テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
524
夜の路地。
三人の間に重たい沈黙が落ちている。
そこに、ゆっくりと白衣の男が歩いてきた。
街灯の光が顔を照らす。
莉々の表情が固まる。
莉々「……博士」
白衣の男は軽く笑う。
博士「久しぶりだね」
駆人は眉をひそめる。
駆人「……誰だ」
博士は駆人を見る。
懐かしそうに。
博士「君も大きくなった」
駆人「……」
博士「被験体No.27」
駆人の顔が変わる。
駆人「……研究所の人間か」
博士は頷く。
博士「そうだ」
そして莉々を見る。
博士「そして彼女は」
少し間を置く。
博士「被験体No.01」
男は状況が理解できない。
男「……何の話だ」
誰も答えない。
博士は静かに言う。
博士「君がずっと知りたかったこと」
博士「話してあげよう」
駆人の目が鋭くなる。
駆人「……兄のことか」
博士「そう」
博士はためらいもなく言う。
博士「君のお兄さんを殺したのは」
数秒の沈黙。
博士「私だ」
空気が凍る。
駆人「……嘘だ」
博士「嘘じゃない」
博士の声は落ち着いている。
博士「君の兄は優秀だった」
駆人の頭に兄の顔が浮かぶ。
優しくて、静かな人。
博士「だが問題があった」
博士「被験者に情を持った」
莉々の目が少し伏せられる。
博士「特に彼女に」
博士は莉々を見る。
博士「逃がそうとしていた」
駆人「……」
博士「研究所の情報も持ち出そうとしていた」
博士「つまり裏切りだ」
博士は淡々と言う。
博士「だから止めた」
駆人「……止めた?」
博士「そう」
博士は平然と言った。
博士「私が刺した」
男が息を呑む。
駆人の呼吸が乱れる。
駆人「……でも」
駆人「僕は見た」
駆人「莉々がナイフを持ってた」
博士は少し笑う。
博士「当然だ」
駆人の目が動く。
博士「彼女に持たせた」
莉々は何も言わない。
博士「君が誤解するように」
博士「憎しみは人を強くする」
博士「研究には都合がいい」
その言葉。
冷たすぎる。
駆人の拳が震える。
駆人「……じゃあ」
駆人の声がかすれる。
駆人「僕は」
駆人「十年間」
駆人「間違った人を憎んでたのか」
博士はあっさり答える。
博士「そうなるね」
沈黙。
駆人は動かない。
莉々がゆっくり言う。
莉々「……駆人」
駆人は顔を上げない。
博士は続ける。
博士「でも安心して」
博士「君は優秀な被験体だ」
博士「まだ役に立つ」
その瞬間。
駆人が動いた。
一歩で距離を詰める。
博士の胸ぐらを掴む。
壁に押し付ける。
ドン。
博士の背中が壁に当たる。
男「……!」
駆人の目。
涙が溜まっている。
駆人「……あんた」
声が低い。
駆人「全部」
駆人「実験だったのか」
博士は苦しそうに笑う。
博士「そうだ」
駆人の拳が震える。
駆人「僕の兄も」
駆人「僕も」
駆人「莉々も」
博士「もちろん」
博士は平然と言う。
博士「人間は研究材料だ」
その言葉。
駆人の目が完全に変わる。
莉々が一歩前に出る。
莉々「駆人」
駆人の肩が震える。
駆人「……」
静かな声。
駆人「僕」
駆人「どうしたらいい」
莉々は答えない。
駆人はゆっくり言う。
駆人「誰を憎めばいい」
沈黙。
博士が笑う。
その瞬間。
駆人の拳が動いた。
ドン。
博士の顔に強く当たる。
博士が地面に倒れる。
男が驚く。
男「おい……!」
駆人は立ったまま震えている。
莉々は静かに言う。
莉「……駆人」
駆人の声は小さい。
駆「……全部」
駆「壊された」
莉「…、1回落ち着こ、?」
夜の路地に、静かな怒りだけが残った。
コメントだいすき♡
見てくれた人も大好き♡
そろそろ完結に向かうかもです👉🏻👈🏻
コメント
2件

今回も面白かったです!最後どうなるのか楽しみに待たせてもらいます☺️