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皆様こんにちは。
ディス・ザ・ザットワットと申します。
今回は「最期の嘘はにこやかに」と「黒い蜘蛛の巣」のあとがきになります。まだ読んでおらず、その上読むつもりのある方はご注意を。
さて、まずは最期の嘘の方から。
こちらは初めて『信頼できない語り手』に挑戦してみた話になります。信頼できない語り手とは、一人称の物語において語り部を担う人格が必ずしも真実を話しているとは限らないというトリックの一つです。今回の場合は主人公である男…ここでは『彼』と呼びましょう。彼は真実を知らなかったから、地の文章中で真実が語られることは終始なかったのでした。
この作品の肝は、いかに普通の文章の中に不自然を混ぜ込めるか。どうやって読者の皆様を『狼青年が既に亡くなっている』という真実に辿り着かせるか。これに限ります。
嘘をつかないという約束をしたがらないのは、生きている振りをして話すことこそが嘘になるから。大学に行くことを渋るのも、近くに落ちた鍵を拾わずわざわざ伝えるのも、幽霊の自分では行けないし触れないから。けれど、そんな狼青年の思いを彼は知らない。確かに言葉でたった一度だけ伝えられはしたけれど、狼青年がすぐに嘘だと偽ってしまったために知る由もありません。
愚痴を溢しつつも面倒見の良い彼と、彼を傷つけたくないから嘘をついた狼青年。にこやかに告げられたことこそが最期の嘘であったと彼が気付くのは、果たしていつになることやら。
お次は蜘蛛の巣。
打って変わりましてこちらはホラーテイストのお話。語り人口調は初めて書きました。
私は髪がまあそれなりに長い方なのですが、ある日部屋に私の髪の毛が落ちていまして。それが体に静電気でくっついて離れないことに苛立ちかけたその時、ぴーんと来ました。蜘蛛の糸と一緒だと。
蜘蛛の糸も張り付いてくるのです。しかも、一度張り付くと全然取れない。まるで髪の毛。いや、全然別物なのですが。
という訳で生まれた今回のお話。我ながら気持ち悪い話を生み出したものだと思います。怖い話を目指した筈が、どちらかというと気持ち悪いの方が強い気がします。いや、怖くはないですね。気持ち悪いです。
怖いものが苦手で全然そういう作品に触れないので、資料不足で怖いものを書くのも苦手です。が、いづれは読んだ方全員が一人でお手洗いに行けなくなるようにしてみせます。しかし、そんな話が書けた時、当の私は一人でお手洗いにいけるのでしょうか。…道程は長そうですね。
ここまでこんな徒然過ぎる独り言にお付き合いいただきありがとうございました。
それでは。