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ひっさしぶりにテラー開いたら通知来ててビビりました……ありがとうございます…あの、本当に大好きです(((
むふ、むふふ....()見てるラタミ....わちゃわちゃラタミ.........可愛すぎ.......
待ってました久々の投稿!!!いつも通り神作ですこと(*^^*)
ピィピィ、ギャアギャア、ワーワー。
どこかしこから音が聞こえる。こんな森の奥深くにある家がこんなに騒がしいことがあるだろうか。一番うるさい家主はずっと怒ったり叫んだりしているし、その家主の使魔は家主に対してずっと攻撃していて、その他の来客もわちゃわちゃしている。
「……暇そうダネ」
「わぁっ!?あ…えと、みどりくん…」
みんなが騒いでいる様子をぼーっと見ていれば、突然隣から声が聞こえてきた。それは俺を以前襲ったあの翡翠。しかしあの時と違って敵意は無いし、らっだぁに怒られたからか元気もないように見える。
「…コノ前は、襲ってごめんネ。謝って許してモラエルようなことじゃないんダケド… 」
「あっいや…大丈夫です!結果俺は別に怪我してないし!」
すると、ドカッと頭の上に何かが置かれる感覚。直後上から声が降ってきたので誰が俺の頭を肘置きにしたかは判明したのだが。
「おいおいぺんさーん、あんまり簡単に許しちゃ駄目っすよ!みどりくんすぐ調子乗っ」
ぐちつぼが言葉を言い終わる前に吹き飛んで行った。どうやらみどりくんが魔法か何かでぐちつぼを吹っ飛ばしたようだった。あれ?らっだぁが魔法制限したんじゃなかったっけ。そう頭にはてなを浮かべていると、げんぴょんが説明してくれた。らっだぁから自立したぐちつぼ達はみどりくんにお世話になっていたから、魔法とはまた違う使役するための術を契約を結んだ彼らには使えるのだと。
「まぁぐちつぼの意見は間違ってないから。殺されかけたのに簡単に許しちゃうのはどうかと思うよ、お前は子供だからよく分かってないかもしれないけどね」
「…でも、俺わかるんだよ、みどりくんの気持ちも。俺も俺が一番大好きな友達が俺以外と仲良くしてるとモヤモヤするし」
「コイツ警戒心無くナイ?どんな平和な環境で育ったノ? 」
「んーまぁ俺の家族みんな優しいから!」
「ソウイウ問題…?」
その後もみどりくんと話していたけど、冷静なみどりくんは意外と話しやすかった。もっと人間を見下した発言をすると思ったのに。
「そういえば、何でぐちつぼさん達はみどりくんの所に行ったんですか?らっだぁ嫌がりそうなのに 」
「………」
みどりくんがパチリとまばたきをする。どうやらその意図はみどりくんも知らないようで、ぐちつぼを横目で様子を伺うように見た。あーとかうーんとか唸っていたぐちつぼも話さざるを得ない状況を感じ取ったようで観念したように話し出す。
「えーと、それはらっだぁがよく言ってたからだなぁ。魔法を一番よく知ってるのはみどりくんだって。学ぶならみどりくんが一番良いってずっと言ってた」
誤解を解くように頭をポリポリかきながら話し、苦笑を浮かべて勘違いしないでくれよ、と付け足した。
「らっだぁはさ、別にみどりくん達が嫌いなんじゃないんだよ、多分。行動が極端だからそう見えちゃってるだけで…まぁ、俺の勘だけど。でもよくアンタらのこと褒めてたのも本当だから」
隣で、みどりくんが息を飲む音が聞こえた。そりゃそうか。みどりくんはらっだぁのことが大好きで、でも長い間ずっと避けられてて、しんどかっただろう。そんな中自分のことを本当は嫌っていなくて、それどころか認めてくれていて。それだけで幾分か救われる。確かに考えてみれば今だって、ラタミも彼らに対して緊張感こそ持っているが、敵意という敵意は感じないし、好奇心か遠巻きに見ているラタミも多い。
らっだぁはこっちの会話なんて全く聞いていなくて、ラタミとずっとわちゃわちゃしている。今お前の本音が勝手に暴露されてるぞ、良いのか。良くないだろうけど。でもみどりくんにとっては良いことだ。
「…ラダオクン」
うるさい部屋の中、いつの間にか翡翠が背後に立っていた。あれ、お前ぺいんとと話してたんじゃなかったっけ。ちょっと前まであんな殺気出てたのに仲良くおしゃべりしやがって。…まぁそこはどうでも良くて。今更みどりと話すことなんてあるだろうか。
「……何?」
できるだけ敵意は薄く、しかし仲良しな雰囲気を作るつもりはさらさらない平坦な声で聞き返す。目を合わせれば、恥ずかしそうに下を向き、大きな魔女帽で顔を隠した。しかしすぐに離して、今度はみどりから目を合わせる。
「…ポーション作り、困ってるッテ、聞いたんダケド…オレに手伝えることとか、アル?」
思っていたことと違いすぎて面を食らう。少し前なら、お前に手伝って貰う義理はないと断っていただろう。しかし今は唆したであろうぐちつぼとぺいんとがこっちを見ているし、この和やかな空気を壊すのも気が引ける。
「そこまで言うなら手伝わせてやろう。あれ…あの、ドカーンってするやつやって」
「何もワカラン」
「いや分かるよお前なら。任せた」
「ネェわかんない!ドッカ行かないで!」
籠ったような笑い声、久しぶりに聞いたな。懐かしい、昔はずっとこういうやり取りばっかりしてたな。…あー、うん、楽しい。
「…はは」
やだなぁ、自分の思考の単純さに乾いた笑いがこぼれる。こんなことで絆されるなんて。ぐちつぼが話していたことは間違ってない。俺は今までに一度だってこいつらを嫌いになったことなんてない、それはそう。でも俺はこいつらの価値観が人間とは違うことを知っているから。俺に何かあったとき、こいつらが他の人に危害を加える可能性が万が一にでもあるのなら、俺はそばにいるべきじゃない。今だけだ、仲良しに戻るのは。明日になれば、また俺は新しく結界を張る。