テラーノベル
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いつの間にか錬金部屋の隅には、白ネズミちゃんとドワーフ爺さんが来ている。二人とも何やら大きな荷物を持っていたが、マーリンが話しかけると真剣な顔で荷物を開き始めた。
「よう、どうしたんだ?」
とりあえず、声をかけてみる。
「ああ。ゼロ坊が、特殊効果がいっぱいついた武器や防具をありったけ持ってきて欲しいって言うから、持って来たんじゃよ」
ドワーフ爺さんは、ニコニコと人の良さそうな笑顔を見せる。もしかして、ゼロにナイフを作ってくれている爺さんなんだろうか。
「ゼロのナイフ作ってるのって…」
言いかけると、笑って「ワシじゃ、ワシじゃ」と答えてくれた。そして、俺を見ると「ふぅむ…」と唸る。
「お前さんは、格闘系らしいのぅ。こんな細っこいんじゃあ、技に重さが乗らんのじゃないかの?」
鋭い。それが悩みだ。
だから、棒術やヌンチャクみたいなスキルに興味が出始めた。
ドワーフ爺さんは図星だったと分かったようで、フォッフォッフォッ、と笑いながら、俺にも武器を作ると約束してくれた。
次いで、話しこんでいるマーリンと白ネズミにも声をかける。二人はすでに、ありったけの薬草類を並べていた。
「すげぇな!これ、全部錬金用の畑で採れた薬草か?」
すると、マーリンが嬉しそうに白ネズミを押し出す。
「そうなんですよぉ~!凄いでしょ?この子が作ったんですよぉ!薬草もお野菜も、大豊作ですぅ!」
白ネズミは相変わらず、もじもじ、オロオロしている。この感じは最早ゼロで慣れたな。
「これもゼロが持って来いって言ったのか?」
白ネズミは一生懸命、首を縦に振っている。
マジか…。
この量。ゼロの本気度が窺える。
スライム達は、一体どんな事になってしまうのか…。
「何、遠い目してんの?」
…いつの間にか、ゼロが戻って来ていたようだ。
「いや、合成素材の凄さに、ちょっと驚いて。ゼロ、嫌がってた割にはめちゃめちゃ本気だな」
「当たり前だよ。ノーネームだから死なないって言ったって、こんな危険な事…それなりの見返りがないと、やってらんないよ。自分が成りたいものに進化できるように、絶対手は抜けない」
ゼロが怖い。
なんだこの緊張感。
「はい!じゃあ、癒しの力が欲しいグループ、こっちに来て!薬草や薬品も色々あるし、効果が幾つかあるのもあるんだ。効果が高いものはそれだけリスクも高いから、慎重に選んで!」
スライム達がわらわらと集まって来る。
スライム達にゼロ程の悲壮感は感じないんだけどな~…。
ひとつひとつのグループに、同じような注意をし、マーリン達が各々の薬草や武器などの効果を説明していく。
一通り説明が終わったのか、ゼロが疲れた顔で戻ってきた。
「あれ?あの最後のグループは?」
周りに合成用の素材もないし、ゼロの説明も簡単だった。
「ああ、あの子達はね、スライム10体で合成するんだ?10体が融合すると、凄い事が起こるって伝説があるんだってさ。」
ふ~ん…デカいスライムになるだけなんじゃ…とは言えないな。ヤツらは他のスライム達よりも、さらにやる気に満ちている。
成功を祈るばかりだ。
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