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あの日から、全てが始まった。
7月6日 教室
結「放課後、学校裏に来てほしいん
だけど…」
突如目の前に現れたのは、クラスメイトの
桜井 結(さくらい むすび)だった。
結は…なんというのだろうか。
どういう人なのか分からない。
でも、愛想が良くて顔が整っているから、
クラスから好かれている、そんな印象だ。
優太「いいけど、手短に頼むよ」
そういうと、彼女は笑顔で
去っていった。
そして放課後。
学校裏は所々錆びていて、つるが
壁にひっついていた。草も伸び切っているし
多分何年も掃除していないのだろう。
優太「(一体なんだ…?もしかして告白?
いやでも、するならもう少しマシな
ところでするよな…)」
そう考えていると、前から
明るい声が聞こえた。
結「急に呼び出しちゃって、ごめんね?」
ごめんね、と言っている割には
彼女の顔は笑っていた。
しばらく、沈黙が続いた後に
僕は口を開いた。
優太「それで…何の用?」
結「あっ!そっか!うん!」
彼女は何度か深呼吸をした後、
真剣な眼差しをこちらに向けながら言った。
結「50日間、手紙交換をしてくれませんか」
…え?手紙交換?
驚いた。高校にもなって手紙交換を
するだなんて。
優太「ま、まぁ。いいけど。」
結「え!?嘘!夢みたーい!
やったああああ!!」
結は大声を上げて
大袈裟な程に喜んでいた。
優太「うるさい、静かにしろ」
結「あははっ、ごめんごめん。
嬉しくって」
優太「なんでだよ、そんなに
嬉しいか?」
俺がそういうと、結は呆れたように
大きなため息をした。
彼女はいちいち大きく行動しないと
生きてはいけない病気なのだろうか。
結「じゃあ、はい。これ。」
そういうと、大きな便箋を差し出してきた。
1枚、2枚…。数えきれない
ぐらいある。
結「それ、今日中に全部読んでね?
全部読まないと、いい事おきないよ?」
優太「え、ちょっ。」
俺が止めようとした頃には、
彼女は目の前からいなくなっていた…。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
優太「はぁ…」
母「ため息をすると、幸せが
逃げていくわよ?」
母が台所から皿を拭きながら
呆れ顔で言っていた。
優太「違う。これはため息じゃない。
呼吸だ。人間皆呼吸しないと
死んでしまうだろう?」
母「はいはいわかりましたから
課題さっさとやりなさい。」
すると母が鞄に目をやった。
母「それ…ラブレター?」
優太「ちがっ!」
母「へー、優太もとうとう、
ラブレター貰う歳になっちゃったか~。
しかも、すごく分厚いじゃない!
あんた愛されてるわね~。」
母は俺の鞄から手紙を取り出して
手紙の封筒を丁寧に剥がしていた。
俺は必死に取り返そうとしたが、
母にかわされてしまった。
しばらくたった後に、
母がニヤニヤしながら
こちらを振り向いた。
母「ふむふむ、なるほどね~!
あんた、これ読まないと損するわよ。」
ふふふっ、という声を出して
ご機嫌な顔で母の部屋に戻って行った…
優太「一体なんなんだよ…」
俺は母がいないことを確認して、
彼女が書いた手紙を読んだ。
『優太君へ、
この手紙を読んでいる時には、
もう手紙交換が始まったのかな?
実は、手紙あんまり書いたこと
なくて…読みにくかったらごめんね?
あ、そうそう!
今日学校でね!私には
紅音っていうお友達が』
ここで読むのをやめた。
長い。長すぎる。
優太「…最後の方だけ見るか。」
俺は手紙の最後の方を見た。
『明日、○○広場に絶対来てね。
待ってるから。 結より。』
優太「○○広場…?あぁ、そういえば
七夕祭りがあったんだっけ…。」
まずい。明日は父が家に帰ってくる日だ。
1年に何度かぐらいしか帰ってこないから、
大事な日だってのに…
優太「どうすればいいんだ…!?」