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✨第54話『それぞれの夜』
🏛 ゴッドエデン・神殿都市
ルシフェルとの死闘を終えたゲズたちは、
光の神アダムのもとで束の間の休息を与えられていた。
空は透き通り、風は静かで、
神々の都「ゴッドエデン」はまるで永遠の楽園のように美しかった。
それぞれの戦士たちは、静かに心と向き合い始めていた。
⸻
🌩 セレナとゲズ ― 星空の下で ―
夜。神殿の庭園。
花が揺れる中、セレナとゲズが肩を並べて座っていた。
「……思えば、いろんなことがあったね。」
セレナが優しく笑う。
「最初に会ったときのこと、覚えてる? あの壊れかけた小惑星で。」
「忘れられるわけないよ」とゲズ。
「そこからすべてが始まったんだ。」
沈黙。風に髪がなびく。
「ねえゲズ……私、あなたがいてくれてよかった。」
「もしあなたがいなかったら、私、どこかで心が折れてたかも。」
ゲズはゆっくりセレナの手を取り、目を見つめた。
「俺も、セレナがいたからここまで来れた。――ありがとう。」
言葉が途切れると、ふたりの唇が静かに重なった。
それは戦いの中で芽生え、幾度の命懸けを越えてきた者たちだけが持つ、
深い信頼と絆の証だった。
⸻
⚡ リオン ― 過去と未来の狭間で ―
一方、リオンは神殿の回廊をひとり歩いていた。
命を失い、そして奇跡的に復活した――
その理由はまだ、誰にも語っていない。
(アダム様……なぜ、俺を戻してくれたんですか)
心に残るのは、あの“光の国”で交わした短い言葉。
『まだ終わりではない。お前の力が必要となる日が来る。』
リオンは剣を見つめる。
(……それが“あの存在”と関係してるのか?)
言い知れぬ“予感”だけが胸にあった。
⸻
⚡ ウカビル ― 無言の決意 ―
神殿の外れ、滝のほとり。
ウカビルは静かに剣を振っていた。
その姿はまるで、空気ごと切り裂くように研ぎ澄まされていた。
(カティナ……)
彼はかつての同志を、自らの手で倒した。
「俺は、正しさを選び続ける。……もう二度と、仲間を失わないために。」
その瞳に、迷いはなかった。
⸻
🌌 そして夜が明ける――
夜空に浮かぶ無数の星。
その中に、わずかに“揺らめく闇”があったことに、
この時の誰も、まだ気づいていなかった。
かすかに鳴る「鼓動」。
それは“まだ目覚めぬ”何かの存在を、告げているようだった。