テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
最近、若井の近くにいない
深い理由はない
隣にいると、落ち着かないだけだ
今日も、いつもより遠くに座った
席はまだ変えられないから、少しだけ机を動かした
w「遠くない?」
m「そうかな」
それだけ
授業中、視線を感じた気がした
でも顔は上げなかった
放課後
かばんを閉める音がやけに大きい
w「最近さ」
若井の声は、いつもと同じ
w「避けてる?」
m「別に」
短く返す
少し間があく
w「俺なんかした?」
首を振る
m「してない」
若井は何秒か黙ってから、軽く笑った
w「そっか」
それ以上は聞いてこない
帰り道、歩幅が合わない
前は、何も考えなくても並んでいたのに
w「元貴いないと、なんか変なんだけど」
前を向いたまま、若井がいう
冗談みたいな声
m「気のせいだろ」
自分でも冷たいと思う
w「……そっか」
その言葉が、やけに残った
別れ際
僕は振り返らない
振り返らなければ、なかったことにできる
ポケットの中で、指先が冷えている
これでいい。
そう言い聞かせるほど、上手く息ができない