テラーノベル
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ーーぎゅむっ
「ねえ、なんなの…若井。」
フェスの熱気がまだ身体に残っているのに、帰り道でも家に着いてからも、若井はずっとぼくに張り付いて離れない。
とうとう痺れを切らし、少し声を荒げてしまった。
いま、彼は風呂上がりのぼくの背中にべったりくっつき、両手で胸を覆うようにぎゅっと掴んでいる。
冷房が効いた室内だってのに、正直めちゃくちゃ暑いし、 かなりうざい。
「やだ。」
若井とは中学生からの長い付き合い。
彼がなんでこんなひっつき虫になっているかは、大方予想はつく……
「あれはさー、涼ちゃんにマイク付いてなかったんだから仕方ないじゃん。」
『はあっ』と分かりやすく大きくため息をつきながら、諭すように言ってみる。
でも若井は拗ねたまま、さらに腕の力を強めてきた。
「近すぎ。それにおっぱいを涼ちゃんに近付けちゃったりしてさー。…おれのおっぱいなのに。」
「もうー。だからあれは胸じゃなくてマイクを近付けてたんだし…ってかこの胸は若井のじゃなくてぼくのだしね?」
「……おれのだし。」
「はあーっ。若井ってヤキモチ妬かないタイプじゃなかったっけ? 」
「……元貴限定で…妬く。」
“元貴限定”――その言葉に、ちょっとだけ嬉しくなるけど、 ポーカーフェイスを崩さず、ぼくはまた大げさに息を吐いた。
「ぼく限定とか言っとけばいいと思ってるでしょ?」
「だってほんとの事だし。」
「てか、お前、さっきからさーー」
拗ねオーラ全開のくせに、胸を掴んでる手をこっそり――いや、全然こっそりになってないけど――むぎゅむぎゅと動かしてくる。
……拗ねてる割に、もうふざけはじめてるし。
いや、それどころか、“あわよくば”ってオーラも滲み出てるんだけど。
「なにー?」
わざと眉間に皺を寄せて不機嫌な顔を作っているぼくを若井は覗き込んでくる。
そして、その顔は予想通りちょっとニヤついていて…
「“なにー?”じゃなくて…手。」
そんな若井を睨みつけてはみるけど、そんなの意味がないなんてことも分かってる。
「“手”がどうかしたー?」
そして、たまに見せる若井の独占欲と、この片方の口角だけ上げて笑うイタズラっ子のような顔に、ぼくが弱いってバレてることも分かってるから…
「はぁ、明日も早いんだから…ヤるならさっさとヤるよ。」
ぼくがわざとらしく溜め息をつきながらそう言うと…
「ちょっ、ムードなさすぎない?!」
と、ケラケラと笑いながら返してきた若井。
その余裕そうな様子がなんだか気に食わなかったぼくは、若井の腕を解き、くるりと体制を変えて、若井の膝の上に股がった。
「じゃあ、ムード作ってやるよ。」
ぼくはそう言って、若井の首の後ろに手を回し唇が触れるか触れないかのギリギリまで顔を近付けた。
若井はそのままキスをしようとしてきたけど、少し引く。
そうして、しばらく焦らしたところで…
「なにー?キス、したいの?」
渾身の小悪魔顔でそう言うと、若井がゴクンと生唾を飲んだのを見て、機嫌が良くなったぼくは…
“ちゅっ”
「…もっとする?」
そう言って勝ち誇った顔した。
「…煽ってきた元貴のせいだからね?」
それから数時間後…
後悔する事になったのは、もうお約束。
-fin-
コメント
8件
まぁあれを見たら💙が妬くのも仕方ない((

更新お疲れ様です!🙇♀️もうがち可愛い最高です🫶🫶
待ってました〜!歓喜🥳 ❤️くん限定のヤキモチ可愛すぎました〜😭🫶癒されました