テラーノベル
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イジメは、高校の三年間ずっと続いた──。
クラス替えの度に、こんな苦しみからはもう解放されるかもしれないと淡い期待を抱いて、そうしてそれは毎回もろくも奪い去られた。
「濡れ女」のあだ名は呪いみたいに付きまとい、あたしはイジメられ続けた。
15歳から18歳までのいい思い出なんて、ひとつもない。
高校生活が、一番楽しいだなんて。そんなこと、一度だって思ったこともないよ。
逃げ出したいほどの辛い日々──あたしの中に高校生活として残ってるのは、それだけでしかない。
みんなは、高校時代ってどうだった?
楽しかった?
高校の楽しい思い出って言ったら、修学旅行とかかな。
だけど──、
楽しいはずの修学旅行でも、あたしは、グループ分けでひとりだけあぶれた。
お情けで人数の足りないグループに入れてもらって、いっしょになった人たちからも嫌な顔をされて。
でもね、旅行っていう、日常とは異なる場所でなら、もしかしたらみんなも仲良くしてくれるかもしれないなんて。そんな風にも、思ってた。
もちろん、あたしの思いは、ことごとく裏切られたけど。
せっかく同じグループになったんだからと話しかけてみても、誰もこたえてもくれず、バスの中じゃ隣に座ることさえ嫌がられた。
あたしは、みんなでいっしょに行動するはずの修学旅行でも、いつもひとりぼっちだった。
出来上がった旅行の写真には、友達と写ってるものなんて一つもあるわけもなく、あたしが写ってるのは集合写真だけ。
みんなが自分の写真を買おうと、壁に貼られた写真の前に群がる中で、あたしは唇を噛んでひとり教室の席に座り込んでいた。
見たって仕方がない。
陰気な脅えた顔をして、端っこの方に小さくなって写る自分なんか、見たくもなかった。
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