テラーノベル
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❤️×💛 お付き合いしています。
フォロワー400人突破記念の短編になります。
元貴は天才テレビくんの子供達に楽曲提供した。それはとっても素敵な曲で子供達が歌っているのを聞いて、さすが元貴!となんとなく誇らしく思う。
俺もほんの少しだけ番組に出させてもらって演技もした。元貴や若井からは「涼ちゃんらしい」と褒めて?もらったのだが俺的には自分の演技の下手さを突き付けられたようでとても恥ずかしかった。
そこから元貴は何度も子供達と共演し、その度に楽しそうに、愛おしそうに子供達を見つめる優しい元貴の瞳。
とっても素敵だなとホッコリする反面、少しだけ胸の奥がズキっと痛む。
元貴って本当に子供が好きなんだなぁ。SNSでも『大森さん子供が本当に好きなんだね』『優しいいいパパになりそう』などの投稿で溢れかえっていた。
もちろん俺だって子供は大好きだ。無邪気な笑顔をみると無条件でかわいく思ってしまう。
でも……。
「元貴、めちゃくちゃ結婚願望あるって言ってたよなぁ」
別の番組で結婚したい、暖かい家庭に憧れがあると言っていた元貴を思い出す。
連鎖的にかわいい奥さんとかわいい子供に囲まれて幸せそうに笑う元貴が自然と頭に浮かんだ。
「……めちゃくちゃ似合うじゃん」
俺と違って元々ストレートで女性が好きだった元貴。それなのに何をどう思ったのか俺を好きだと言い今現在仲良くお付き合いをさせていただいている。
でもどれだけ仲良くしても好きだと囁かれてもいつまでも心の奥底には「ホントにこれでいいのかな?」という罪悪感に似た何かが消えずに潜んでいて、こういう時々にフッと顔をのぞかせ俺を不安にさせる。
「あーあ」
なんで元貴は男の俺なんか好きになったんだろ?
俺が元貴を好きになったのはわかる。だってゲイの俺があんな才能に溢れた魅力的な人とずっとこんなに側にいて惚れるなと言うのが無理な話しなのだ。
でも元貴は女性の恋人がいた生粋のストレート。そんな彼に『好きになった』『俺は涼ちゃんがいないとダメなんだ』と言われ舞い上がり、信じられないくらい幸せだった。
そして……信じられなくなった。
なんで俺なんだろ?結婚願望があるなら余計に俺なんかと付き合ってちゃダメじゃない。
ボーッと元貴が作り子供達が歌う幸せな『こたえあわせ』を聴きながら ふぅ〜と大きなため息をついた。
そこにスッと後ろから首に腕が周り優しく抱きしめられる。
「りょ〜ちゃん。どうしたの?ため息なんかついて」
急に元貴が後ろから俺の肩に顎を乗せて話しかけてきて、俺はビクッと身体が固まる。
「元貴…」
「あれ?これ聞いてくれてるんだ。自分で作っときながらだけどこれいいよね〜。俺、自分で歌ってるのより子供達が歌ってる方が断然好きなんだ」
子供達の一生懸命さが伝わってきてさ、と元貴はフフッと笑う。
「やっぱり子供ってそれだけで素晴らしいよね」
「んっ…やっぱりそうだよねぇ」
嬉しそうに笑う元貴の笑顔が眩しい。やっぱり元貴は自分の子供欲しいんだろうな。
「?どうしたの?涼ちゃんなんか変だよ?」
元貴がそう言って顔をのぞき込んでくるがなんとなく目をそらしてしまう。
そんな俺の様子に何か気付いたのか元貴は腕を解き、前に回り込んできたかと思うとおもむろに両手で俺の頬をギュッと押しつぶした。
「涼ちゃん!」
「ゔゔっ」
元貴はマトモに声が出せない俺をじっとりとした目で見つめてくる。
「また変なこと考えてたでしょ」
「ゔ…」
図星過ぎて目をそらそうとするが元貴の顔がどんどん近づいてきて、目をそらせない位置まで迫ると顔が挟まれているので逃げることもできない。
「何?何考えてたの?ハッキリ言いなさい」
あまりの迫力に仕方なく涙目でうなづくとやっと顔を解放してもらえた。
「で?今度は何?また余計なこと考えてたんでしょ」
ちょっとヒリヒリする頬をさすっていると元貴が真面目な声で怒ってくるのに覚悟を決めて恐る恐る話しだす。
「…元貴って子供好きだよね?」
「?うん。もちろん好きだよ?」
「じゃ、じゃあさ、やっぱり結婚…したいん、だよ…ね?」
それを聞いて元貴は「あー」と手を額に当てて天を仰ぐ。
「あれはテレビでしょ」
「でもでも、暖かい家庭に憧れてるのは確かでしょ?」
まぁそりゃそうだけどさ、とため息をつきながら答える元貴にちょっと涙目になってしまう。
「やっぱり……」
「違う!違う!そういう意味じゃないから!」
俺の様子を見て慌ててて手を振って否定してくるがもうすでに俺の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「ううっ。俺じゃ元貴と結婚どころか子供だって作ってあげられない。やっぱり俺じゃあ元貴に相応しくないよぉ…」
「…ああっ、もう!」
元貴は頭をガシガシとかくとギュッとすごい力で抱きしめてきた。
「涼ちゃん!俺の好きなのは誰?」
「……えっ?…俺?」
「そう!」
ちょっと恥ずかしげに答えると元貴は満足そうに頷く。
「だからあれはねぇ、できるなら涼ちゃんと結婚したいってことなの!」
「へっ?」
俺は驚いてパチパチと瞬きを繰り返してしまう。
そんな俺を見て盛大なため息をついた元貴は、チュッと軽くキスをする。
「あのね、俺が思い描く『暖かい家庭』ってのは帰ったらいつだって涼ちゃんが笑顔でお帰りなさいって迎えてくれるものなの」
それを聞いてボッと一気に顔が熱くなる。
そんな俺を見て、恥ずかしそうに顔をそらした元貴の耳元も赤く染まっていた。
「でも、でも俺、どんなにがんばっても元貴の子供は産んであげられないよ?それでもいいの?」
「男と女で子供いないカップルだって今時珍しくないでしょ?別に自分の子供じゃなくたって今回のテレビ戦士みたいにかわいい子達と遊べるしさ」
元貴は優しく抱きしめて俺の頭をヨシヨシと撫でてくれる。
俺は違う意味で涙で視界が滲んできた。
「それに、本当に身近で子供と触れ合いたいならさ、若井に子供作らせればいいんだよ。それで俺らはその子を思いっきりかわいがろう」
あいつ子種多そうだし大丈夫でしょ、と元貴が笑うので俺もつられて笑ってしまう。
「だからぁ、俺は涼ちゃんがいたらそれでいいんだから、余計なこと考えちゃダメ!」
そう言って俺のオデコをツンっと突く。
「うん!」
そううなずいて笑う俺に元貴はよくできましたとニッコリと笑ってくれた。
またどうしようもなく小さいことで不安になってしまうかもしれない。でも今、この瞬間だけは元貴となら『暖かい家庭』を作れるんじゃないかとそう信じられる気がした。
俺たちの『こたえあわせ』はまだ始まったばかりだから…。
今作成中の長編の進みが遅いからか、途中でフォロワーが400人を超えました。みなさん本当にありがとうございます😊
正直かなりびっくりしています。
実は今進めている長編が終わってからの投稿にしようと思っていたのですが、そちらがなかなか終わらずまだちょっとかかりそうなので、時事ネタ?的なものでもあるので先に投稿させていただきました。
みなさんこれからもどうぞよろしくお願いします。
コメント
11件
フォロワー様400名、おめでとうございます⤴️✨ しいなさんの優しいお話好き✨ やっぱりリアルに沿ってると入り込みやすいから、ホンワカする(*´ω`*)
フォロワー400人おめでとうございます💓いつも読んでます♪ 優しいお話し大好き✨️若井に子供作らせるが、メッチャ良かったです(笑)
400人、おめでとうございます🍏😊 そして、このお話読ませて頂き、ほっこりした気持ちになりました🫶 いつも素敵なお話、ありがとうございます!