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テラーノベル(Teller Novel)
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はいは~い。皆様お久しぶりです。はじめましての人ははじめまして。

今日本にいて親戚の家だから書く暇が無いので休むとは言ったのですが…ずっと投稿しない自分に嫌気が差したので前に書いたやつを一、ニ本投稿します。


ハル猫ちゃん主催太中ファンクラブの太中大会で投稿したものです。



師走の25日その日は横浜でしんしんと雪が降り積もりホワイトクリスマスとなった。


若いカップルたちは、高級レストランで食事をし告白して振られるまでが流れだろうと考えながら20発ほどの弾を避け、相手の脳天に一発銃弾をうち通した。


真後ろでは愛想のないチビで、莫迦で、自意識過剰な相棒『中原中也』が自身の異能で浮いたまま、敵をふっとばしたり、地面に埋め込んだり、多彩な芸を披露していた。


私の異能は相手の異能を消す異能なので彼のような芸は見せられないが、異能なしの喧嘩なら必ず私の体術で彼に勝つことはできるだろう。そんなアホ話を頭の中で淡々と考え続けてるうちに、私の部下が目の前の敵を一人残らず撃ち殺してしまったらしい。


私はいくら体術ができるからと言っても、拳銃、マシンガン、ライフルには勝てない。なので私の戦い方は部下たちに銃をもたせ弾幕を張り足止めして、ついでに撃ち殺す。私が今まで戦ってきた戦法の中で一番効率が良かった。其れに反し中也は、部下を前線に出すことは少なく自身が前線に立つことが多かったせいか、本部に戻る頃にはいつも血だらけ。私より死にたがりなのかもしれないと考えたこともある。




そんな中也は今私の腕の中で虫の息。腹を三発、死にぞこないのやつに撃たれてしまった。




それは一瞬だった。帰ろうとしたとき銃声がなった。死に損ないの下っ端が銃口を中也に向けたまま息を引き取っていた。中也は止血しようと必死に傷口を押さえていたが、指の隙間からぽたぽたと真っ赤な血がこぼれ落ち積もった雪は中也の血でいっぱいになった。私は中也を抱えあげ本部に戻り森さんに中也を預け報告書の制作に励んだ。






自室ではカタカタとパソコンのタイピング音だけが響いていた。無心でひたすら。文字を打ち込んだ。すると視界が歪んだ。わけがわからない、胸がきゅうっと締め付けられる。目から何かが流れてくる、息が苦しい。




あぁ涙だ。生ぬるくちょっぴりしょっぱい。苦しいのは怖いからだ。直ぐ側にあったものが何処か遠くの方に行ってしまいそうで怖いんだ。中也がいなくなるのが私は怖くてたまらないんだ。涙が出るほど。悔しくて、悲しくて、怖いんだ。




表面的な感情はわかっても心の奥底の私の本当の気持ちはわからなかった。




其れは悔しい、悲しい、怖いなんかじゃ言い表せない。もっと黒くて禍々しくて、呪いのようなものだ。だから私は其れに気付こうとしなかった。気付きたくなかった。何故なら其れに気づけば中也を傷つけ、汚してしまうと思ったから。だから私はその感情に蓋をした、もう二度と感じないように、気づかないように、中也の目が覚めてからもいつもどおり関われるように、しっかり蓋をした。つもりだった…






その日から毎日最低でも一時間中也のそばにいるようにした。本を読んだり、厭で仕方無い報告書をまとめてたり、惰眠を貪ったり、愚痴を言ったり、することがなければ中也のベットに突っ伏せて昼寝をしたりできるだけいつもどおり過ごすようにした。


其れは『其の感情』に気づかないようにするために。然し人間というものはないのもほど欲しがり、気付こうとしたり、奪おうとする。毎日中也のそばにいたのが裏目に出たのか、其の禍々しく呪いのような感情は次第に大きくなり、形を表すようになってきてしまった。喉に支えてるだけ、で少しの衝撃で出てきてしまいそうだった。私は其れを必死に堪え、飲み込んだ。だがその一ヶ月後、とうとう我慢の限界を迎えてしまった。






一月後、、、


中也は相変わらずの眠り姫。少し前まで容態は不安定だったが今はもう安心。以前と比べて傷も癒えあとは中也が目を覚ますまで待つだけだ。




朝日が昇り始めた。蜜柑のように丸く明るい色をした太陽が黒いキャンパスを切り裂き周りの色を変えていくように朝日は登った。黒いキャンパスは瞬く間に瑠璃色、群青色、清く透き通るような空色に変わり、空の下の街を彩った。降り積もった雪はキラキラと光り輝き、人々はその光に目を細める。草木はそよ風に吹かれふわふわと揺れ動く。そして晴れているのにも関わらず雪がひらりひらりと降り始めた。雪の結晶は朝日に反射して細やかな光を灯して舞い落ちた。


今日は今年最初の雪祭り。森さんたちはエリス嬢に早朝に叩き起こされ今は留守だ。


本当は中也と行きたかったけど仕方ない。何にせよ寝たきりなんだから。私は中也の側にある椅子に腰掛け中也に声をかけた。




「もう一ヶ月も背中を合わせて戦ってないなんて私はちょっと信じられないな。毎日ああやって毎日中也の愚痴とか言ってたけど


本当は楽しかったんだよ?私は。


ねぇ中也私は中也が眠りについてからずっと苦しくて辛かったんだ。中也、私は




『中也が好きだ。愛してる』」




あぁ気づいてしまった、そして口に出してしまった。もう元通りになんかできない。焦りがこみ上げた、其れと同時に




中也を独り占めしたい、私のものにしてしまいたい。とも思った。


その感情にブレーキは効かず暴走するのみ。




そして私は中也を






『犯した』




身動きの取れない相手にこんな卑劣なことをするなんて、誰が考えた?誰が予想できた。私は相棒の『処女』を奪った。


汚した、傷つけた、罪悪感と後ろめたさに巻き込まれながらも私はまだこんな事を考えていた。




これで中也は私のもの。もう誰も手出しすることはできない。誰も私から奪えない。っと




人を犯しておいてこんなことを考えるなんて極悪非道。私はもう中也に合わせる顔はない。


私の初恋と初めてはここで終わったのだ。




自分の思いが独り歩きし、挙句の果てに眠ってる人を『犯す』ような莫迦になってしまった私は此の日を境に中也病室に入ること一度もなかった。




そしてまた一週間後…


中也は目を覚ました。経過観察と回復、リハビリのために一ヶ月は休暇を森さんからもらったらしい。実際彼は今どのような状態化はよく知らないが彼のことだ。きっと胡座をかきながらふわふわ浮いていることだろう。中也のことを思うとあの日のことが脳裏に浮かぶ。


二人っきりの閉じた病室。生ぬるい空気。シーツの擦れる音。私の吐息。白い体液。


嫌でも思い出す。


でも不思議と後悔はしていない。だって手の届かないものが手に入った、かなわない願いが叶った。もう私は彼に合うことはできないし、合う資格もない。然し私はもう満たされた。もう何も望まない。強いて言うならもう少し中也と居たかったな。


ならば中也から離れなければいいって?




もうわかっているだろう?私が中也のそばにいると彼を傷つけ、汚して、悲しませてしまう。私のように生産性のない人間が彼のような秀才のそばにいても彼の質を落とすだけだ。


そして此の日。私はポートマフィアを裏切った。森さんにもらった黒いコートに火をつけ、自分の部下を撃ち殺し最後に中也の病室の前にに、『月来香』の花を一つ添えて横浜の闇に姿を消した。きっと森さんは私が組織の機密情報を横流しすることを恐れ、兵を私のところに向かわせて私を殺そうとするかもしれない。ならば其れは喜んで死のう。私はこれだいいのだ。私はもう十分なのだ。これから先私がどうなろうと、もういいんだ。




虚しさを映し出すような月は私の背中を照らしている。何も言わずただ静かに。私は振り返らず暗い路地裏へと入っていった。




半年たったある日のこと久ぶりにルパンというバーに立ち寄った。ルパンは私と織田作と安吾の三人組でよく飲みに行ったバー。店内はいつもジャズが流れており、マスターは虫かと思うほど気配がない。私はマスターにラムベースのカクテル。モヒートを頼もうかと考えた。ミントとソーダーのあっさりした味を久しぶりに味わいたいなと思ったからだ。


鈴のついてるドアを引くとカウター席に帽子をそばに置いた、明るい髪色の小さい人がいた。


身に纏ったコートをひらりと回し私を直視した。




『よぉ。半年ぶりだな。青鯖野郎。』




ちゅっ…や


中也だ。目の前に中也がいる。森さんの回し者か彼本人が自分の意志で此処に来たのかはわからない。彼の鋭い目線が私を刺す。まるで獣が獲物を見るような目だ。




『ここじゃあ場所が悪ぃ。外出んぞ。話がある。』


中也の淡々としたその口調は私を震えさせた。いくら相棒といえど彼を襲うような真似をした私が悪い。ポートマフィアを裏切ったのは、中也とまた隣合わせで戦えば私はきっと罪悪感に耐えかねず可笑しくなってしまいそうだったから。逃げるようなことを私はした。彼に嫌われても文句は言えない。


『太宰、今日は月がきれいだなあ』


私は中也のその一言に驚いた。


『なぁ太宰』


『俺が昏睡状態の間、意識はあった。だからお前の愚痴とか、全部丸聞こえ。変わんねぇなって思ったさ。』


中也は清々しい顔で続ける


『そんであの夜だ。』


あの夜。それは私が中也を汚した日のこと。忘れもしないあの日だ。




『本当はな、悪い気はしなかった!お前が俺のことを愛してるって言ったよな?俺はあのとき心の中でこう言い返した。』




「なんて?」




私は今声が震えている。中也はなりふり構わずさらっと人の傷口を抉るものだから私もたまらず抉り返してやった。




『俺もだってな。その後てめぇに、されたことは忘れねぇ。けどな』


『てめぇになら何されてもいいなって。思っちまった…』




其のときまた私の目に涙が浮かんだ。そして今まで言えなかった。ことがポロポロと口から出ていった。


「よくわからない気持ち悪い感情になら押しつぶされて、気づきたくないことに気付いてしまって、抑えきれず、中也を襲った自分が情けなくて、後ろめたくて、その時の中也の感触がずっと指から離れなくて、こんな下劣な自分が厭で仕方なくて、中也のことを思うとその時の感情がまた込み上げてきて、また中也を傷つけたらどうしようと怖くて堪らなかった。」


涙が一滴私の頬を伝った。


『だから。俺はてめぇになら何されても、良い。


太宰お前が何で後ろめたさを感じたかは知らねぇだけど、俺のお前に対する気持ちはてめぇの気持ちと一緒じゃねぇのか?』


「中也は私になら何されてものいいの?犯されてもいいの?」


『気に入らねぇが、悪い気は、しねぇ。むしろお前が良い。お前じゃなきゃ嫌だ!』




彼の真っ直ぐな目は私の心を貫き通した。


『太宰!俺はてめぇがすっ…』


彼が話してる途中で私は中也を押し倒して、接吻し、口を閉ざした。唇を離すと私は中也に


『死んでもいいわ』


と答えて再び唇を重ね合わせた。


七夕の天の川がキラキラと光る七色の星空の下。


『私達は恋をした』





解説〜


月来香(月下美人)ともいいます。花言葉は


ただもう一度会いたい


モヒート カクテル言葉は


「心の乾きを癒やして」です


月が綺麗ですねと言われたときの返しは


死んでもいいわ

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