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🍱🦖×👻🔪です。🔞です。
血、暴力表現あります。死ネタもありますので 苦手な方はバックでお願いします。
全然誰も幸せにならないバッドエンドなので、苦手な方は本当に読まないでください!
🌩️🦒🐙🌟、🤝🥷🔫、💡🐝🤣の匂わせあります。
なんでも許せる方向けです。
色々と捏造してます。
伏字ありません。ご本人様と一切関係ありません。
よろしくお願いします。少し長めです。
目を覚ますと夕方だった。
明け方のウェンのせいで腰と肩あたりがズキズキと痛む。
ゆっくり起き上がると、シーツに赤黒く血の染みが付いている。ウェンが噛んだところをろくに手当てせずにそのまま眠ったせいだ。俺もウェンも倒れ込むように同じベッドで眠ったからな。
すぐ洗わないと、ライたちに何を言われるか分かったもんじゃない。
あいつ、今日もこっちに泊まるんだろうか。
オリエンスの奴らも一緒かも知れない。
久しぶりに皆でゆっくりできたら良いんだが。
鏡の前に立つと、肩や首筋に、いつの間につけられたのかわからないキスマークが残っている。
暫く首元が開いた服が着れねえじゃねえか…。
そう思いながら肩にこびり付いて固まった血を拭き取る。
「い…ってぇ」
あいつ、馬鹿みたいに深く噛みやがって。
「ただいま〜」
玄関からライの声がした。
俺は慌てて首元の詰まった服を着て、跡を隠す。
「小柳ー、いるー?」
「お、おー」
ライはコンビニのビニール袋を片手に部屋に入ってきた。
「カゲツと星導は?」
「あー、カゲツがね、ぜんっぜん起きなくてさ。星導にお守り任せて置いてきた。俺拠点でやりたい作業あったし。まー、最近激務だったから疲れてるんでしょ、カゲツも」
「そうか。…ライは疲れてねぇの?」
ライは上着を脱ぎ、作業用のラフな格好に着替え始めた。
「俺?疲れてるけど、さっきまで寝てたし、だいぶ回復したかなー」
「あー、俺もだわ、かなり寝た」
「ま、今日はディティカ皆、ちょー久々のオフだし。ゆっくりしよ?はい、小柳の分のココア」
ライはコンビニの袋からココアを取り出して、こちらに放り投げた。
「さんきゅ」
「あいよー、…あ、そういや、マナたちがこっち来てるんだって、知ってた?」
マナたち、という単語を聞いて、昨日のウェンとの事を思い出し、少し顔が熱くなる。
「それが昨日急にウェンが来てさ、ウチ泊まってったんだよ」
「あー、なんだ、そうだったんだ。オリエンスがこっちで任務なの、俺らに休み取らせる為らしいよ。最近、KOZAKA-Cが西に集中してるみたいでさ」
「なるほど…」
オリエンスもそれなりに忙しいだろうに、ご苦労なこった。
「そーそー。じゃあ俺、自室で作業するから!」
そう言うとライは自分の部屋へ入って行った。
さて、今日は何をして過ごそうか。といってももう夕方だから、出来ることは少ないが。
湯船にでも浸かって、腰を労るか。
「…み、…おおかみ!」
ハッと目を覚ますと、カゲツが何やら慌てた様子で立っている。時計に目をやると夜の8時半だ。あれから風呂に入って、やる事もないからベッドで休んでいたら、いつの間にか眠っていたらしい。
「何だよカゲツ、帰ってきてたの」
「そ、そんな事言うとる場合ちゃう」
「どしたん」
「佐伯が、オリエンスのみんなが…」
カゲツが不安そうな顔をして俯く。と同時に、ライが寝室に入ってくる。
「小柳、今から任務出るよ」
「オリエンスと連絡が途絶えたらしい」
「は?」
「つっても俺もあんまり状況分かってないんだけど、本部からの話だと、任務中の4人と連絡が取れなくなって、その後ヒーロースーツのGPSも追えなくなった」
「何でそんなことになるんや…」
「事情がよくわかりませんね」
「KOZAKA-Cもまだかなりの数居るみたいだから、4人の捜索をしながら片付けて欲しいってさ。皆のGPSが最後に確認できた地点あたりを目処に探そう。みんなで手分けして行くよ。何があるか分からないから慎重にね」
ライはそう言うと立ち上がり、準備を始める。
カゲツはイッテツが心配なのか、さっきから下を向いたままだ。横で星導がカゲツの背中をさする。
心臓が鼓動を早める。
ウェン、無事だといいが。
拠点を出たあたりで、ライが俺に耳打ちする。
「赤城のこと心配なんでしょ」
「…まぁな」
「分かるよ、俺もマナのこと心配。もちろん他の皆の事も」
「…」
「終わったらさ、皆でご飯行こうよ。だから、絶対連れて帰ってきて」
「…わかった」
ここか。
本部からの資料をもとに、ウェンのGPSが途絶えたらしい場所に着いた。
少し辺りを探ってみると、白っぽい何かが落ちているのを見つけた。拾ってみると、壊されたGPS装置。おそらくウェンのスーツに付いていた物だろう。
俺はウェンを探す為少し高いところへ場所を移した。
1時間ほど経っただろうか。
今まで音沙汰のなかった無線が入る。
「今、佐伯見つけた!」
カゲツからだった。
「状態は?」
「怪我が結構酷い、息はある。GPSは壊されてスーツから剥がれとった。最後のGPSのとこからちょっと離れたところに倒れとる。すぐに本部連れて帰る」
「分かった、帰り気をつけろ」
「なんか、デカくて重めのもので殴られたっぽいぞ、お前らも気をつけろ」
さらに1時間経った。高いところから、人混みの中、路地裏、雑木林、あらゆる所を探したがウェンの痕跡すら見つからない。
「こっちマナ居た!」
「了解」
「リトも今見つけました」
「マナ、頭から出血してる。ちょっとやばいかも」
「早く運んでやれ、こっちは任せろ」
「小柳、お願いね」
「ぼく、佐伯連れてったら、おおかみに合流する」
「…頼むわ」
やりどころのない不安が募る。
大丈夫、あいつはきっと大丈夫だから。
おかしい。
あれから4時間が経とうとしている。
日付はすっかり変わって、街は静けさに包まれた。
カゲツはとっくにこちらに合流し、リトとマナを本部に送り届けた星導とライもやって来た。
何故ウェンだけが見つからない?
「小柳…」
「…」
「顔にで出てるよ」
ライが心配そうに俺の顔を覗き込む。
「…大丈夫、きっと見つかるよ」
そろそろ夜が明ける。本部からの帰還命令があり、この日の捜索は打ち切られた。
あれから4日経った。
捜索は毎日続いたが、ウェンは一向に見つからない。
オリエンスの3人はかなりの重症を負っていた。本部に連れ戻された後すぐに病院に運ばれ、そのまま入院となった。イッテツとリトは翌日に目を覚ましたが、2、3週間は動けないそうだ。マナは頭を強く打ったらしく、まだ目を覚さない。ライが毎日任務帰りに見舞いに行っている。
今日も収穫は無しだ。時間的にそろそろ帰還命令が出る頃だろう。
「なぁおおかみ、赤城はどこ行ったん…?」
一緒に行動していたカゲツがそう呟く。
「あ、ごめん…つい」
「いや…」
「おおかみやって、赤城のこと心配しとるのに…」
「…」
暫く沈黙が流れる。と、目の前をKOZAKA-Cが数体横切った。
「おい、カゲツ!行くぞ」
「あ…、うん!」
KOZAKA-Cは路地裏をすいすい進んでいく。徘徊しているというよりは、何処か目的地に向かっているようだった。しばらく後をつけると、行き止まりに当たり、奴らは進むのをやめた。
ここに何がある?
取り敢えずさっさと片付けるか、と剣を構える。
「抜と…」
剣を抜き終わる前に、俺のすぐ後ろからカゲツの弱々しい声が聞こえた。
「お、おかみ」
「動かないでね、カゲツきゅん」
「その声、あ…あかぎ、なん?」
俺の視界に飛び込んできたのは、カゲツの首筋にナイフを突き立てるウェンの姿だった。
ウェンの眼の瞳孔は、いつもより鋭さを増しているように見える。
目の前の光景を信じたくなくて、何も声が出ない。
「赤城おま…なにやってんっ…!」
カゲツがそう言うなり、ウェンはナイフをグッとカゲツの首に押し当てた。刃がカゲツの白い肌を少し裂き、血が滲む。
「喋んないで、殺したくない」
カゲツは目を見開いて、「あ…」と掠れた声を上げた。
「ウェン…?」
やっと喉から絞り出した俺の声は震えていた。
「あーあ、失敗した。リトもテツも、すぐ目覚しちゃうんだもん。ほんとはマナみたいにしなきゃいけなかったのに…」
あの時のカゲツの無線が頭をよぎる。
『デカくて重めのもので殴られたっぽいぞ』
ウェンの大剣か。
身体中から冷や汗が噴き出る。まずい、何とかしないと。ライと星導に連絡を。いやそんな事をしたらカゲツが。待て、ウェンはまず何でこんな事を…。
「何でこんな事してるの、って思ってるよね?ロウ」
「あ…」
「KOZAKA-Cの洗脳だよ。情けないよね。僕、詰め甘い所あるからさあ…」
ウェンはそう言うと、呆れたように笑った。
「身体が思ったように動かないんだわ、本当はこんな事したくないのに」
「なん…だよそれ」
「僕はオリエンスもディティカも、みんなを使い物にならないようにしないといけないの。特にロウ。君は司令塔だし、戦闘力が高すぎる。」
奥歯をギリと噛み締める。
「…そんな事言ってねえで、本部行くぞ。洗脳も、解けるかも知れねぇから…」
「無理。そんなことしたら、本部の人間も殺しちゃうよ」
「だったら…どうすんだよ」
「2人とも、大人しくここで僕にやられてくれない?殺さないから。しばらく身動き取れないくらいで良いんだよ、マナみたいにさ…」
ウェンの目から光が消える。
ああもう、俺の知るウェンは帰ってこないのかも知れない。
仲間思いで、気遣いで、誰よりも優しい。
明け方に優しく俺を抱きしめたウェンは、もう居ない。
そう思うと、俺の生への執着は、呆れるほど簡単に失われていった。
俺の愛したウェンのいない世界で、生きる意味が何処にある?
「俺が…」
「ロウ?」
「俺が司令塔だって…?」
「…そうだよ、そう言った」
「だったら、俺だけで十分だよな…?」
「どういうこと」
ウェンがぎろりと俺を睨む。カゲツは不安そうな顔をしていて、今にも泣き出しそうだ。
「俺がお前のいう通りにするから、もう他の奴に手を出すな。カゲツを離せ。」
「…ふーん」
ウェンはカゲツの首からナイフを少し離した。
「オリエンスはもう壊滅だ。ディティカは司令塔がいなくなって使い物にならなくなる。それで十分じゃないのか。なあ」
本当はそんな事思っていない。ディティカは俺がいなくたって皆十分に戦えるし、連携も取れる。ただ今はウェンを止めたくて、必死だった。カゲツたちに、大事な人を奪われる苦しみを味わってほしくなかった。
「確かにそうかもね、でも良いの?自分がどうなっても」
「…」
「僕、ロウのこと殺すかもよ」
「…良いんだ、それで」
俺は少し笑っていた。
「何言うとんのや、おおかみ…っ、嫌や、ぼく」
「…わかった」
ウェンはカゲツから手を離した。
「あ、あかぎっ」
「何、カゲツきゅん」
「おおかみの事、連れて行くんか…?」
「…ごめんね」
ウェンはカゲツの頭を優しく撫でた。
途端にカゲツの目から大粒の涙が零れ落ちる。
「う…っ、う」
ウェンがこちらに向き直る。
「行こっか」
「…」
「あかぎっ!おおかみっ!行かんといて…!」
ウェンは俺の手を掴んで引っ張り、路地裏を後にした。
だんだん小さくなって行くカゲツの姿に少し名残惜しさを感じつつも、これで良かったのだと俺は自分に言い聞かせ、無線を道端に捨て置いた。
「ごめんね、手縛って。逃げられると困るからさ」
「別に逃げねぇから」
「ロウくんはさ、ほんっと優しいよ。自分を犠牲にして、皆を守るとか」
「…」
そう言いながらウェンは、どこからか銃を取り出した。
「ナイフでも良かったんだけど、一瞬が良いでしょ?」
「…何でも良い」
「なんか言っとくこと、ある?」
「…無い」
うなだれた俺を見て、ウェンは言った。
「じゃあ僕から、最後にいい?」
ウェンはしゃがんで、俺の顔をじっと見つめ、優しく触れるようなキスをした。
俺が顔を少し上げると、彼の目から涙が零れ、頬を伝う。
「ごめ…ごめんね、ロウ」
「…もう、いいんだ、ウェン」
ロウはその場にどさりと倒れ込んだ。
少し開いたままの口から赤黒い血が溢れる。
床に広がった血溜まりが僕の靴まで届き、思わず後ずさる。
銃を握る手が震え、僕はやっと正気を取り戻したような気がした。
洗脳から解かれたと、明確にわかったのは、ロウを殺した数分後だった。
もう僕は用済みということだ。
ああ、絶望とはこういうことか。
彼の亡骸を抱きしめひとしきり泣いた後、僕は自分の頭に銃口を突きつけ、震える手で引き金を引いた。
「僕も、すぐ行くから」
「…小柳くん?」
「?どうしたの星導」
宇宙から一つの生命が失われる感覚がする。
いや、これは二つ。
「…」
「ほんとにどうしたの?早く赤城の捜索行くよ!」
ライが俺の背中をぐいっと押す。
「…次会えるのは、当分先になりそうですね」
「だからー、何言ってんのって!」
end
最後まで読んでいただきありがとうございます。
不穏ネタが好きなので、書いててとても楽しかったです。
また書きます!