テラーノベル
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第2話 守るから
俺は、じゃぱぱの後ろを歩いていた。
紫色の空。
見たことのない植物。
遠くから聞こえる、聞いたことのない生き物の鳴き声。
何もかもが、人間界とは違う。
「……なぁ、じゃぱぱ。」
「ん?」
「ここから、どうやって帰るん?」
「うーん……。」
じゃぱぱは腕を組んで考える。
「俺も、あの扉について詳しいわけじゃないんだよね。」
「……え?」
「俺が知ってるのは、あの扉はニンゲン界とこの魔界を繋ぐ扉で、でも開けられなくて。それと、絶対に一方通行だってことくらい。」
「一方通行だからこの扉は開かんのか…。」
「てか何でたっつんは扉を開けれたんだろ…?」
「俺もわからん。」
「ニンゲンにも魔族にも開けられないはずなのに。」
「あっ、でもね、帰る方法はあると思う。」
「ほんまに?」
「うん!」
じゃぱぱは、にこっと笑った。
「この魔界、結構広いんだよ。俺が知らない場所もいっぱいあるし。」
「……じゃあ、誰かに聞けば分かるんちゃう?」
「それもそうだね!」
なんとも頼りない返事だった。
「……大丈夫なん?」
「大丈夫大丈夫!」
「いや、何を根拠に……。」
俺がため息をつく。
すると、じゃぱぱが突然立ち止まった。
「……あ。」
「ん?」
「たっつん。」
「?」
じゃぱぱが俺を見る。
「この先、ちょっと気をつけて。」
「なんで?」
「魔物が多いから。」
「…………。」
「大丈夫。俺がいるから!」
「いや、それは分かってるけど……。」
俺は前を見る。
薄暗い森。
うねうねした木。
その木々の間で、何かが動いた。
ガサガサと音がする。
「……いるやん。」
「うん。」
「うん、じゃないねん。」
ガサッ。
葉が揺れる。
次の瞬間。
**びゅっ!**と風を切る音が聞こえ、
大きな魔物が飛び出してきた。
「うわっ!?」
俺が後ろへ下がる。
魔物は俺を見つめると、低く唸った。
「……なんや、こいつ。」
その目が、俺をじっと見ている。
まるで、俺だけを狙っているようだった。
「じゃぱぱ……?」
「……たっつん、下がって。」
じゃぱぱの声が変わった。
さっきまでの明るい声じゃない。
「俺の後ろにいて。」
「……分かった。」
じゃぱぱが一歩前へ出る。
地面に、黒い影が広がった。
「――来るなよ。」
魔物が飛びかかる。
その瞬間。
じゃぱぱの姿が、ふっと消えた。
「……え?」
次の瞬間。
魔物の背後に、じゃぱぱが立っていた。
「こっち。」
影が伸びる。
魔物の足元を縫い止める。
「動けないでしょ?」
じゃぱぱが手をかざす。
じゃぱぱの手のひらの上に、黒い靄のようなもの―魔力が集まり出す。
渦を巻きながら、少しずつ密度を増していく。
魔力の霧はやがて、拳ほどの黒い球体に変わる。
パチ、パチ、と紫色の火花が球体の表面で弾けた。
「じゃあね。」
軽い声。
なのに、魔力玉が放たれた瞬間の空気の震え方は、全然軽くなかった。
――ドンッ!!
鼓膜が痺れるような音とともに、魔物の身体が吹き飛ばされる。
土煙が舞い、静寂が戻ってきた。
「…………」
俺は呆然と立っていた。
「……やっぱり、お前強いやん。」
「そう?」
「そうやろ。」
じゃぱぱは笑う。
「でも、たっつんも気をつけてね。」
「え…?」
「この辺は下等な魔物がたくさんいるから。下等な魔物は話が通じないからね。」
「俺、何でこんなに狙われてるの?」
「おいしそうなんじゃない?」
「え?俺、喰われんの?」
「ぼーっとしてたら食われるだろうね。」
「まじか…俺、戦えないのに。」
「知ってる。」
「即答すんな」
「だって、たっつんはニンゲンでしょ?」
「……人間やけど。」
「だったら、俺が守るよ。」
じゃぱぱは何でもないことのように言った。
「………。」
俺の両肩に手を置き、少しかがんで目線を合わせる。
そして、俺の目をまっすぐ見つめた。
水色がかった緑色の綺麗な瞳だった。
「帰るまで、ちゃんと守る。」
俺は少しだけ目を見開いた。
「……ほんまに?」
「うん。」
じゃぱぱは笑った。
「だから、一緒に行こう。」
その笑顔を見て俺は、なんだか少しだけ安堵した。
「……。」
でも。
さっきの魔力の塊が魔物を吹き飛ばした音が、まだ耳の奥に残ってた。
一人だったら、今頃どうなってたんやろう。
想像しかけて、やめた。
喉の奥が、変な感じがする。
この世界で一人になるよりは――
「……分かった。」
こいつと一緒にいたほうが安心する。
俺は小さく頷いた。
「よろしくな、じゃぱぱ。」
「うん!よろしく、たっつん!」
こうして。
俺とじゃぱぱの、二人の旅が始まった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ここまではあくまでもチュートリアル。
これから先はもっと危険で厳しい。
でも少しだけ甘い、旅になります。
次回 第三話 森の番人 ♡100↑
ゆあくん
491
#初心者だからつまんないかも....
コメント
1件
うわあああ第2話もめっちゃ良かった!!!😭💕 じゃぱぱの「帰るまでちゃんと守る」ってセリフ、目線合わせて言うとこがもうエモすぎてやばい…!水色がかった緑色の瞳の描写にキュンとしたよ…✨ たっつんが「こいつと一緒にいたほうが安心する」って心の中で認めるところもじわじわ来る…!二人の旅、これからが本番って感じで続きが気になって仕方ないよ〜〜🫶💫