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夜の路地。
三人の間に重たい沈黙が落ちている。
そこに、ゆっくりと白衣の男が歩いてきた。
街灯の光が顔を照らす。
莉々の表情が固まる。
莉々「……博士」
白衣の男は軽く笑う。
博士「久しぶりだね」
駆人は眉をひそめる。
駆人「……誰だ」
博士は駆人を見る。
懐かしそうに。
博士「君も大きくなった」
駆人「……」
博士「被験体No.27」
駆人の顔が変わる。
駆人「……研究所の人間か」
博士は頷く。
博士「そうだ」
そして莉々を見る。
博士「そして彼女は」
少し間を置く。
博士「被験体No.01」
男は状況が理解できない。
男「……何の話だ」
誰も答えない。
博士は静かに言う。
博士「君がずっと知りたかったこと」
博士「話してあげよう」
駆人の目が鋭くなる。
駆人「……兄のことか」
博士「そう」
博士はためらいもなく言う。
博士「君のお兄さんを殺したのは」
数秒の沈黙。
博士「私だ」
空気が凍る。
駆人「……嘘だ」
博士「嘘じゃない」
博士の声は落ち着いている。
博士「君の兄は優秀だった」
駆人の頭に兄の顔が浮かぶ。
優しくて、静かな人。
博士「だが問題があった」
博士「被験者に情を持った」
莉々の目が少し伏せられる。
博士「特に彼女に」
博士は莉々を見る。
博士「逃がそうとしていた」
駆人「……」
博士「研究所の情報も持ち出そうとしていた」
博士「つまり裏切りだ」
博士は淡々と言う。
博士「だから止めた」
駆人「……止めた?」
博士「そう」
博士は平然と言った。
博士「私が刺した」
男が息を呑む。
駆人の呼吸が乱れる。
駆人「……でも」
駆人「僕は見た」
駆人「莉々がナイフを持ってた」
博士は少し笑う。
博士「当然だ」
駆人の目が動く。
博士「彼女に持たせた」
莉々は何も言わない。
博士「君が誤解するように」
博士「憎しみは人を強くする」
博士「研究には都合がいい」
その言葉。
冷たすぎる。
駆人の拳が震える。
駆人「……じゃあ」
駆人の声がかすれる。
駆人「僕は」
駆人「十年間」
駆人「間違った人を憎んでたのか」
博士はあっさり答える。
博士「そうなるね」
沈黙。
駆人は動かない。
莉々がゆっくり言う。
莉々「……駆人」
駆人は顔を上げない。
博士は続ける。
博士「でも安心して」
博士「君は優秀な被験体だ」
博士「まだ役に立つ」
その瞬間。
駆人が動いた。
一歩で距離を詰める。
博士の胸ぐらを掴む。
壁に押し付ける。
ドン。
博士の背中が壁に当たる。
男「……!」
駆人の目。
涙が溜まっている。
駆人「……あんた」
声が低い。
駆人「全部」
駆人「実験だったのか」
博士は苦しそうに笑う。
博士「そうだ」
駆人の拳が震える。
駆人「僕の兄も」
駆人「僕も」
駆人「莉々も」
博士「もちろん」
博士は平然と言う。
博士「人間は研究材料だ」
その言葉。
駆人の目が完全に変わる。
莉々が一歩前に出る。
莉々「駆人」
駆人の肩が震える。
駆人「……」
静かな声。
駆人「僕」
駆人「どうしたらいい」
莉々は答えない。
駆人はゆっくり言う。
駆人「誰を憎めばいい」
沈黙。
博士が笑う。
その瞬間。
駆人の拳が動いた。
ドン。
博士の顔に強く当たる。
博士が地面に倒れる。
男が驚く。
男「おい……!」
駆人は立ったまま震えている。
莉々は静かに言う。
莉「……駆人」
駆人の声は小さい。
駆「……全部」
駆「壊された」
莉「…、1回落ち着こ、?」
夜の路地に、静かな怒りだけが残った。
コメントだいすき♡
見てくれた人も大好き♡
そろそろ完結に向かうかもです👉🏻👈🏻
コメント
2件

今回も面白かったです!最後どうなるのか楽しみに待たせてもらいます☺️