「ほらもうすぐ始まりますよ!早く来なさい!」
何も見えない、どこだここは、地面が踏みしめる度に沈む、砂?
「もう!ビビアン様はどこに行ったんです!?もうすぐデザートウォーが始まるってのに!」
デザートウォー?、、なんのことだ?
「ビビアン様はもうデザートウォーのVIPルームに向かわれたとのことです、デザイア様」
「もうVIPルームに!?全く今回の玩具はまだ用意できてないってのに!
あなたたち何しているの!早く歩きなさい!」
俺らはしばらく歩かされた後なにか大きな部屋に入れられた。
「さぁさぁ皆様!本日もお集まり頂きありがとうございます!本日皆様のお手持ちの金額をかけて戦うのはこちらの人間です!」
今はどこ辺りかな、まぁ秋田新都心を過ぎたあたりかな、、
なるべく急ぎたいけどここで急いでも無駄だ。
そういえばゾームやレガリアはうちのEM研究所が作ったとは言っていたけどなんでNGEの敵がゾームを装備していたんだろう、、
EM内蔵の家電とかは一般販売されているが、レガリアやゾームといった武力となるものは一般販売されないはず、、
まさか、まさかな、、別にスパイとかがEM研究所にいるわけが無いよな。
「もしEM研究所にスパイがいたら、、俺は今鳥取に向かっているし壊滅状態になっちゃうな、、」
俺は独り言をこぼした。
とにかく今は急がないと。
「こちらの人間です!」
そういうとアイマスクを外されて眩しい光が目に入ってきた、しばらく経って周りの景色が見えるようになった頃自分はどのような立場に置かれたのか理解することが出来なかった。
「なんだよ、これ」
周りには3階層に別れてる煌びやかな観客席、顔を隠して派手なドレスやタキシードを身にまとっている大人たち、そして目の前にいる巨大な何かを持った人間、泣いている?
「本日の人間は若くて筋肉質なこちらの男性!まだまだ若く筋肉も発達しているため長い間動き回ることができるでしょう!そんな彼は今回はどのくらいの時間で殺されてしまうのでしょうか!?
では皆様!ぜひその目でお確かめくださいませ!」
殺される?俺が?どういうことだ?
「2分だ!」
「1分半!」
「いや、5分は持つ!」
「3分だ!」
なんだこれは、賭け事がされているのか?俺で?
また目の前を見てみると巨大な何かを持っている男性がこちらになにか話しかけていた。
「ごめんなさい、俺のせいで、、俺が今からあなたを、、本当にごめんなさい、、けど殺したくはないんだ、けど今からこの刃物であなたを、、」
唇をかみながら泣いていた。
そうか、俺は今からこの人に殺されるんだ。
しかしいつまで経っても男性は斬りかかっては来なかった。
「何をしているんです?早くしなさい。ビビアン様も見ていらっしゃるのよ。」
「できない、、俺には、、この人を殺すなんて、、、」
「何を言っているの!?早くしなさい!」
きっとこの人も俺と同じようにいきなりここに連れてこられたのだろう。
この人には恐怖を覚えると同時に同情してしまった。
10分くらい経ったのだろうか?
未だにこの人は対抗して俺に斬りかかってこようとしない。
「いつまで待たせるんだぁ?くそ、、」
「紳士たるもの感情をあらわにしては行けませんよ」
「まじでこれ以上待たせてるんだったら2人とも俺が殺してやろうか?」
「まぁまぁ、あと少しくらい待ってみましょうよ」
「いや、俺は行くね。これ以上待ってられっかよこんな人間ごときの会話でよぉ」
俺とあの人の間に誰かが飛び降りてきた。
白黒で左右で雰囲気が違う。
片方は白金のような煌びやかで上品な雰囲気のある、
片方はカラスのようにツヤのない不気味な雰囲気を放っていた。
しかし境目は綺麗に別れている訳ではなく、常に双方が侵食し合おうとしているような見た目であった。
「お初のお目にかかります。」
「よっ、お前らが争わなくてつまんねぇからよ、俺が相手してやる。」
同じ声なのに雰囲気がまるで違った。
「何者だよお前ら!」
俺らはこの人にやられるのか?
「そんな名乗るほどの者でも」
「そのクソみてぇな脳にしっかり刻み込んどけ?俺の名はレスターだ、
俺に対抗しようとか思うなよ?思ってもいいが
やめとけ体力の無駄だからよぉ」
あそこか?
そこには砂漠にたったひとつだけ大きな建物が建ててあった