『ほら葛葉、いくよ。』
《うやぁぁあ〜; ; 》
笑いながら布団から引き摺り出そうとする叶さんと、
奇声を発して布団を死守する葛葉。
日常もこんなだったりするのかな。
何だか楽しそうで…ちょっとだけ、いいな、なんて思った。
叶さんは昨日よりも表情が明るい。
クヨクヨしてる葛葉の前で、弱い顔したくないんだな。
叶さんの優しさだ。
俺も笑顔になって叶さんの隣に行く。
《あぁぁぁあーー; ; 》
布団を取られた葛葉は俺たちを抱きしめる。
「ほら、しっかりしてwかなかなが朝ごはん作ってくれたんだから!」
《えぇ?早くない?》
『全然普段通りだけど…。』
「ほら行くよー!いっちに、はい!いっちに!」
『明那…』
叶さんが呟く。
「ん?」
『あ…いやなんでもない。』
「わーー!!懐かしーー!!」
目の前にはいろんな思いが詰まった海が広がっている。
「あ…あれ、、?」
見覚えのある後ろ姿が少し遠くにある。
「うそ、そんな、そんなはず、」
そこに向かう足を早める。
『明那…、?どこに、!』
気づけば全力で走っていた。
「まゆ……?うそ、?俺だよ」
[明那…、?]
「久しぶり!!!まゆ!!会いたかった!!!
あ、てことは、まゆもふわっちの……………、
あれ。」
[そりゃいくよ、ふわくんの]
また耳鳴りがする。あの時と同じくらいの。
そうだ。
まゆ、は……、ふわっちの、、通夜に。
行けない。
だから、違う。
ふわっちが、会いに行ったんだ。
きっと。
『っ、はぁ、はぁ…明那。』
叶さんが息を切らして俺の手をとる。
「ごめん叶さん、…俺また、」
ふわっち…まゆに会えたのかな。
『明那、…大丈夫。涙拭いて?』
「ありがと叶さん。」
『うん。』
暫く3人で座って、静かに時間を過ごした。
「……。なんかすっきりしたわ、!もう大丈夫な気がする!」
いつもの、感じだ。
夕暮れが橙から赤に移り変わって、
悲しさは勇気に変わった。
『じゃあ…もう行こっか。』
通夜は、18時から始まる。
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