テラーノベル
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すかーの部屋の外、薄暗い廊下を行き来しながら、すかーと夢魔は必死にネグの居場所を探していた。「どこに隠れてるんだよ、あのザコ……!」すかーの声は怒りに震えていた。
夢魔も眉間に深い皺を寄せている。
「ほんとに悪い冗談みたいだな……この状況、何で俺たちがこんなに必死になってるんだ?」
だが、その怒りは一層膨れ上がるばかりだ。ネグのあの電話の声が耳に焼き付いて離れないのだ。
『見つけるの遅くてよっわぁ♡ 超ダッさぁ♡♡』──電話越しの、あのメスガキみたいな煽り。
夢魔は拳を強く握りしめた。
「……ふざけやがって、絶対に見つけてやる」
一方、襖の中ではネグが音を立てずにクスクスと笑っていた。
声を出すわけにはいかない。すかーと夢魔の激しい怒声が外で響き渡る中、ネグは薄暗い狭い空間でしっかりと息を殺している。
すかーのタンスから何着か服をこっそり取ってきては、床に広げて暖を取る。寒さと緊張で震える身体を服で包み込みながら、電話を握りしめて、再びメスガキ口調で煽りの電話をかける。
「……見つけるの遅くてよっわぁ♡ 超ダッさぁ♡♡」
電話を切り、静かに襖の奥に戻る。
パレないように身を縮めて、硬く目を閉じた。
だが、すかーが再び部屋に戻った瞬間、何かが違うと気づいた。
床に散らばった服の位置や、襖の少し開いた隙間。普段と違う空気感にすかーの心臓は一気に沸騰した。
「……何これ?」
激おこが一気に爆発する。
「なんで俺の服がこんなところに散らばってんだよ!!お前、どこに隠れてんだよこのバカがあああああ!!!」
夢魔も部屋に戻り、すかーの怒号に負けじと叫ぶ。
「ネグ、どこだ!!出てこい!!」
部屋を隅々まで探しても、ネグの姿はどこにもない。
「まさか……またあの襖の中か?」すかーが襖に手をかけるが、開けることはしない。ネグが逃げ込んだあの狭い空間だ。
「見つけてやる……絶対に」二人の目は怒りで燃えている。
だが、ネグは静かに襖の奥で、クスクスと笑いをこらえていた。
「……だって、見つけるの遅くてよわよわだもん♡」
その小さな笑い声は外には届かない。だが二人の心には確実に響いていた。
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