもう一袋どうですかね? お菓子いっぱい食べます?」


有夏チャンは首を横に振った。


何大ウソついてんだ。お菓子大好きだろ、アンタ。


クソ。

この人、絶対目ぇ合わせてくんないな。


そもそも何だコイツは、胡桃沢有夏め。


キラキラしやがって。

肌艶いいな。


さすが毎日アナルセックスに興じてるだけあって、プルップルのウルッウルだな!


事情を知らなきゃあやうく(外見だけで)ホレてしまうところだが、アタシはそんなに甘くない。


そもそも有夏チャン、ニートなのは知ってるけど年はいくつなのよ。

何してる人なのよ。


昼夜問わずの乱れっぷりを頭から締め出して客観的に見てみると、この人は一言で言うと……そう、王子様?


キラキラしてる? イケメン?


線が細くて、髪がサラサラで、目が大きくて、特に黒目が大っきくて何だか吸い込まれそうなんだな。


で、睫毛長くて、肌がきれいで、声が甘くて。

あと何かメッチャ良い匂いすんだな!


何だコレ、少女マンガかっての!

少女マンガから抜け出たリアル王子かっての!


実際口は悪いわ、アソコはユルイわ(ヘンタイメガネがいつも「キツッ」って言ってるから、物理的にユルユルなわけじゃねぇんだろうけどね!)


大好きな「幾ヶ瀬」がいなきゃ若干コミュ障だし。

今だってキレイな顔が強張ってるし。


あと多分有夏チャン、クソニートだよ。

働いてる気配ないもん。


年齢が見た目じゃよく分からないんだけど。20歳前後か……?

いや、もっと若いのかなとか色々想像してみる。


高校生……マサカ!?

でも見えなくもない。


ヤベ。制服着せたらきっと萌えるわ。

おぉ! 白いベスト! もしくは白いセーターを着てくれぃ!


大学生……これはありうる!

どっちにしろヒキコモリだけど。

キャンパスライフ謳歌してないけど。


社会人…てか、何にしても無職だろ!

出かけるったらコンビニくらいじゃん。

家で仕事してる可能性は?

いやいや、あの人ん家ゴミ屋敷じゃん!


ヘンタイメガネん家に入り浸ってお菓子食ってるか、ゲームしてるか、マンガ読んでるか寝てるかセックスしてるか、どれかしかねぇじゃん!


(壁の穴から覗き見て、把握しているアタシも十分ヤバいんだけどな! ハァハァ)

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