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24 - 愛の誤算と、無邪気な一手   fkr×kwmr

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2026年01月14日

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『愛の誤算と、無邪気な一手』



撮影終わりの楽屋は、機材の片付けをするスタッフの声や、メンバー同士の雑談が入り混じっていた。

fkrは、広い肩を少し丸めるようにして、ノートPCの画面を見つめていた。

理系の彼らしく、今日の収録で出たデータの整理を黙々とこなしている。

その隣に、ふわりと花の香りのような、清潔感のある匂いが漂ってきた。



kwmr「ねえ、fkr。お疲れ様」



声をかけてきたのはkwmrだった。

164cmの小柄な体躯に、中性的で整った美貌。

文豪と称される知性と、時折見せる鋭い観察眼を持つ彼は、fkrにとって唯一無二のパートナーであり、そして密かに想いを寄せる相手でもあった。



fkr「あ、kwmr。お疲れ様。……どうしたの、そんなにこにこして」

kwmr「いや、さ。最近、fkrさんってばymmtとすごく仲良いよね」



kwmrが、明るいトーンでそう言った。

その瞬間、fkrの指がキーボードの上でピタリと止まった。


fkr(……え? いま、なんて言ったの?)



fkrの脳内にあるパズル王としての演算能力が、フル回転を始める。

『最近、特定の誰かと仲が良い』という事実に、わざわざ言及する。

それも、わざわざ僕の隣に来て。明るい口調なのは、内心の動揺を隠すための文豪らしい高等テクニックではないか?

(キタ……! これ、完全に嫉妬じゃん……! kwmrが、僕が他の人と仲良くしてるのを気にしてる!)

fkrの胸の内に、一気に花が咲いたような喜びが広がった。 普段は冷静な理系の彼だが、恋愛、特にkwmrに関することになると、そのポジティブなフィルターは驚くべき厚さになる。

ホラー映画を観る時に僕の広い肩に顔を埋めて震えていたkwmrが(実際はfkrが怖がって縋っていたのだが、彼の記憶では都合よく変換されていた)、今、こうして独占欲を見せている。

(あぁ、どうしよう。可愛い……。kwmr、僕に嫉妬してるんだ……!)

内心では狂喜乱舞し、語尾に音符が飛び交うような心地だったが、fkrは努めて「ふわふわとした、余裕のある年上(同い年だが)」を演じることにした。


fkr「あはは。……そうだねぇ。最近、謎解きの制作で一緒になることが多いからかなぁ。……それがどうかしたの?」



首を少し傾け、わざと曖昧に微笑んで見せる。kwmrのさらなる「本音」を引き出すための、パズル王らしい一手だ。

kwmrは、中性的な顔をさらに綻ばせて、無邪気に続けた。


kwmr「やっぱりそうなんだ。いや、良いなと思って。あのさ、あいつって最近新しい古書の解読にハマってるでしょ? fkrさんなら論理的にアプローチできるし、仲が良いなら今度僕も混ぜてよ。三人で古書カフェとか行かない?」



kwmrの瞳は、一点の曇りもなく輝いていた。

そこに「嫉妬」や「焦り」といった負の感情は一ミリも存在しない。

あるのは、共通の知人と、大好きな知識の探求を、信頼する友人(fkr)と一緒に楽しめるという純粋な期待だけだった。



fkr(……カフェ? 三人で? 情報共有じゃなくて、親睦会?)



fkrの脳内の演算結果に、エラーメッセージが点滅した。

嫉妬しているなら、二人きりになりたがるはずだ。

あるいは、相手への不満を漏らすはずだ。

けれど、fkrのポジティブ・フィルターは、このエラーさえも瞬時に書き換えた。



fkr(あぁ、なるほど。……kwmrは賢いからね。いきなり二人きりになるのは照れくさいんだ。だから、まずは共通の知人を挟んで、外堀から埋めていこうとしてるんだね……。なんて健気なんだ!)


fkr「……うん、いいよ。三人で行こうか。kwmrがそうやって誘ってくれるの、僕、すっごく嬉しいよぉ」


kwmr「本当? よかった! fkr、最近忙しそうだったから、断られるかなって思ってたんだ」



kwmrは、本当に嬉しそうに笑った。 その美しすぎる笑顔を間近で見て、fkrは自分の広い肩をさらに誇らしげにそびやかした。



fkr「忙しくても、kwmrのためなら時間は作るよ。……本当だよ?」

kwmr「あはは、fkrは相変わらず優しいね。あ、そうだ。せっかくだから、来週の土曜日にしない? ymmtも空いてるって言ってたし」

fkr「来週の土曜日だね。分かった、手帳に書いておくねぇ」



fkrは、ふわふわとした足取りで自分の荷物をまとめ始めた。

頭の中では、すでに当日のシミュレーションが始まっている。

三人の食事会の中で、いかに自分がkwmrを特別扱いし、彼を安心させてやるか。

そして、 ymmtには悪いけれど、僕たちの仲の良さを見せつけてしまうかもしれない。



kwmr「じゃあ、詳細決まったらまた連絡するね。お疲れ様、fkr!」

fkr「うん、お疲れ様。楽しみにしてるねぇ」


軽やかな足取りで楽屋を出ていくkwmrの後ろ姿を見送りながら、fkrは一人、ガッツポーズを作った。


fkr「よしっ。……やっぱり、僕のことが好きなんだなぁ。あんなに分かりやすく『仲良いよね』なんて言っちゃって」



実際には、kwmrはただ「仲間の輪が広がる」ことを純粋に喜んでいただけだったし、なんならその古書の内容を早く知りたくてうずうずしていただけだった。

しかし、そんな事実は今のfkrには届かない。

(嫉妬するkwmr、美男子すぎて直視できなかった……。あぁ、次はホラー映画にでも誘ってみようかな。怖がる彼を守ってあげるのも、僕の役目だしね)

実際は、ホラー映画を観ればfkrの方が広い肩を震わせて「助けてぇ」と情けない声を出すことになるのだが。 パズル王の愛の計算式は、今日も盛大な「誤差」を出しながらも、本人にとっては完璧な正解を導き出していた。

一方、廊下を歩くkwmrは、手元のスマホで ymmtにメッセージを送っていた。 『fkrさん、快諾してくれたよ! これで来週の古書解読、一気に進みそうだね。楽しみ!』

二人の恋のベクトルは、重なるようでいて、絶妙な角度で宇宙の彼方へとすれ違っている。 けれど、そのすれ違いこそが、この二人の平和で幸福な日常の「正解」なのかもしれなかった。

「……ふふ、来週は何を着ていこうかなぁ」

楽屋に一人残ったfkrの、幸せそうな独り言が、誰もいなくなった静寂の中に溶けていった。

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