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君でよかった



第一話





ドンッ、と大きな音をたて、

悠が何も無いところで転けた、


「うわー、ダサいことした…

マジごめん!大丈夫?」


その衝撃で僕は悠の

下敷きになっていた、


気付いた頃には

ケーキ特有の甘い香りが

自分の鼻をくすぐる、


『だい、じょーぶ、』


『ごめん、僕帰る…』


僕はその日から悠の事を

捕食対象として見てしまいそうで

怖くなった、


それから学校にも行かない、

外にも出ない、いつもの味のない飯を

食うことも少なくなった、

三日に一回、何か食えば いい方、

くらいの畜生よりも

低い生活水準で過ごしている、


両親、教師、クラスメイト、

そして悠、誰もが


《心配している、早く出て来い、》


と言ってくる、

みんなに僕の気持ちなんて

分かるわけないのに、



学校へ行かず、

1ヶ月がたった、

それを見兼ねた悠が、

今日、家へ来た、

母が勝手に部屋に通したらしい。



「なぁ、学校、来ないけど、

どうしたの?」


『…別に何も、』


「前まで面倒臭い、なんて

よく言ってたけど、

休むなんてしなかったじゃん、」


今、自分は頑張って

理性を保とうとしている、

この捕食対象を食わないようにって、

自分との葛藤だ、

誰もこんな気持ち、

分かってくれるわけないのに…


『うん、ごめん、

今、人と話したくない、』


「…雨音、俺のこと、

 嫌いになったの、?」


『急に、どうしたの、?』


「俺が転けて雨音のこと

 押し倒しちゃった日に、

 急に機嫌悪くなったじゃん、?

 ねぇ、嫌いなの、?」


ずっと一緒にいて、

ずっと大好きだったのに、

嫌いになれる訳が無いだろう、


でも、こんなこと言えば、

僕の理性が働かなくなる、

そして、こんな風に

いつまでも来られていたら

襲いかかってしまうんじゃ、?


そんなことを考え、

僕が放った言葉は、


『うん、大っ嫌い、』


これしか方法がなかったのだ、

ごめんな、悠、


そんなことを言えば、悠は

泣いて、でも笑顔で、


「じゃあ、もう来ないね、」


と、一言、すぐに部屋から出ていった、

どうしてだろうか、

ぼくも涙が止まらない、









            第一話終了_

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